インプラントが必要な状態にならないために必要なことの最近のブログ記事

非超弾性形状記憶性Ni-Tiロータリーファイル

・超弾性Ni-Tiロータリーファイルは力が加わると曲がり除荷するとまっすぐに戻ろうとする。
湾曲根管形成中もまっすぐに戻ろうとするので、ファイルは外湾側に押し付けられる。
・非超弾性形状記憶性Ni-Tiロータリーファイルはスプリングバック( まっすぐに戻ろうとする )せず、根管の中心を保った形成ができる。
・周期疲労試験において、非超弾性形状記憶性Ni-TIロータリーファイルは超弾性Ni-TIロータリーファイルの約5倍の破折抵抗を有し、折れにくい。
また、口腔内温度で非超弾性のため、スプリングバックせず、Ni-TIファイルでもプレカーブを付与することができる。
非超弾性計上記憶性Ni-TIロータリーファイルは根管の湾曲に応じて自在に曲がり、根管追従性に優れている。
拡大形成は根管の中心に位置を保ったまま行うことができ、根管形成中に想定以上の負荷が加わる刃部の螺旋が開いて破折を防止する。
使用後は羽部に変形が見られてもすぐに破棄せず、加熱滅菌を行う。
オートクレーブなどによる滅菌後、形状記憶効果により元の形態に回復していれば、繰り返し使用可能である。
元の形態に戻らない場合には塑性変形を起こしていると判断し、破棄となるので管理が容易である。
(日本歯科医師会雑誌 2019年 VOL.71 NO.12 )
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メーカーが新製品を出しても、興味がわかないことが多かったのですが、この商品は個人的にはとても気になります。
今回の報告に間違いがなく、治療結果も安定しているのならば、当院でも導入していきたいと考えています。

治療せずに経過観察だけしていると10年で3本歯を失う。

・治療せずに経過観察だけしているとある文献では、10年換算で3.6本の歯を失っている。
またほかの文献では、2.5本となっている。
そのため、ざっくり10年で約3本喪失する。
(参考文献)
Buckley LA, Crowley MJ. A longitudinal study of untreated periodontal disease. J Clin Periodontol 1984 ; 11 : 523-30.
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20歳の時に28本歯がそろっているとすると、10年に3本ずつの喪失スピードでは、80歳で10本しか残らないことになります。
一方、2018年の仙台市の8020達成率は、64.1%というデータと比較すると、治療せずに経過観察だけになっているケースは現代ではレアケースといえるかもしれません。

歯周ポケットが深い複根歯では、外科の適応。

・歯肉縁下のSRPであるが、熟練した歯科衛生士でも確実に除去できる歯周ポケットの深さは3.73ミリと意外に浅い。
言い換えると、4ミリ以上の歯周ポケットになると取り残す可能性が高いといえる。
ただし、近年拡大鏡やマイクロスコープを用いることでSRPの正確性が高くなり、より深い歯周ポケットでも除去できる可能性はある。
また、Mellonigらは、フラップ手術とSRPの効果を歯周病専門医と一般開業医で比較し、歯周ポケットが深くなるほど、非外科的療法でのデブライドメントは不確実になると述べている。
さらにこの傾向は複根歯で顕著で、4-6ミリの歯周ポケットにSRPを行った場合、歯周病専門医でも完全に除去できたのは25%以下で、開業医のFOPの方が有効であったと報告している。
このように、非外科的歯周治療では歯周炎の原因であるバクテリアを確実に除去することが難しく、それゆえ治療後のSPTにおいても、再発のリスクが高くなる。
これらのことから、4ミリ以上で活動性(BOP(+))の深いポケットでは、歯周基本治療のみではプラークコントロールしにくい部位が残るため、歯周外科処置の適応と考えられる。
(参考文献)
Stambaugh RV, Dragoo M, Smith DM, Carasali L. The limits of subgingival scaling. Int J Periodontics Restorative Dent 1981 ; 1(5): 30-41.
Brayer WK, Mellonig JT, Dunlap RM, Marinak KW, Carson RE. Scaling and root planting effectiveness : the effect of root surface access and operator eperience. J Periodontol 1989 ; 60(1); 67-72.
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歯周ポケットが深くなるほど、非外科的療法でのデブライドメントは不確実になること。
さらにこの傾向は複根歯で顕著で、4-6ミリの歯周ポケットにSRPを行った場合、歯周病専門医でも完全に除去できたのは25%以下で、開業医のFOPの方が有効であったことが明らかになりました。

垂直歯根破折に関しては41%がポスト未装着歯。

・垂直歯根破折は、ポストに咬合力が加わり歯根破折を起こすこともよく経験しますが、垂直歯根破折に関しては41%がポスト未装着歯でした。

(デンタルハイジーン 2018年12月号 )

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垂直歯根破折といえば、メタルポストという印象がありましたが、ポストなしでも歯根破折は生じていることに驚かされました。

個人的にはメタルポストを保険の材料で入れようとした場合、どうしても太くて短いメタルポストになりやすいので、歯根破折が惹起されやすいのではなかろうかと推察しています。

歯磨きとフロス、どちらを先にすべきか?

・25名の参加者に対して、先に歯ブラシで歯を磨き、次にデンタルフロスを使って歯間空隙を清掃するように依頼した(歯ブラシ?フロス)。
同じ試験群に対し、フロスを使った後にブラシで歯を磨くよう依頼した(フロス?歯ブラシ)。
研究者らは、全般的に歯間および口腔内の歯垢の量は、参加者がフロス-歯ブラシ法を行ったときに有意に減少したことを明らかにした。
研究者らは、フロッシングは歯間部の細菌と残屑を解きほぐすために、次にブラッシングを行うと、これらの粒子をさらに口内から取り除くことができると主張した。
(Dental Tribune Japan Edition 12/2018 )
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歯ブラシとフロスで口内清掃を行う場合に、フロスを先に使用した方が有意に口腔内の歯垢の量が少ないようです。
フロスを先に使用するようにしましょう。

上顎犬歯のフェネストレーションの発現頻度は、上顎犬歯で約29%。

・日本人は欧米人に比べてフェネストレーションを起こす頻度が高く、発現頻度は上顎犬歯で約29%、第一大臼歯で約16%、第一小臼歯で約14%に達すると報告されている。
特に上顎前歯部では下顎と比較して骨が脆弱なため、解剖学的にフェネストレーションが生じやすいとされている。
(参考文献)
安藤英一, 戸田忠夫. 歯内療法学(第2版). 東京 : 医歯薬出版, 2001.
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インプラント治療を希望される方の一つのパターンに、上顎骨の大きさが小さく、下顎骨の大きさが大きい方がいます。
今回の報告で、日本人にフェネストレーションが多いことが明らかになりました。
これにより、歯の大きさが人種によって変わらないのであれば、欧米人よりも上顎の顎骨が小さい可能性があります。
フェネストレーションがあると、根尖部に圧痛がありますが、それを確認するには通常のレントゲンでは存在を確認するのが困難です。
圧痛があるのは異常だと患者さんが考え、歯科医院で根管治療を受けるも、それが改善されなければ、転院する場合もあるでしょう。
フェネストレーションの存在により、不要な根管治療が繰り返される可能性があります。
また今回の報告で、フェネストレーションの割合が考えていたよりもはるかに多いことが分かりました。

根管が見落とされている確率

・根管が見落とされている確率
右上7:33.3%、6:41.3%、5:12.3%、4:5.2%
左上7:27.7%、6:46.5%、5:9.9%、4:10.3%
右下7:22.7%、6:20.1%、5:4.4%、4:18.2%
左下7:20.6%、6:18.1%、5:2.7%、4:35.3%
ということは、左下4が見落とされている根管が多いことになります。
その特徴は、2-3割が根管中央付近で分岐する2根管であることが関連し、根管が見落とされている確率が、右下4では18.2%であるのに対して、左下4では35.3%と大きな隔たりがあることから、右利きの術者であれば、レストが取りやすい右下よりも左下の方が、髄腔開拡の大きさが小さいことに起因しているものと推測されます。
(参考文献)
Karabucak B, et al.: Prevalence of Apical Periodontitis in Endodontically Treated Premolars and Molars with Untreated Canal: A Cone-bean Computed Tomography Study. JOE: 538-541, 2016.

辺縁を歯肉縁下に設定すると歯肉退縮が生じやすい。

・Orkinらは、全423歯のクラウンを355歯の歯肉縁下マージンと68歯の歯肉縁上マージンに分けて調査を行い、プラークインデックス、歯肉出血、辺縁歯肉との退縮度を記録し反対側同名歯の補綴修復されていない天然歯と比較した。
その結果、歯肉縁下マージンの場合、歯肉出血は2.42倍の割合で生じ、歯肉退縮は2.65倍で生じることを報告している。
また、セメント質の露出をともなう上皮付着の根尖方向へ移動という定義で説明される歯肉退縮出現の頻度は、歯肉縁下マージン群で34%、歯肉縁上マージン群でわずか6%であった。
(参考文献)
Orkin DA, Reddy J, Bradhaw D. The relationship of the position of crown margins to gingival health. J Prosthet Dent 1987 ; 57(4) : 421-442.
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学生時代、歯肉縁下0.5ミリは不潔な領域ではないので、クラウンの辺縁の位置は歯肉縁下0.5ミリと習いました。
今回紹介する文献で、クラウンの辺縁が歯肉縁下の場合、縁上の場合と比較して、歯肉出血は2.42倍の割合で生じ、歯肉退縮は2.65倍で生じるといういわば当たり前の結果が明らかになりました。
20年前の自由診療の補綴物といえばメタルボンドで、歯肉が退縮すると急激に審美性が低下したこともあって、クラウンの辺縁は歯肉縁下に設定した側面もあったと思います。
現在は歯肉縁上でオールセラミックスの方が審美的かもしれません。

SPTを続けていても、歯の喪失は起こる。

・この研究は、過去の多くの論文が示したように、SPTを長期間続けた場合の臨床パラメータの安定性をさらに裏付けています。
他方、SPTを継続したにもかかわらず、歯の喪失は起こっています。
そして、それはおもに大臼歯に生じていました。
この研究では、プラークスコアや根分岐部の詳細な状態が示されていませんが、おそらくブラッシングの到達性が低いことや根分岐部病変に絡んだ事項が大臼歯の予後に影響していると考えられます。
したがって、SPTには、とくに大臼歯の口腔衛生は徹底すべきでしょう。
また、治療計画の立案時における予後判定や治療の適応症にも注意を払う必要があります。
また、10年間フォローアップを続けた患者が9.3%という数字に注目してください。
SPTの重要性については十分なエビデンスがあり、またSPTを継続しなかった場合に歯周炎の再発が極めて生じやすくなることも知られています。
現状では、専門施設であっても9割以上の患者がSPTを継続できていない場合があるということです。
(DHstyle 2018年8月号 )
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専門施設であっても9割以上の患者がSPTを継続できていないこと。
SPTを続けていても、歯の喪失は起こっており、その大部分は大臼歯であることが分かりました。

根尖と下顎管が交通している割合は、若い女性に多い。

・Burkleinらは、CBCTを用いて下顎臼歯根尖と下顎管の距離(両者が交通している場合)を調査したところ、それぞれ第二小臼歯では4.2?(3.2%)、第一大臼歯では4.9?(2.9%)、第二大臼歯では3.1?(15.2%)であり、第三大臼歯を除いては第二大臼歯が最も下顎管に近接していたと報告している。
特に、根尖と下顎管が交通している割合は、女性が男性の2倍で、高齢者と比較して35歳以下に多かったという。
(参考文献)
Burklein S, Grund C, Schafer E, Bowles WR : Relationship between root apices and the mandibular canal: a cone-beam computed tomographic analysis in a german poplation. J Endod, 41 (10) : 1696-1700,2015.
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この報告により、若い女性の下顎第二大臼歯に対して根管治療を行う場合は、特に下顎管との位置関係への配慮が必要であることが分かりました。

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