インプラントと歯内療法の最近のブログ記事

患者利益という側面からみて、最新技術は画期的なのか?

 ・日本におけるマイクロスコープの普及率は飛びぬけていることが知られているもの、海外に比べて治療成績が高いかというと、そのように関連付けた言説はあまりない。
・CAD/CAMのクラウンは、適合においても審美性においても歯科技工物として従来品より優れているとはいえないというのは事実です。
(アポロニア21 2019年 5月号 )
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30年ほど前に、日本の歯科医療にマイクロスコープを導入しようとしたきっかけは、術者の姿勢が悪いためにおこる頸頚腕症候群などの職業病を予防しようというものでした。
また、従来のクラウンを製作していたラボサイドは「汚い」「危険」「キツイ」の3K職場だったことを考えると、現在のCAD/CAMのクラウンは製作者にとっては夢のような変化です。
しかし、患者利益という観点からすると、それほど画期的ではないのです。
そのため、個人的には"最新が必ずしも最善とは限らない"と感じるようになりました。

2019年6月10日

hori (08:18)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

日常的なデンタルX写真におけるアンダーの判定は意外と不正確。

・CBCTと比較した論文では、デンタルX線写真におけるアンダーの判定は、三次元的な到達度評価とは大きく異なることが示されている(デンタルでアンダーと判定された25本中20本が、CBCTではフラッシュであった)。
その報告では、成功率は到達度には影響されず、根管充填の緊密度に影響されるという結果であった。
(参考文献)
Liang YH, et al. Endodontic outcome predictors identified with periapical radiographs and conebeam computed tomography scans. J Endod. 2011; (3):326-331.
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日常的なデンタルX写真におけるアンダーの判定は意外と不正確であることがわかりました。
すべてのケースでCBCTを撮影して確認することはできませんが、治療の際に、実際に自分が行った感覚と、CBCTの結果のすり合わせをする必要がありそうです。

2019年5月25日

hori (08:27)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

ナノダイヤモンドで根管治療の成績向上。

・ナノダイヤモンドが抜髄後に消毒された根管を保護し、完治の可能性を高めることが示された。
研究者らは、根管治療中の3名の患者において、ナノダイヤモンドを埋め込んだガッタパーチャ(NDGP)の試験を行った。
その後を検査したところ、NDGPは、従来のガッタパーチャよりも曲がりや破損に対する耐性が強いことが確認された。
3名全員が適切に治癒し、異常な痛みも感染も見られなかった。
「この試験では、ナノダイヤモンドを利用することで、とりわけ困難な歯内療法の症例から整形外科、再生医療などに至るまで、様々な手技の障壁の克服につながるという大きな見込みが得られた」と、共著者でUCLAの歯内療法学のMo Kang教授は語った。
(参考文献)
Climical validation of a nanodiamond-embedded thermoplastic biomaterial.  Proceedings of the National Academy of Sciences.

2019年5月20日

hori (09:34)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

「歯性上顎洞炎」の割合は意外と多い。

・上顎洞は上顎骨内に存在する空洞で、容積は約15ml、自然口を介し中鼻道と交通している。
上顎洞底から最も近い値は、上顎第一大臼歯の口蓋根で0.83ミリ、次に第二小臼歯、第一小臼歯と続き、平均は1.97ミリとの報告がある通り、解剖学的にも非常に近接しているといえる。
・上顎洞炎のうち、「歯性上顎洞炎」の割合は4割に及んでいるとの報告がある。
(参考文献 )
Patel NA, Ferguson BJ. Odontogenic sinusitis: an ancient but under-appreciated cause of maxillary sinusitis. Curr otolaryngol Head Neck Surg. 2012 ; 20(1) : 24-28.
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上顎大臼歯部にインプラント埋入を行う際には、隣在歯が感染根管ではないか注意する必要があります。

2019年4月25日

hori (08:29)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

根管が見落とされている確率

・根管が見落とされている確率
右上7:33.3%、6:41.3%、5:12.3%、4:5.2%
左上7:27.7%、6:46.5%、5:9.9%、4:10.3%
右下7:22.7%、6:20.1%、5:4.4%、4:18.2%
左下7:20.6%、6:18.1%、5:2.7%、4:35.3%
ということは、左下4が見落とされている根管が多いことになります。
その特徴は、2-3割が根管中央付近で分岐する2根管であることが関連し、根管が見落とされている確率が、右下4では18.2%であるのに対して、左下4では35.3%と大きな隔たりがあることから、右利きの術者であれば、レストが取りやすい右下よりも左下の方が、髄腔開拡の大きさが小さいことに起因しているものと推測されます。
(参考文献)
Karabucak B, et al.: Prevalence of Apical Periodontitis in Endodontically Treated Premolars and Molars with Untreated Canal: A Cone-bean Computed Tomography Study. JOE: 538-541, 2016.

2018年11月15日

hori (08:47)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

歯性上顎洞炎に最も関連性の高い根は?!

上顎洞と上顎臼歯根尖との距離
・上顎洞底に近い根
上顎7の近心頬側根(平均0.83ミリ)
上顎6の口蓋根(平均1.56ミリ)
上顎骨頬側壁に近い根
上顎4の近心頬側根(平均1.63ミリ)
上顎6の遠心頬側根(平均1.72ミリ)
(参考文献)
Eberhardt JA, Torabinejad M, Christiansen EL. A computed tomographic study of the distances between the maxillary sinus floor and the apices of the maxillary posterior teeth. Oral Surg Oral Med Oral Pathol 1992; 73(3) : 345-346.
・上顎洞炎症例の平均粘膜肥厚は7.4ミリであった。
上顎第一大臼歯と第二大臼歯は、小臼歯の11倍の確率で上顎洞炎との関与を認めたが、2本の大臼歯の上顎洞炎への関連性は同確率であった。
また、歯性上顎洞炎に最も関連性の高い根は上顎第一大臼歯の口蓋根であり、続いて第二大臼歯の近心頬側根であった。
(参考文献)
Rigolone M, Pasqualini D, Bianchi L, Berutti E, Bianchi SD. Vestibular surgical access to the palatine root of ruperior first molar: "low-dose cone-beam"CT analysis of the pathway and its anatomic variations. J Endod 2003; 29(11): 773-775.
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上顎骨頬側壁に近い根は、何かしらの問題が生じた際には、頬側歯槽骨を破壊してフィステルが現れる可能性が高いということになります。
また、頬側骨から根尖までの距離が小さいので、比較的無症状にフィステルが生じるかもしれません。
上顎第一大臼歯の口蓋根と第二大臼歯の近心頬側根は、頬側の歯槽骨まで距離がある一方で、上顎洞までの距離がないために、歯性上顎洞炎を惹起させやすいと考えることができます。
さらに、上顎第一大臼歯の口蓋根は、頬側の根よりも根尖孔の大きさが大きいために、バクテリアが容易に根尖孔外に出ることが可能となります。
上顎第一大臼歯の口蓋根の根管治療の際には、クラウンダウン法で、上部のバクテリアの多く存在する部位を先に除去する一方で、これ以上根尖孔の大きさを広げないように、ステップバック法も併用していくとよいと考えられます。
しかしながら、このように丁寧な根管治療を行っていても、インプラント治療が必要となるケースはあります。
上顎第一大臼歯の口蓋根からの根尖病変は、容易に歯槽骨を破壊し、その骨量を減らします。
そのため、上顎大臼歯部へのインプラントは、骨増生なしでインプラントを埋入可能なケースはそれほど多くはないというのが現実です。
条件が悪いケースでは、インプラントが上顎洞に迷入しないように、骨増生だけを先に行い、数か月後に2回目の骨増生とインプラント埋入を行うとよいでしょう。

2017年10月25日

hori (16:05)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

抜髄により歯根膜の感覚閾値が低下する。

・局所麻酔は、侵害刺激の中のほんの一部である痛覚を遮断しているにすぎず、麻酔による除痛中であっても、組織は残る多くの刺激に対してダイナミックな応答をしていることを忘れてはならない。
抜髄処置そのものが、痛み中枢の脳幹に関わり、歯根膜組織の感覚閾値を低下させることも明らかとなっており、抜髄による歯周組織の感覚閾値低下は歯根膜感覚を論じる上での定説として確立している。
すなわち、抜髄による歯髄知覚神経の求心路遮断の結果、脳幹における吻側亜核や尾側亜核の機能局在が崩壊し、刺激と応答という特異的関係がなくなり、非特異的応答性に変化することから歯根膜感覚に閾値低下を生じるのである。
(参考文献)
長谷川誠実:顎間厚径弁別能における歯根膜感覚の役割. 岐阜歯科学会誌, 14(2):252-268, 1987.
Sessle BJ, Gerhard HF : Trigeminal neuralgia : current concepts regarding pathogenesis and treatment. 1st ed, Butter-Heinmann, Boston, 1991
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咬合痛がある患者さんの根管治療を行うと、一旦は痛みは消失します。
しかしながら、根管治療後に補綴治療を行った際に、稀に再度咬合痛があると訴える患者さんがいます。
VASでいうと抜髄前が10だとすると、抜髄後は1や2程度です。
そして、どのようなタイプの患者さんがこのような訴えをしてくるかと考えてみると、咬合力がその歯に集中し、歯冠破折を起こしてきた患者さんです。
抜髄を行うと、歯の知覚自体は大幅に閾値が上昇すると考えられますが、代償的に歯根膜感覚閾値が低下し、その歯を守るために知覚の回復を身体がオートマティックに行ってくれるようです。
また他の報告では、失活歯の咬み心地は、生活歯の半分程度であることも明らかになっています。
経験的に抜髄により歯根膜感覚が代償的に感覚閾値を低下させるのではなかろうかと考えてたところなので、今回ようやくそれを正しいとするエビデンスに出会うことができました。
さらに、歯冠破折を起こしてきた歯は、全体の咬み合わせが変化しなければ、将来その部位は歯根破折を惹起する可能性が高いものと考えられます。
そのような部位にインプラント治療を行うことは、そこに歯があった頃の数年前の状態に戻るだけの治療です。
咬み合わせの治療の一つのツールとして、インプラント治療を位置づけなくてはなりません。

2017年5月25日

hori (09:57)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

下顎大臼歯近心中央根管とは?!

・ヒト下顎大臼歯の近心中央根管の発生率を、臨床的に調査。
対象はアメリカ人、75歯中、15歯(20%)に穿通可能な近心中央根管が存在した。
年齢層により有意差があったが、性、大臼歯のタイプは、有意差がなかった。
21歳以下:  32%程度
21-40歳:   24%程度
40歳以上:   4%程度
(参考文献)
Nosrat A, et al. Middle mesial cannals in mandibular molars : incidence and related factors. J Endod. 2015 ; 41 (1) : 28-32.
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これまで、大臼歯の近心根は近心頬側根管と近心舌側根管の2根が存在することが多いと考えられてきました。
そして、その2つの根管の間にはイスマスという溝が存在し、その部分には歯の病気を引き起こす細菌が存在するということが明らかになってきました。
そしてさらに今回の報告で、そのイスマスの中に根管が結構な頻度で存在することが明らかになりました。
また、この近心中央根管の出現率ですが、40歳以上では4%程度、21歳以下では32%程度ということで、統計学的有意差が認められたとのことです。
年齢によって、これほど出現頻度が異なるのは、興味深い現象です。
近年、顎が小さいにも、大きな歯が萌出してきているお子さんは少なくありません。
本来、比較的丸い形態をしていた大臼歯も、狭い顎骨の中で萌出する過程で、押しつぶされて複雑な形態になってきている可能性も考えられます。
そのように考えると、大臼歯の形態が複雑化してくると、その内部の神経の分布も複雑化してくるのではないでしょうか。
今後、近心根の3つ目の根管の存在の可能性を疑って根管治療を行う必要性は、若年者に対する根管治療の際には、特に必要になることでしょう。

2017年1月20日

hori (14:56)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

NiTiファイルの使用そのものが、治療の予後向上のためとは言い切れない。

・Dahlstromら(2011)が指摘しているように、長期にわたり使用していたとしても、不良根管充填が生じる割合や、破折のリスクはあまり変わらないようである。
NiTiファイルの欠点である"器具破折"はつねに付きまとうリスクである。
Kochら(2015)は、NiTiファイルの使用により、成功率が向上することはなかったとしている。
このことは、たとえNiTiファイルを使用しても実際に機械的形成ができる根管壁はごく限られていること、根管内からの細菌の除去に関し、ステンレススチールファイルとNiTiファイルに差がない等の報告からも、推察される。
NiTiファイルの使用そのものが根管治療の予後に与える影響は限定的だと考えるべきであろう。
NiTiファイルが非常に良い危惧であり、今後も臨床の場でさらに存在感を増していくことは間違いない。
しかし、現時点において治療の予後の向上のためとはいいきれないであろう。
(一歩進んだエンド治療のQ&A )
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個人的な感想としても、最新式のNiTiファイルがなくても従来からのステンレススチールファイルでも、根管治療の予後には影響がないように感じていました。
NiTiファイルは穿通性がステレンススチールファイルよりも低いので、根管が狭窄したケースでは、私はステンレススチールの方を重宝して使用しています。
10-15年前はNiTiファイルを嬉々として使用していましたが、突然生じる破折リスクを考えると、ステンレススチールも悪くはないのでは、と考えるようになりました。
個人的にはこれについても、"最新が必ずしも最善とは限らない"ということになるでしょう。

2017年1月15日

hori (17:22)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

10年後のMB単冠では、歯髄生存率は85%前後、ブリッジは70%。

・香港で行われた後ろ向き研究
単冠の陶材焼付冠(MB)あるいはブリッジを装着された歯の根尖部の状態をデンタルX線写真で判定した。
単冠の陶材焼付冠では歯髄の生活性は高かったが、上顎前歯のブリッジでは高頻度で失活となった。
10年後のMB単冠では、歯髄生存率は85%前後、ブリッジは70%。
(参考文献)
Cheung GS, et al. Fate of vital pulps beneath a metal-ceramic crown or a bridge retainer. Int Endod J. 2005; 38(8) : 521-530.
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上顎前歯部への陶材焼付冠あるいはオールセラミックスは、お口の中でもよく見えるところであるために、患者さんの治療希望の多い部位でもあります。
神経を除去すると歯が弱くなるという歯科医師もいるようですが、実際は失活歯は生活歯よりも乾燥しているというデータや、力学的に脆弱であるというデータは誤りのようです。
歯髄生存率は、単冠で85%、ブリッジで70%、その差は15%。
提供する根管治療のクオリティにもよりますが、個人的には、被せてから歯髄壊死が生じるくらいならば、最初から根管治療・根管充填を行い、支台歯形成時の歯髄へのダメージがない状態で被せた方が得策と考えています。
もちろん、患者さんには何か問題が生じた際のリスクを説明したうえで、数ある治療法から選択していただくのが良いということは言うまでもありません。

2017年1月10日

hori (14:50)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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