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歯の喪失による認知症リスク

東京科学大の研究グループによると、全国の65歳以上の高齢者に実施した12年間の追跡調査から、2万1306人のデータを活用。
所得が低いほど認知症リスクが高く、歯の喪失がその一因となることを確認した。
分析では、所得が200万円未満の人は200万円以上の人に比べて認知症リスクが1.17倍高かった。
そして、所得と認知症リスクの関係のうち6.6%は歯の喪失が要因としてかかわっていると判明した。
(参考文献)Jounal of Dentistry 12/13
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歯の喪失による認知症リスクは、あるかないかといえばあるけれど、その割合はそれほど高くないことが分かりました。

ラテラルアプローチは1.痛み2.腫れ3.あざがいずれも3倍。

・2017年に報告された論文で、クレスタルアプローチとラテラルアプローチの合併症の比較が行われた。
その結果、クレスタルアプローチに比べてラテラルアプローチは1.痛み2.腫れ3.あざがいずれも3倍であった。
このことから、患者の侵襲やストレスを軽減するためにクレスタルアプローチを選択することを考慮するべきである。
(参考文献)
Al-Almaie S, Kavarodi AM, Alorf A, et al.: A splint-mouth design compariso for lateral and crestal sinus lift techniques with dental implants placements: Short communication. Open Dent J 11: 603-608,2017.
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患者さんサイドの苦痛が3倍なのであれば、直視できないという欠点はありますが、クレスタルアプローチを選択するべきでしょうね。

2025年4月 5日

hori (08:22)

カテゴリ:上顎臼歯部のインプラント

上顎洞内へのインプラント治療

・骨補填材を使用しないで上顎洞へアプローチした場合のインプラントの平均生存率は96-97%、骨造成のために骨補填材を使用して上顎洞へアプローチした場合の平均生存率は94-99.6%であり、骨補填材を使用する場合と使用しない場合を比較した場合、インプラントの生存率に有意差はないという報告もある。
また、上顎洞へアプローチする際に骨造成処置を行わないことがインプラントの生存に対するリスク要因ではないともいわれている。
(参考文献)
Rammelsberg P, Kilian S, Busch C, Kappel S.: The effect of transcrestal sinus-floor elevation without graft on the long-term prognosis of maxillary implants. J Clin Periodontol. 47(5): 640-648,2020.
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上顎洞内粘膜が剥離されて、穿孔・感染がなく、インプラントフィクスチャーでテンティングされた状態の際、フィクスチャーの直近には骨が存在している可能性があります。
同部位が骨補填材で満たされているとそれを目にした人が何となく安心であるくらいの意味しかないのかもしれません。

2025年4月 1日

hori (08:05)

カテゴリ:上顎臼歯部のインプラント

20歳以上の男女100人、7割が悩むものとは?!

20歳以上の男女の7割が口臭で悩んだことがあると分かった。
歯科医院を運営するお口プラスが100人にインターネットで調査。
「口臭で悩んだことがあるか」との質問に、72人が「ある」と回答した。
口臭対策で行っていることの質問(複数回答)では、「歯磨き」が最多の79人、「フロスや歯間ブラシを使う」57人、「水分補給」が46人で続いた。
(アポロニア21 2025年3月号 )
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口臭で悩む人が想像に多いことに驚かされます。

2025年3月15日

hori (09:13)

カテゴリ:インプラントと口臭

骨膜細胞から産出される、がん進行を抑えるTimp1とは?!

・腫瘍が骨に近接した浸潤前組織では骨膜の厚みが3-4倍に増加することを見出した。
腫瘍が近づくと骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、これによりコラーゲンが蓄積することで骨膜が分厚くなり物理的にがんの進行を抑えること、Timp1遺伝子を破壊したマウスでは口腔がんの浸潤が顕著に増悪し早期に死に至ることを発見した。
(参考文献)
The periosteum provides a stromal defence against cancer invasion into the bone. Nakamura K, Tsukasaki M, et al. Nature. 2024. 634(8033) : 474-481.
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口底がん近接部位の骨膜肥厚の変化をがん浸潤の前後で比較したところ、健常部位に比較して腫瘍近接部位は統計学的に有意な差(P=0.0054)をもって厚みを増し、一度がんが浸潤してしまうと、統計学的な有意差(P<0.0001)をもって健常部位よりも骨膜厚さを減ずることが明らかになりました。
これにより、がん浸潤に生体が対抗するべく隣接する骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、その結果骨膜の厚さが厚みを増すということになりました。
Timp1の量を何かしらの手法で増大可能であれば、がん浸潤を防ぎ、医学の進歩に寄与することでしょう。

2025年3月 1日

hori (09:17)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

角度付きアバットメントのスクリューリテインで90%補綴可能。

(目的)
審美領域でのインプラント即時埋入、即時プロビジョナルにおいて、角度付きアバットメントを使用しなければいけない頻度を評価すること。
(方法)
200人の被検者のCBCTを用いて、インプラント埋入シュミュレーションを行った。
スクリューのアクセスホールをどのくらいの確率で、口蓋側に設定できるか、「ストレートチャネル」と「角度付きチャネル」の2つの場合でシュミュレーションを行った。
(結果)
計1200本の歯牙のうち、「ストレートチャネル」を用いてスクリューリテインにて補綴できるケースが14%であった。
「角度付き(25度)チャネル」を用いれば口蓋側にアクセスホールを位置づけ、スクリューリテインにて補綴できるケースが75%であった。
(部位ごとでの処置可能な割合) 即時埋入 ストレートチャネル 25度角度付きチャネル
 中切歯 径4.3ミリ        74%     10%          66%
 中切歯 径3.5ミリ        92%     24%         87%
 側切歯 径3.5ミリ        90%     10%          75%
 犬歯  径4.3ミリ        79%     11%          73%
(参考文献)
Frequency of screw-retained angulated screw channel single crown following immediate implant placement and provisionalization in the esthetic zone : A cone beam computed tomography study. Kan JYK, Rungcharassaeng K, Kamolroongwarakul P. Lin GH, Matsuda H, Yin S,Wang HL, Tarnow D, Lozada JL. Clin Implant Dent Relat Res. 2023; 25(5) : 789-794.

2025年2月 5日

hori (08:51)

カテゴリ:上顎前歯部のインプラントの

なぜ加齢によって肺炎が発症するのか。

肺炎・誤嚥性肺炎は、肺炎連鎖球菌による感染症である。
肺炎球菌に対する感受性は65歳以上の高齢者で著しく高くなるため、超高齢社会の日本では、肺炎球菌感染症の罹患者数および死亡者数が増加している。
高齢者に肺炎球菌感染症が発症するメカニズムを若齢・老齢マウスを用いて調べたところ、加齢により肺炎球菌の分解・排除機構であるオートファジーが減弱することが明らかになった。
(参考文献)
日本歯科医師会雑誌 2025VOL.77 NO.10
加齢とオートファジーの関連性 (なぜ加齢によって肺炎が発症するのか)猪俣恵
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非喫煙者の肺がん罹患確率は、とある研究では、非喫煙者の肺がん罹患確率は、男性で0.06%(40歳) から1.35%(70歳)、 女性で0.10%(40歳)から0.75%(70歳)でした。
また、別な研究では、喫煙者は非喫煙者と比べて、肺炎球菌感染症にかかる危険性が約2?3倍高くなると言われています。

2025年2月 1日

hori (08:02)

カテゴリ:インプラントと喫煙

歯が多いと余命が伸びることを確認。

東北大学の研究グループによると、歯が多いと認知症のない余命期間および全余命期間が伸びることが分かった。
研究では、日本老年学的評価研究の2010年の調査に回答した65歳以上の自立した男女4万4083人(平均年齢73.7歳、男性46.8%)を対象。
調査時とその後の10年間の追跡長データについて、歯の本数と認知症の発症、全死亡の発生との関連を調べた。
結果、モデルから推定された65歳時点での認知症のない平均余命期間は、男性で20本の歯を有する人で18.88年、0本の人で16.43年だった。
女性では20本の歯を有する人で17.12年、0本で14.40年だった。
65歳の時点での認知症の期間も含む全余命期間は、20本以上の歯がある人では、男性では17.81年、女性で22.03年、歯が0本の場合、男性で15.42年、女性で19.79年だった。
(参考文献)
Journal of the American Directors Association(9月11日)
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歯をすでに失っている人が余命を伸ばすためには、インプラント治療が有効であるということにもなりますね。

2025年1月25日

hori (08:19)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

肥満・歯周病で認知機能が低下。

・広島大学の研究グループによると、肥満病態下における歯周病が、認知機能を低下させることが分かった。
健常マウス、肥満マウス、歯周病マウス、肥満・歯周病マウスのそれぞれに認知機能評価試験を行った結果、肥満・歯周病マウスのみ認知機能が顕著に低いことが分かった。
さらに、肥満・歯周病マウスにおいて、中枢神経系に分布する免疫細胞「ミクログリア」が有意に増加していることを確認。
ミクログリアは死細胞や病原体を捕食するが、活動が過剰になると神経炎症を引き起こすことが報告されている。
ミクログリアを枯渇させる物質を与えると、肥満・歯周病マウスの認知機能が改善した。
(参考文献)
Journal of Oral Microbiology (11月14日)
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肥満・歯周病マウスでは、ミクログリアが過剰な状態となり、神経炎症を引き起こすために、認知機能が低下することが明らかになりました。

2025年1月15日

hori (08:05)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

咬筋の容積がサルコペニアに関連

咀嚼に重要な機能を有する咬筋の容積が低下することで、サルコペニアになるリスクが高まる可能性が示唆された。
同研究は今後、サルコペニア予防や早期診断として活用されると期待がかかっている。
順天堂大学の研究グループは、1484人を対象に、MRIを用いて咬筋容量を測定し、サルコペニア発症リスクとの関連性を調査した。
「文京ヘルススタディー」に参加した高齢者(男性603人、女性881人)を調査したところ、男性の咬筋容積の平均は35.3ml、女性は25.0mlだった。
また、咬筋容積が最も小さいグループは、最も大きいグループと比較して、サルコペニアのリスクが男性では6.6倍、女性では2.2倍も差があることが分かった。
特に咬筋容積は遺伝的要因やホルモンなどの影響を強く受ける一方で、四肢の筋肉量は年齢やBMIによる影響が大きかったという。
(参考文献:Achive of Medical Research 10月16日)
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咬筋容積が最も小さいグループは、最も大きいグループと比較して、サルコペニアのリスクが男性では6.6倍、女性では2.2倍も差があることが明感ありました。
インプラント治療でサルコペニアのリスクを減少させることができるのではなかろうかと推察しています。

2024年12月20日

hori (07:18)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

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