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咬筋の容積がサルコペニアに関連

咀嚼に重要な機能を有する咬筋の容積が低下することで、サルコペニアになるリスクが高まる可能性が示唆された。
同研究は今後、サルコペニア予防や早期診断として活用されると期待がかかっている。
順天堂大学の研究グループは、1484人を対象に、MRIを用いて咬筋容量を測定し、サルコペニア発症リスクとの関連性を調査した。
「文京ヘルススタディー」に参加した高齢者(男性603人、女性881人)を調査したところ、男性の咬筋容積の平均は35.3ml、女性は25.0mlだった。
また、咬筋容積が最も小さいグループは、最も大きいグループと比較して、サルコペニアのリスクが男性では6.6倍、女性では2.2倍も差があることが分かった。
特に咬筋容積は遺伝的要因やホルモンなどの影響を強く受ける一方で、四肢の筋肉量は年齢やBMIによる影響が大きかったという。
(参考文献:Achive of Medical Research 10月16日)
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咬筋容積が最も小さいグループは、最も大きいグループと比較して、サルコペニアのリスクが男性では6.6倍、女性では2.2倍も差があることが明感ありました。
インプラント治療でサルコペニアのリスクを減少させることができるのではなかろうかと推察しています。

2024年12月20日

hori (07:18)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

高齢者の嚥下機能低下が睡眠の質に影響

睡眠の質は身体的要因と強く関連しており、誤嚥による咳も原因の一つとして報告されていることから、加齢による嚥下機能の低下は睡眠の質にかかわるといえる。
広島大学の研究グループによる、60歳以上の男女3058人(男1633人、平均年齢66.5±4.2歳)に対して自記式アンケートで調査した。
その結果、28.0%が嚥下障害を有し、19.1%に睡眠の質の低下が見られた。 嚥下障害と睡眠の関連を解析したところ、男性では嚥下障害のリスクがあることが、「睡眠の質が悪いこと」「睡眠不満足」「不規則な睡眠」と関連していた。
女性では、「睡眠の質が悪いこと」「睡眠持続時間6時間未満」と有意に関連していた一方で、「睡眠不満足」「不規則な睡眠」と有意な関連はなかった。
また、男女とも「睡眠の質」「入眠時間」「睡眠困難」「日中覚醒困難」と有意に関連していた。
(参考文献:Heliyon 5月31日)
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睡眠中は唾液はそもそもさほど分泌されないのでは?と思いますが、高齢者の場合ごくわずかな唾液が気管方向に流れ、誤嚥による咳が夜間に発生することはあり得ると考えられます。
咳をする以上、睡眠が分断されるので、結果として睡眠の質の低下するのでしょう。

2024年12月15日

hori (07:26)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

子どもの夜更かしでミュータンス菌が増加

北医大らは、夜間の虫歯発生リスクの原因を突き止めるために、子供唾液を夕食後1時間おきに採取し、ミュータンス菌量を測定。
唾液採取は自宅で行ったのち、研究室まで郵送する流れとした。
その結果、重度の虫歯をもつ子供の唾液を解析すると、夜遅くなるほどミュータンス菌の量が増えていたことが分かった。
唾液中のミュータンス菌は夜遅くなるにつれて「増える子」と「増えない子」がおり、増える子供は重度虫歯に罹患するリスクが大きいとの結果を示した。
(参考文献:Jpurnal of Clinical Pediatric Dentistry 8月26日)
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重度の虫歯をもつ子供の唾液を解析すると、夜遅くなるほどミュータンス菌の量が増えていたことが明らかになりました。
小学校の歯科検診では、大半は虫歯が皆無の子供たちがいる一方で、少数の虫歯が多発している子どもがいると聞きます。
夜間は昼間よりも免疫が低下する傾向があるのかもしれませんね。

2024年12月10日

hori (08:10)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

糖尿病治療で歯周病が改善

糖尿病治療が直接的に歯周病を改善することが分かった。
大阪大学の研究グループは、歯科的な介入は一切行わずに、29人の2型糖尿病患者に対し、2週間の入院下での糖尿病集中治療を実施し、治療前後の全身的な臨床指標や歯科的指標を解析した。
その結果、血糖コントロール指標に加え、歯周病の炎症程度を示すPISAが改善。
さらに、PISAの改善度の大小で被検者を2群に分けて比較解析したところ、大きく改善した群では糖尿病治療前のインスリン分泌能が有意に高値を示し、糖尿病性神経障害および抹消血管商家の指標も有意に良好な値となった。
(参考文献 Diabetes, Obesity and Metabolism 8月15日)
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歯科的な介入は一切行わずに、2型糖尿病患者に対し糖尿病集中治療を実施し、血糖コントロール指標に加え、歯周病の炎症程度を示すPISAが改善することが明らかになりました。

2024年12月 5日

hori (15:58)

カテゴリ:歯周病の悩み

65歳以上の自立高齢者でも、16.4%が口腔機能低下症。

地域歯科診療所受診者(平均年齢51±16歳)の49.2%が口腔機能低下症と診断され、高齢期以前から口腔機能が複合的に低下していることも報告されている。
また、福岡県歯科診療所通院中の65歳以上の自立高齢者でも、16.4%が口腔機能低下症に該当し、残存歯数が19歯以下では該当者の割合が有意に高くなり、口腔機能低下症の該当の有無に関して残存歯数が有意に関連していたと報告されている。
この報告では、認知症や低栄養が認められない自立高齢者では、口腔機能低下症は加齢よりも残存歯数が関連要因となる可能性が示唆されている。
(参考文献)
伊輿田清美, 他.:地域歯科診療所における自立高齢者の口腔機能低下症に関する実態調査. 老年歯学, 34(3):406-414.2019.
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口腔機能低下症の該当の有無に関して残存歯数が有意に関連していることが明らかになりました。

2024年11月 5日

hori (08:06)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

オーラルフレイルが身体的衰弱に影響を及ぼしている可能性

日本人高齢者の身体的衰弱(サルコペニア)を予測する指標としてオーラルフレイルを用いることが可能であることを調査した報告がある。
その報告によると、オーラルフレイル非該当者と比較し、オーラルフレイル者は23年間の身体的フレイルおよびサルコペニアの発生リスクが2.4倍および2.1倍にそれぞれ増加し、45か月間の要介護状態および死亡リスクも2.4倍および2.1倍にそれぞれ増加していたとしている。
これらの結果から、高齢者ではオーラルフレイルが身体的衰弱に影響を及ぼしている可能性が示唆され、オーラルフレイル対策の重要性が示された。
「口腔機能低下症」は、加齢だけでなく、疾患や障害など様々な要因によって口腔機能が複合的に低下した疾患と定義され、放置することにより咀嚼機能不全、摂食嚥下障害などを引き起こし、さらに進展すると全身的な健康を損なう。
高齢者では、う蝕や歯周病、義歯不適合などの口腔の要因に加え、加齢や全身疾患も要因となり、口腔の機能が低下しやすく、また低栄養や廃用、薬物の副作用などにより修飾されて複雑な病態を呈することが多い。
そのため、個々の高齢者の生活環境や全身状態、またその変化を見据えて口腔機能を適切に管理する必要がある。
(参考文献)
日本老年歯科医学学術委員会:高齢期における口腔機能低下?学会見解論文2016年度版?老年歯学, 31(2):81?99.2016.
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オーラルフレイル者は23年間の身体的フレイルおよびサルコペニアの発生リスクが2.4倍および2.1倍にそれぞれ増加し、45か月間の要介護状態および死亡リスクも2.4倍および2.1倍にそれぞれ増加していたということが明らかになりました。
口腔も全身の一部なので、う蝕や歯周病で口腔機能が複合的に低下することから始まり、咀嚼機能不全、摂食嚥下障害などを引き起こし、さらに進展すると全身的な健康を損なうという流れがあることは理解しやすい内容ですね。
仮にご自分の歯や義歯等でうまく咀嚼・嚥下ができない状態でもインプラント治療で機能を回復することができます。

2024年11月 1日

hori (08:18)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

逆根管治療の術後の痛み予測は可能なのか?

逆根管治療後の術後疼痛の経過と、疼痛の予測因子に関する研究。

逆根管治療が行われた18-75歳の健康状態に問題のない173名について検討した。

術後5日間の疼痛を4段階で記録した。

痛みのレベルは、

0:痛みなし

1:軽度の痛み(鎮痛剤の服用を必要としない不快感)

2:中等度の痛み(鎮痛剤の服用でコントロールできる痛み)

3:強い痛み(鎮痛剤の服用で緩和されない痛み)とした。

平均疼痛レベルは1日目が最高で、その後徐々に減少した。

術後1日目で強い痛みはであった。

患者のほとんどは1日目、2日目に軽度あるいは中等度の痛み、3-5日目に痛みを最も多く記録していた。

5日目には86.5%の患者が痛みなし、または軽度の痛みであった。

強い痛みの予測因子を固定するため統計解析を行うと、性別、年齢、術前の骨の厚さに有意差を認めた。(P<0.05)。

術後の強い痛みの起こるオッズ比は女性患者が男性患者と比較して2.8倍増加、年齢が1歳上がると1.04倍現象、術前の骨の厚みが1ミリ増加するごとに1.4倍増加した。

(参考文献)

Malagise CJ, et al. Severe pain after endodontic surgery: an analysis of incidence and risk factors. J Endod 2021; 47 (3): 409-414.

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逆根管治療術後の強い痛みの起こるオッズ比は女性患者が男性患者と比較して2.8倍増加、年齢が1歳上がると1.04倍現象、術前の骨の厚みが1ミリ増加するごとに1.4倍増加することが明らかになりました。

2024年10月20日

hori (08:29)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子

大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子 CBCTを用いた後ろ向き研究
(研究目的)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療後、完全に治癒するまでの期間及び影響を与える因子をCBCTによる経過観察で評価すること。
(研究内容)
最大径10-15ミリの根尖病変を有する79歯に対して、歯内療法専門医が根管治療を行った。
その後6か月おきに口内法デンタルエックス線撮影、12か月おきにCBCT撮影を行い、48か月の経過観察を行い、根管治療のみで根尖部透過像が完全に治癒するまでの期間を評価した。
治療前の透過像の体積、年齢、性別、治療の種類(初回根管治療か再根管治療)、および根管充填材の種類が病変の治癒期間に与える影響を解析した。
(研究結果)
治癒しなかった19歯中14歯には外科的歯内療法、5歯では抜歯が行われた。
治癒期間を有意に延長させる因子として、患者の年齢および術前の透過像の体積が特定された(p<0.001)。
性別、根管充填材、治療の種類は治癒に影響を与えなかった(P>0.05)。
(結論)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療においては、患者の年齢、病変の大きさが治癒期間に影響を与えることが示唆された。
CBCTを用いた経過観察は、根尖病変の状態を詳細に評価することができ、経過観察期間における治療方針決定の一助となることが示された。
(参考文献 Mosquera-Barreiro C, Ruiz-Pinon M, Sans FA, Nagendrababu V, Vinothkumar TS, Martin-Gonzalez J, Martin-Biedma B, Castelo-Baz P. Predictors of periapical bone healing associated with teeth having large periapical lesions following nonsurgical root canal treatment or retreatment: A cone beam computed tomography-based retrospective study. Int Endod J, 57(1) : 23-36,2024.)
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大きな根尖病変を有する歯牙に対する根管治療の効果をCBCTで予後予測が有効であることは、頭で考えただけでも当然と考えられます。
しかしながら、今回の論文では具体的な数字が示されたことにその価値があると考えられます。
すなわち、完全治癒の割合が76%、不完全治癒が24%。
その不完全治癒のうち、74%に対して、追加で外科的歯内療法を行い、26%に対して抜歯を行ったという結果でした。
また、根尖病変の大きさが小さいほうが、そして年齢が若い方が治癒期間は短縮する方向に向かいやすく、完全治癒の平均期間は完全な治癒は76%(60/79歯)で認められ、その平均期間は19か月という結果でした。

2024年10月15日

hori (08:49)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

やはり初回治療症例は、成功率が高い。

Sjogrenらは1977-1979年に行った635歯の849根管を対象に、8-10年後の状態を分析して、治療結果に影響を及ぼした項目を検討した。
まず、術前に歯根周囲のX線透過像がない症例の成功率は96%を超えていたが、歯根周囲の X線透過像がある症例では86%しか治癒を認めなかった。
次に根管充填の位置については、歯髄壊死や根尖透過像を有しているが、初回治療の場合、X線的根尖から2ミリ以内の成功率は94%で、オーバー(50%)と2ミリ以上アンダー(65%)の3者間に有意差は認められなかった。
(参考文献 Sjogren U, et al. Factors affecting the long-term results of endodontic treatment. J Endod. 1990;16(10) 498-504.)
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やはり術前に歯根周囲のX線透過像がない症例と歯髄壊死や根尖透過像を有していても初回治療症例は、成功率が高いということを再認識しました。

2024年10月 5日

hori (09:08)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

オーバー根充VSアンダー根充

Schwartzらは、1959-1979年に歯内治療を行った1007歯の1770根管を対象とし、6か月-10年後の状態を調べ分析している。
X線写真で、オーバー、アンダー・フラッシュの3つに分類し評価した結果、オーバー根充はアンダー根充よりもおよそ4倍失敗率(36.59%と8.10%)が高かったと報告した。
また、フラッシュ根充も解剖学的にみれば大多数がオーバー根充となりえるということは臨床状留意するべきである。
(参考文献 Swartz DB, et.al. Twenty years of endodontic success and failure. J Endod. 1983; 9(5) : 198-202.)
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確かにフラッシュ根充は大多数がオーバー根充かもしれません。
歯牙への咬合力が大きい場合、根尖にセメント質が添加されるわけですから、適切な歯根長はX線上ではより短めになる可能性もあるのではないかと考えています。

2024年10月 1日

hori (08:15)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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