カンジタ菌による虫歯にはフッ素の効果が低い。
・フッ化物がカンジタ菌による酸産生を抑制できない。
東北大学口腔性科学分野の?橋教授らの研究グループは、本来は酸素のある環境で増殖しやすいカンジタ菌は、酸素が存在しない環境でも酸を作り出し、歯を溶かす可能性があることを解明した。
研究グループは、カンジタ菌がどのように酸を産生し、フッ化物の影響を受けるかを5種類のカンジタ菌を用いて実験を行った。
その結果、カンジタ菌が酸素のない状態でも酸を産生することを発見し、その酸が歯を溶かす作用を持つことが確認された。
さらに、虫歯予防に広く使われているフッ化物が、カンジタ菌による酸産生を抑制できないことが明らかになった。
これはカンジタ菌がフッ化物に対して非常に高い耐性を持つことを示している。
(アポロニア21 2025年5月号 )
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『虫歯予防にはフッ素!』と古くからいわれてきましたが、今回の研究でカンジタ菌で虫歯ができること、フッ素の予防効果は低いことが明らかになりました。
男性6割、女性8割が「交際・結婚に影響」
交際・結婚を考えるのに、相手の歯並び・歯の色を気にする人は男性でおよそ6割、女性で8割。
婚活支援サービスを運営する(株)オミカレが会員1223人に対してWeb調査したもの。
交際・結婚を考える際に判断基準となるポイントについての質問(複数回答)で、男性の回答で最も多かったのは「体型」87.6%で、「体臭・口臭」は82.2%、「歯並び・歯の色」は61.0%だった。
女性で最も多かったのは「体臭・口臭」95.6%で、「歯並び・歯の色」は78.2%だった。
(アポロニア21 2025年4月号 )
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「収入」という要素が含まれていないので、交際相手・結婚相手の身体に関する特徴に関しての調査なのだと思います。
埋入深度が深すぎるとインプラント周囲炎リスクが8.5倍に!
両隣在歯のCEJより6ミリを超えて深く埋入されたインプラントは周囲炎の発症リスクが8.5倍になるということも文献的に示されている。
(参考文献)
Kumar PS, Enomoto H, Tsurumaki S, Ito K. Biologic height-width ration of the buccal supra-implant mucosa. Eur J Esthet Dent. 2006 Autumn ; 1(3) : 208-14.
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例えば、下顎第1大臼歯の繰り返しの根管治療および最終的には歯根破折で抜歯に至ったようなケースに対して、ショートインプラントで対応する場合、両隣在歯より深め埋入になる傾向にあります。
今回の研究で両隣在歯のCEJより6ミリを超えない方がよいことが明らかになりました。
歯の喪失による認知症リスク
東京科学大の研究グループによると、全国の65歳以上の高齢者に実施した12年間の追跡調査から、2万1306人のデータを活用。
所得が低いほど認知症リスクが高く、歯の喪失がその一因となることを確認した。
分析では、所得が200万円未満の人は200万円以上の人に比べて認知症リスクが1.17倍高かった。
そして、所得と認知症リスクの関係のうち6.6%は歯の喪失が要因としてかかわっていると判明した。
(参考文献)Jounal of Dentistry 12/13
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歯の喪失による認知症リスクは、あるかないかといえばあるけれど、その割合はそれほど高くないことが分かりました。
ラテラルアプローチは1.痛み2.腫れ3.あざがいずれも3倍。
・2017年に報告された論文で、クレスタルアプローチとラテラルアプローチの合併症の比較が行われた。
その結果、クレスタルアプローチに比べてラテラルアプローチは1.痛み2.腫れ3.あざがいずれも3倍であった。
このことから、患者の侵襲やストレスを軽減するためにクレスタルアプローチを選択することを考慮するべきである。
(参考文献)
Al-Almaie S, Kavarodi AM, Alorf A, et al.: A splint-mouth design compariso for lateral and crestal sinus lift techniques with dental implants placements: Short communication. Open Dent J 11: 603-608,2017.
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患者さんサイドの苦痛が3倍なのであれば、直視できないという欠点はありますが、クレスタルアプローチを選択するべきでしょうね。
上顎洞内へのインプラント治療
・骨補填材を使用しないで上顎洞へアプローチした場合のインプラントの平均生存率は96-97%、骨造成のために骨補填材を使用して上顎洞へアプローチした場合の平均生存率は94-99.6%であり、骨補填材を使用する場合と使用しない場合を比較した場合、インプラントの生存率に有意差はないという報告もある。
また、上顎洞へアプローチする際に骨造成処置を行わないことがインプラントの生存に対するリスク要因ではないともいわれている。
(参考文献)
Rammelsberg P, Kilian S, Busch C, Kappel S.: The effect of transcrestal sinus-floor elevation without graft on the long-term prognosis of maxillary implants. J Clin Periodontol. 47(5): 640-648,2020.
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上顎洞内粘膜が剥離されて、穿孔・感染がなく、インプラントフィクスチャーでテンティングされた状態の際、フィクスチャーの直近には骨が存在している可能性があります。
同部位が骨補填材で満たされているとそれを目にした人が何となく安心であるくらいの意味しかないのかもしれません。
20歳以上の男女100人、7割が悩むものとは?!
20歳以上の男女の7割が口臭で悩んだことがあると分かった。
歯科医院を運営するお口プラスが100人にインターネットで調査。
「口臭で悩んだことがあるか」との質問に、72人が「ある」と回答した。
口臭対策で行っていることの質問(複数回答)では、「歯磨き」が最多の79人、「フロスや歯間ブラシを使う」57人、「水分補給」が46人で続いた。
(アポロニア21 2025年3月号 )
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口臭で悩む人が想像に多いことに驚かされます。
骨膜細胞から産出される、がん進行を抑えるTimp1とは?!
・腫瘍が骨に近接した浸潤前組織では骨膜の厚みが3-4倍に増加することを見出した。
腫瘍が近づくと骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、これによりコラーゲンが蓄積することで骨膜が分厚くなり物理的にがんの進行を抑えること、Timp1遺伝子を破壊したマウスでは口腔がんの浸潤が顕著に増悪し早期に死に至ることを発見した。
(参考文献)
The periosteum provides a stromal defence against cancer invasion into the bone. Nakamura K, Tsukasaki M, et al. Nature. 2024. 634(8033) : 474-481.
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口底がん近接部位の骨膜肥厚の変化をがん浸潤の前後で比較したところ、健常部位に比較して腫瘍近接部位は統計学的に有意な差(P=0.0054)をもって厚みを増し、一度がんが浸潤してしまうと、統計学的な有意差(P<0.0001)をもって健常部位よりも骨膜厚さを減ずることが明らかになりました。
これにより、がん浸潤に生体が対抗するべく隣接する骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、その結果骨膜の厚さが厚みを増すということになりました。
Timp1の量を何かしらの手法で増大可能であれば、がん浸潤を防ぎ、医学の進歩に寄与することでしょう。
角度付きアバットメントのスクリューリテインで90%補綴可能。
(目的)
審美領域でのインプラント即時埋入、即時プロビジョナルにおいて、角度付きアバットメントを使用しなければいけない頻度を評価すること。
(方法)
200人の被検者のCBCTを用いて、インプラント埋入シュミュレーションを行った。
スクリューのアクセスホールをどのくらいの確率で、口蓋側に設定できるか、「ストレートチャネル」と「角度付きチャネル」の2つの場合でシュミュレーションを行った。
(結果)
計1200本の歯牙のうち、「ストレートチャネル」を用いてスクリューリテインにて補綴できるケースが14%であった。
「角度付き(25度)チャネル」を用いれば口蓋側にアクセスホールを位置づけ、スクリューリテインにて補綴できるケースが75%であった。
(部位ごとでの処置可能な割合) 即時埋入 ストレートチャネル 25度角度付きチャネル
中切歯 径4.3ミリ 74% 10% 66%
中切歯 径3.5ミリ 92% 24% 87%
側切歯 径3.5ミリ 90% 10% 75%
犬歯 径4.3ミリ 79% 11% 73%
(参考文献)
Frequency of screw-retained angulated screw channel single crown following immediate implant placement and provisionalization in the esthetic zone : A cone beam computed tomography study. Kan JYK, Rungcharassaeng K, Kamolroongwarakul P. Lin GH, Matsuda H, Yin S,Wang HL, Tarnow D, Lozada JL. Clin Implant Dent Relat Res. 2023; 25(5) : 789-794.
なぜ加齢によって肺炎が発症するのか。
肺炎・誤嚥性肺炎は、肺炎連鎖球菌による感染症である。
肺炎球菌に対する感受性は65歳以上の高齢者で著しく高くなるため、超高齢社会の日本では、肺炎球菌感染症の罹患者数および死亡者数が増加している。
高齢者に肺炎球菌感染症が発症するメカニズムを若齢・老齢マウスを用いて調べたところ、加齢により肺炎球菌の分解・排除機構であるオートファジーが減弱することが明らかになった。
(参考文献)
日本歯科医師会雑誌 2025VOL.77 NO.10
加齢とオートファジーの関連性 (なぜ加齢によって肺炎が発症するのか)猪俣恵
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非喫煙者の肺がん罹患確率は、とある研究では、非喫煙者の肺がん罹患確率は、男性で0.06%(40歳) から1.35%(70歳)、 女性で0.10%(40歳)から0.75%(70歳)でした。
また、別な研究では、喫煙者は非喫煙者と比べて、肺炎球菌感染症にかかる危険性が約2?3倍高くなると言われています。