インプラントと歯内療法の最近のブログ記事
樋状根への適切なポストの配置
佐々木は、直接法による漏斗状根管に対するファイバーポスト併用レジン支台補強に関する報告を行い、3本のファイバーポストとスリーブを配置した条件では、ポストなしおよび中央に1本配置したものよりも有意に高い曲げ強さを示したと報告している。
この結果は、樋状根にもあてはまるのではないかと考えている。
すなわち、樋状根へのポストの配置は複数本もしくはスリーブを複数配置することが有用であるといえる。
(参考文献)
佐々木圭太:漏斗状根管に対するファイバーポスト併用レジン次第築造の補強に関する研究. 日補綴会誌, 2: 157-166. 2010.
*****
樋状根への適切なポストの配置が明らかになりました。
セメント象牙境はエックス線的根尖からは最大2.5ミリ歯冠側に位置する.
・セメント象牙境は解剖学的根尖孔から約1.0ミリ、エックス線的根尖からは最大2.5ミリ歯冠側に位置すると報告されている。
また、これらの位置が一致したものは5%に過ぎなかったとする報告や、組織学的に一致したものはなかったとする報告もあり、臨床的にはその位置を正確に検出することは困難である。
(参考文献)
Sand AY, Al-Yahya AS. The location of the cementodentinal junction in single-rooted mandibular first premolars from Egyptian and Saudi patients : a histological study. Int Endod J 2003 ; 36(8) : 541-544.
*****
セメント象牙境はエックス線的根尖からは最大2.5ミリ歯冠側に位置することが明らかになりました。
解剖学的根尖孔と解剖学的根尖は1.38ミリも乖離していることがある。
・解剖学的根尖孔と解剖学的根尖は乖離していることが多く、乖離が発生する頻度は17-100%とさまざまな報告がある。
そして、その乖離は0.2-1.38ミリほどに及ぶという報告がある。
この乖離は前歯部よりも臼歯部において大きく、それは咬合力によりセメント質が添加されることが原因であるとされている。
(参考文献)
Arora S, Tewari S. The morphology the apical foramen in posterior teeth in a North Indian population. Int Endod J 2009 ; 42(10) : 930-939.
*****
解剖学的根尖孔と解剖学的根尖は乖離していることが多く、その乖離は0.2-1.38ミリほどに及ぶということが明らかになりました。
解剖学的根尖孔と解剖学的根尖は乖離していることが多く、その乖離は0.2-1.38ミリほどに及ぶということが明らかになりました。
学校歯科検診「要受診」でも62.3%が未受診
学校歯科検診で受信が必要とされた生徒のうち62.3%が受診していない。
「2020年学校健診後治療調査」によるもので、前年調査より5.3ポイント増加している。
保団連によると、新型コロナ感染拡大の影響もあり、養護教諭自身も歯科受診を強く勧められないなどの背景があるとしている。
(アポロニア21 2021年8月号 )
*****
子ども医療費助成という制度があるために、中学生以下の子供は医療費がほとんどかかりません。
また、歯科医院でのクラスターは全国的にみてもほぼ認められない状態なので、安心して来院されるとよいと考えています。
根管充填で歯質は強化されるのか?
根管治療後に生じるトラブルの一つに歯根破折がある。
バイオセラミック系シーラーやレジン系シーラーを用いて根管充填を行うことにより、根管充填していない歯と比較して破折しにくくなる。
つまり、微小漏洩を防ぐための緊密な根管充填は、同時に歯の破折予防になる。
ただし、歯質強化といっても、根管形成前に戻るのみで、それ以上ではない。
(参考文献)
Osiri S,et al. Root reinforcement after obturation with calcium silicate-based sealer and modified gutta-percha cone. J Endod, 2018 ; 44(12) : 1843-1848.
*****
比較的新しい材料であるバイオセラミック系シーラーやレジン系シーラーを用いて、根管充填した場合には、根管形成前程度にまで歯質強化がなされるようです。
またほかの文献では、歯質強化という観点からは、側方加圧充填法が推奨されるとの記載もありました。
再根管治療を行わずに、逆根管治療第一選択は是か?!
・築造体の除去が困難である場合、非外科的再根管治療を行わずに、逆根管治療を第一選択にすることは可能なのか?
ポストコアが臨床的、放射線的に問題なく装着されている既根管治療歯87歯に対して、非外科的再根管治療を経ないで行われた逆根管治療の経過を調べた研究。
経過観察は1年半-5年経過時と10年-13年経過時の2回行われた。
1回目の経過観察時には97.6% の歯(83/85)が治癒と判定されたが、2回目では75.8%(47/62)に低下した。
逆根管治療は、非外科的再根管治療を行う際のポストやコア除去に伴う歯根破折や穿孔の可能性を排除できる信頼性の高い治療法である。
(参考文献)
Truschnegg A, et al. Kong-term follow-up for apical microsurgery of teeth with core and post restorations. J Endod. 2020; 46(2) : 178-183.
*****
術式が従来法からモダンテクニックに変化するとともに、使用されるMTAセメントの封鎖性が良好であることなどによって、良好な結果がもたらしているのだと推測されます。
10年-13年経過して75.8%という結果であるのなら、十分信頼できる方法であると考えられます。
下顎前歯の根管解剖
下顎前歯の根管解剖のまとめ
1.下顎中切歯
1根管で1根管が96.2%。
1-2-1が2.1%、1-2が1.7%。
2.下顎側切歯
1根で1根管が82.7%。
1-2-1が11.8%、 1-2が5.5% 。
3.下顎犬歯
1根管で1根管が98.2%。
1-2-1が1.1% 1.1%、1-2が0.7%、2根2根管も1%存在する。
(日本歯科評論 2021年4月号 )
*****
この中で、1-2の割合が最も多いのが、ダントツに下顎側切歯であることは記憶しておきたい内容ですね。
下顎犬歯の38.0%に根管側枝の存在。
・日本人の下顎犬歯の根管側枝の のCBCTによる観察
108人の患者(男性:46人、女性:62人、14-77歳、平均年齢52.8±16.6歳)の108本の下顎犬歯の根管側枝をCBCT画像で解析した。
38.0%の歯で根管側枝を認めた。
年齢による差はなかった。
男性では、差がなかったが、女性では側枝なしが有意に多かった。
(下顎犬歯で側枝ありの女性:20人 下顎犬歯で側枝なしの女性:42人;P<0.01)
(参考文献)
Use of cone-beam computed tomography to evakuate accsessory in mandibular canines of Japanese. Mizuhashi R, Sugawara Y, Ogura I, Mizuhashi M, Saegusa H. Int J Microdent, 11 : 104-107,2020.
*****
下顎犬歯で側枝ありの女性:20人 下顎犬歯で側枝なしの女性ということは、結構な割合で、下顎犬歯の側枝は存在するものであるという認識が必要であることがわかりました。
CBCTによる下顎前歯の観察に関するレビュー
CBCTを用いて下顎前歯の根管形態を観察した19本の論文をレビューした。
2根管が存在する割合は、0.4-45%であった。
中切歯(17.2%)より側切歯(23.7%)のほうが多かった。
地域的には中国は少ないほうであった。
(参考文献)
Root canal morphology of the permanent mandibular incisors by cone beam computed tomography : a systematic review.
Herrero-Hernandez S, Lopes- Valverde N, Bravo M, Valencia de Pablo O, Peix-Sanchez M, Flores-Fraile , Ramirez JM. Macedo de Sousa B, Lopez-Valverde A.
Appl Sci, 10 : 4914,2020.
*****
根管治療予後不良歯は、中切歯よりも側切歯に多いように感じます。
これも側切歯のほうが未治療の根管が存在する確率が多いことと関連しているように思います。
血流量の影響を受ける歯と受けない歯の違い
従来からいわれている知覚過敏では説明できない現象として、同じような実質欠損があるにもかかわらず、知覚過敏の症状のある歯とない歯が存在する。
これはパラファンクションによって歯髄の血流量が影響を受ける場合と受けない場合があるためであると考える。
では、その血流量の影響を受ける歯と受けない歯の違いは何だろうか?
この答えは「根尖孔の位置」ではないだろうか。
パラファンクションによる変位を起こしたときに、根尖孔の位置によって圧迫を受ける歯と受けない歯があり、圧迫を受ける歯は虚血からの代償性充血を引き起こすが、受けない歯は当然血流量に影響がないので虚血が発生しないために、代償性充血も発生しないということである。
(ザ・クインテッセンス 2021年1月号 )
*****
パラファンクションによる変位を起こしたときに、根尖孔の位置により圧迫を受ける歯と受けない歯があることが明らかになりました。
パラファンクションが認められた患者さんで、当院で矯正治療を受けた方の歯牙の歯髄充血の発生頻度やその重篤度に着目して、CTで確認してみたいと思いました。