水平的GBRにより骨幅が平均約3.4ミリ獲得可能。
水平的GBRにより骨幅が平均約3.4ミリ獲得できることが報告された。
また、インプラント周囲に1.5ミリの骨幅が必要であることが分かっているため、インプラントのサイズを決定するための目安となるだろう。
(参考文献)
Naenni N, Lim HC, Papageorgiou SN, Hammerle CHF. Efficacy of lateral bone augmentation prior placement : A systematic review and meta-analysis. J Clin Periodontol. 2019 Jun ; 46 Suppl 21 :287-306.
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GBRは垂直的よりも水平的の方が容易な印象がありましたが、水平的GBRにより骨幅が平均約3.4ミリ獲得できることが明らかにされていました。
歯科健診未受診の高齢者は死亡リスクが1.5倍になる。
・歯科健診未受診の高齢者は死亡リスクが1.5倍になることが分かった。
大阪公立大学と大阪大学の研究グループによるもの。
研究では、2017年10月から19年3月の間に継続して大阪府後期高齢者医療保険に加入していた75歳以上の94万6709人を対象に、歯科健診および歯科受診の有無と死亡の関連を解析・検討。
それぞれを「共にあり」 「健診あり・受診なし」 「健診なし・受診あり」 「共になし」に分類した。
その結果、「共になし」の高齢者が「健診あり、受診なし」の高齢者に比べて有意に死亡リスクが高く、男性で1.45倍、女性で1.52倍だったことが分かった。
(参考文献)
Journal of Gerontology Medical Sciences(5月7日)
カンジタ菌による虫歯にはフッ素の効果が低い。
・フッ化物がカンジタ菌による酸産生を抑制できない。
東北大学口腔性科学分野の?橋教授らの研究グループは、本来は酸素のある環境で増殖しやすいカンジタ菌は、酸素が存在しない環境でも酸を作り出し、歯を溶かす可能性があることを解明した。
研究グループは、カンジタ菌がどのように酸を産生し、フッ化物の影響を受けるかを5種類のカンジタ菌を用いて実験を行った。
その結果、カンジタ菌が酸素のない状態でも酸を産生することを発見し、その酸が歯を溶かす作用を持つことが確認された。
さらに、虫歯予防に広く使われているフッ化物が、カンジタ菌による酸産生を抑制できないことが明らかになった。
これはカンジタ菌がフッ化物に対して非常に高い耐性を持つことを示している。
(アポロニア21 2025年5月号 )
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『虫歯予防にはフッ素!』と古くからいわれてきましたが、今回の研究でカンジタ菌で虫歯ができること、フッ素の予防効果は低いことが明らかになりました。
男性6割、女性8割が「交際・結婚に影響」
交際・結婚を考えるのに、相手の歯並び・歯の色を気にする人は男性でおよそ6割、女性で8割。
婚活支援サービスを運営する(株)オミカレが会員1223人に対してWeb調査したもの。
交際・結婚を考える際に判断基準となるポイントについての質問(複数回答)で、男性の回答で最も多かったのは「体型」87.6%で、「体臭・口臭」は82.2%、「歯並び・歯の色」は61.0%だった。
女性で最も多かったのは「体臭・口臭」95.6%で、「歯並び・歯の色」は78.2%だった。
(アポロニア21 2025年4月号 )
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「収入」という要素が含まれていないので、交際相手・結婚相手の身体に関する特徴に関しての調査なのだと思います。
埋入深度が深すぎるとインプラント周囲炎リスクが8.5倍に!
両隣在歯のCEJより6ミリを超えて深く埋入されたインプラントは周囲炎の発症リスクが8.5倍になるということも文献的に示されている。
(参考文献)
Kumar PS, Enomoto H, Tsurumaki S, Ito K. Biologic height-width ration of the buccal supra-implant mucosa. Eur J Esthet Dent. 2006 Autumn ; 1(3) : 208-14.
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例えば、下顎第1大臼歯の繰り返しの根管治療および最終的には歯根破折で抜歯に至ったようなケースに対して、ショートインプラントで対応する場合、両隣在歯より深め埋入になる傾向にあります。
今回の研究で両隣在歯のCEJより6ミリを超えない方がよいことが明らかになりました。
歯の喪失による認知症リスク
東京科学大の研究グループによると、全国の65歳以上の高齢者に実施した12年間の追跡調査から、2万1306人のデータを活用。
所得が低いほど認知症リスクが高く、歯の喪失がその一因となることを確認した。
分析では、所得が200万円未満の人は200万円以上の人に比べて認知症リスクが1.17倍高かった。
そして、所得と認知症リスクの関係のうち6.6%は歯の喪失が要因としてかかわっていると判明した。
(参考文献)Jounal of Dentistry 12/13
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歯の喪失による認知症リスクは、あるかないかといえばあるけれど、その割合はそれほど高くないことが分かりました。
ラテラルアプローチは1.痛み2.腫れ3.あざがいずれも3倍。
・2017年に報告された論文で、クレスタルアプローチとラテラルアプローチの合併症の比較が行われた。
その結果、クレスタルアプローチに比べてラテラルアプローチは1.痛み2.腫れ3.あざがいずれも3倍であった。
このことから、患者の侵襲やストレスを軽減するためにクレスタルアプローチを選択することを考慮するべきである。
(参考文献)
Al-Almaie S, Kavarodi AM, Alorf A, et al.: A splint-mouth design compariso for lateral and crestal sinus lift techniques with dental implants placements: Short communication. Open Dent J 11: 603-608,2017.
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患者さんサイドの苦痛が3倍なのであれば、直視できないという欠点はありますが、クレスタルアプローチを選択するべきでしょうね。
上顎洞内へのインプラント治療
・骨補填材を使用しないで上顎洞へアプローチした場合のインプラントの平均生存率は96-97%、骨造成のために骨補填材を使用して上顎洞へアプローチした場合の平均生存率は94-99.6%であり、骨補填材を使用する場合と使用しない場合を比較した場合、インプラントの生存率に有意差はないという報告もある。
また、上顎洞へアプローチする際に骨造成処置を行わないことがインプラントの生存に対するリスク要因ではないともいわれている。
(参考文献)
Rammelsberg P, Kilian S, Busch C, Kappel S.: The effect of transcrestal sinus-floor elevation without graft on the long-term prognosis of maxillary implants. J Clin Periodontol. 47(5): 640-648,2020.
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上顎洞内粘膜が剥離されて、穿孔・感染がなく、インプラントフィクスチャーでテンティングされた状態の際、フィクスチャーの直近には骨が存在している可能性があります。
同部位が骨補填材で満たされているとそれを目にした人が何となく安心であるくらいの意味しかないのかもしれません。
20歳以上の男女100人、7割が悩むものとは?!
20歳以上の男女の7割が口臭で悩んだことがあると分かった。
歯科医院を運営するお口プラスが100人にインターネットで調査。
「口臭で悩んだことがあるか」との質問に、72人が「ある」と回答した。
口臭対策で行っていることの質問(複数回答)では、「歯磨き」が最多の79人、「フロスや歯間ブラシを使う」57人、「水分補給」が46人で続いた。
(アポロニア21 2025年3月号 )
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口臭で悩む人が想像に多いことに驚かされます。
骨膜細胞から産出される、がん進行を抑えるTimp1とは?!
・腫瘍が骨に近接した浸潤前組織では骨膜の厚みが3-4倍に増加することを見出した。
腫瘍が近づくと骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、これによりコラーゲンが蓄積することで骨膜が分厚くなり物理的にがんの進行を抑えること、Timp1遺伝子を破壊したマウスでは口腔がんの浸潤が顕著に増悪し早期に死に至ることを発見した。
(参考文献)
The periosteum provides a stromal defence against cancer invasion into the bone. Nakamura K, Tsukasaki M, et al. Nature. 2024. 634(8033) : 474-481.
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口底がん近接部位の骨膜肥厚の変化をがん浸潤の前後で比較したところ、健常部位に比較して腫瘍近接部位は統計学的に有意な差(P=0.0054)をもって厚みを増し、一度がんが浸潤してしまうと、統計学的な有意差(P<0.0001)をもって健常部位よりも骨膜厚さを減ずることが明らかになりました。
これにより、がん浸潤に生体が対抗するべく隣接する骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、その結果骨膜の厚さが厚みを増すということになりました。
Timp1の量を何かしらの手法で増大可能であれば、がん浸潤を防ぎ、医学の進歩に寄与することでしょう。