インプラントと歯内療法の最近のブログ記事

日本人における垂直性歯根破折および関連因子:限局性の歯周ポケットを有する歯の観察研究

本研究は2012-2020年の間に東京都内の歯内療法専門医院を受診し、診断または治療を受けた患者221人(男性68人、女性153人:46.2±10.3歳)を対象とし、限局した深さ5?以上の歯周ポケットが確認された228歯を調査した。
術前に全症例で口腔内エックス線および一部の症例でCBCT撮影を行った。
対象歯を深さ5?以上の歯周ポケットの原因となりうる8つの病態、すなわち、垂直性歯根破折、歯肉縁下う蝕、水平または斜走破折、限局性歯周炎、穿孔、歯根吸収、歯髄壊死または根尖性歯周炎に分類した。
垂直性歯根破折が8つの状態の中で最も多い結果となった(32.0%、73/228歯)。
垂直性歯根破折の確認は抜歯(3歯)、外科的探索(65歯)にて行われた。
垂直性歯根破折は40第(37%)および女性(68.5%)に多く、歯種では下顎第一大臼歯(31.5%)、上顎小臼歯(19.2%)の順に高頻度であった。
多くは隣接歯が存在(87.7%)し、深さ8?以上の歯周ポケットを認めた(50.7%)。
クラウン装着歯(82.2%)およびポストを有しない歯(57.5%)に多い結果となった。
未根管治療歯には垂直性歯根破折を認めなかった。
9つの因子のうち既根管治療歯歯周ポケット(深さ)、歯周ポケット(広さと位置)、歯種、修復物、ポストの有無の6つの因子において垂直性歯根破折と有意な関連を認めた(P<0.05)。
(参考文献)
Lee K, Ahlowalia M, Alfayate RP. Patel S, Foschi F. Prevalence of and factors associated with vartical root fracture in a Japanese population : An observational study on teeth with isolated periodontal probing depth J Endod. 2023 Dec : 49(12) : 1617-24.
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ALL on 4 のような天然歯を基本的にはすべて抜去する治療計画を除き、インプラント治療希望で来院される患者のお口には、保存する予定の歯が少なからず存在する治療計画を選択することがほとんどです。
堀歯科医院では、インプラント治療が終了した次の年にインプラントの一つ前の歯が歯根破折のために抜歯を余儀なくされるような状態がないような治療計画を立てるよう日々研鑽を続けています。
すなわち、インプラント治療以前に、保存予定の歯に上記にある垂直性歯根破折、歯肉縁下う蝕、水平または斜走破折、限局性歯周炎、穿孔、歯根吸収、歯髄壊死または根尖性歯周炎などが存在していないかを的確に診断する技術がなければ、患者さんの幸せな未来に寄与できないと考えています。
そのため、書籍やセミナーでの情報のアップデイトおよび新たな技術習得は楽ではありませんが、歯科医師免許取得以後、継続して行っています。

2026年1月10日

hori (16:17)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

埋入深度が深すぎるとインプラント周囲炎リスクが8.5倍に!

両隣在歯のCEJより6ミリを超えて深く埋入されたインプラントは周囲炎の発症リスクが8.5倍になるということも文献的に示されている。
(参考文献)
Kumar PS, Enomoto H, Tsurumaki S, Ito K. Biologic height-width ration of the buccal supra-implant mucosa. Eur J Esthet Dent. 2006 Autumn ; 1(3) : 208-14.
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例えば、下顎第1大臼歯の繰り返しの根管治療および最終的には歯根破折で抜歯に至ったようなケースに対して、ショートインプラントで対応する場合、両隣在歯より深め埋入になる傾向にあります。
今回の研究で両隣在歯のCEJより6ミリを超えない方がよいことが明らかになりました。

2025年5月 5日

hori (08:22)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

逆根管治療の術後の痛み予測は可能なのか?

逆根管治療後の術後疼痛の経過と、疼痛の予測因子に関する研究。

逆根管治療が行われた18-75歳の健康状態に問題のない173名について検討した。

術後5日間の疼痛を4段階で記録した。

痛みのレベルは、

0:痛みなし

1:軽度の痛み(鎮痛剤の服用を必要としない不快感)

2:中等度の痛み(鎮痛剤の服用でコントロールできる痛み)

3:強い痛み(鎮痛剤の服用で緩和されない痛み)とした。

平均疼痛レベルは1日目が最高で、その後徐々に減少した。

術後1日目で強い痛みはであった。

患者のほとんどは1日目、2日目に軽度あるいは中等度の痛み、3-5日目に痛みを最も多く記録していた。

5日目には86.5%の患者が痛みなし、または軽度の痛みであった。

強い痛みの予測因子を固定するため統計解析を行うと、性別、年齢、術前の骨の厚さに有意差を認めた。(P<0.05)。

術後の強い痛みの起こるオッズ比は女性患者が男性患者と比較して2.8倍増加、年齢が1歳上がると1.04倍現象、術前の骨の厚みが1ミリ増加するごとに1.4倍増加した。

(参考文献)

Malagise CJ, et al. Severe pain after endodontic surgery: an analysis of incidence and risk factors. J Endod 2021; 47 (3): 409-414.

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逆根管治療術後の強い痛みの起こるオッズ比は女性患者が男性患者と比較して2.8倍増加、年齢が1歳上がると1.04倍現象、術前の骨の厚みが1ミリ増加するごとに1.4倍増加することが明らかになりました。

2024年10月20日

hori (08:29)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子

大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子 CBCTを用いた後ろ向き研究
(研究目的)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療後、完全に治癒するまでの期間及び影響を与える因子をCBCTによる経過観察で評価すること。
(研究内容)
最大径10-15ミリの根尖病変を有する79歯に対して、歯内療法専門医が根管治療を行った。
その後6か月おきに口内法デンタルエックス線撮影、12か月おきにCBCT撮影を行い、48か月の経過観察を行い、根管治療のみで根尖部透過像が完全に治癒するまでの期間を評価した。
治療前の透過像の体積、年齢、性別、治療の種類(初回根管治療か再根管治療)、および根管充填材の種類が病変の治癒期間に与える影響を解析した。
(研究結果)
治癒しなかった19歯中14歯には外科的歯内療法、5歯では抜歯が行われた。
治癒期間を有意に延長させる因子として、患者の年齢および術前の透過像の体積が特定された(p<0.001)。
性別、根管充填材、治療の種類は治癒に影響を与えなかった(P>0.05)。
(結論)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療においては、患者の年齢、病変の大きさが治癒期間に影響を与えることが示唆された。
CBCTを用いた経過観察は、根尖病変の状態を詳細に評価することができ、経過観察期間における治療方針決定の一助となることが示された。
(参考文献 Mosquera-Barreiro C, Ruiz-Pinon M, Sans FA, Nagendrababu V, Vinothkumar TS, Martin-Gonzalez J, Martin-Biedma B, Castelo-Baz P. Predictors of periapical bone healing associated with teeth having large periapical lesions following nonsurgical root canal treatment or retreatment: A cone beam computed tomography-based retrospective study. Int Endod J, 57(1) : 23-36,2024.)
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大きな根尖病変を有する歯牙に対する根管治療の効果をCBCTで予後予測が有効であることは、頭で考えただけでも当然と考えられます。
しかしながら、今回の論文では具体的な数字が示されたことにその価値があると考えられます。
すなわち、完全治癒の割合が76%、不完全治癒が24%。
その不完全治癒のうち、74%に対して、追加で外科的歯内療法を行い、26%に対して抜歯を行ったという結果でした。
また、根尖病変の大きさが小さいほうが、そして年齢が若い方が治癒期間は短縮する方向に向かいやすく、完全治癒の平均期間は完全な治癒は76%(60/79歯)で認められ、その平均期間は19か月という結果でした。

2024年10月15日

hori (08:49)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

やはり初回治療症例は、成功率が高い。

Sjogrenらは1977-1979年に行った635歯の849根管を対象に、8-10年後の状態を分析して、治療結果に影響を及ぼした項目を検討した。
まず、術前に歯根周囲のX線透過像がない症例の成功率は96%を超えていたが、歯根周囲の X線透過像がある症例では86%しか治癒を認めなかった。
次に根管充填の位置については、歯髄壊死や根尖透過像を有しているが、初回治療の場合、X線的根尖から2ミリ以内の成功率は94%で、オーバー(50%)と2ミリ以上アンダー(65%)の3者間に有意差は認められなかった。
(参考文献 Sjogren U, et al. Factors affecting the long-term results of endodontic treatment. J Endod. 1990;16(10) 498-504.)
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やはり術前に歯根周囲のX線透過像がない症例と歯髄壊死や根尖透過像を有していても初回治療症例は、成功率が高いということを再認識しました。

2024年10月 5日

hori (09:08)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

オーバー根充VSアンダー根充

Schwartzらは、1959-1979年に歯内治療を行った1007歯の1770根管を対象とし、6か月-10年後の状態を調べ分析している。
X線写真で、オーバー、アンダー・フラッシュの3つに分類し評価した結果、オーバー根充はアンダー根充よりもおよそ4倍失敗率(36.59%と8.10%)が高かったと報告した。
また、フラッシュ根充も解剖学的にみれば大多数がオーバー根充となりえるということは臨床状留意するべきである。
(参考文献 Swartz DB, et.al. Twenty years of endodontic success and failure. J Endod. 1983; 9(5) : 198-202.)
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確かにフラッシュ根充は大多数がオーバー根充かもしれません。
歯牙への咬合力が大きい場合、根尖にセメント質が添加されるわけですから、適切な歯根長はX線上ではより短めになる可能性もあるのではないかと考えています。

2024年10月 1日

hori (08:15)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

エンドクラウンって、何?!

・エンドクラウンは、CAD/CAMのモノブロック加工技術の進歩とともに発展し、欧米を中心に認知が広がった。
2000年代からエンドクラウンに関する様々な基礎研究や臨床研究によって、その有効性が検討された。
2020年と2021年のメタアナリシスでは、臨床研究の予後を統計解析した結果、小臼歯と大臼歯の両方に適用できるというエビデンスが示された。
また、2021年にはヨーロッパ歯内療法学会のポジションステートメントにも選択肢として刑された。
エンドクラウンは、海外で広く認識され、多くの歯科医師によって実践されているが、2023年現在、国内では大学関係者や一部の臨床家に認識が限られている。
(参考文献)
European Society of Endodontology developed by Francesco Mannocci et al: European Society of Endodontology position statement : THe restoration of root filled teeth. Int Endod J, 54(11): 1974-1981, 2021.
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CAD/CAM冠は強度を考え、比較的厚みを十分に必要とされたので、その結果、脱離が比較的多いという問題がありました。
ところが、エンドクラウンの場合には、その保持力を髄腔に求めるので、脱離や破折の心配が少ないだけでなく、再根管治療の際の穿孔の危険性も少ないことが予測されます。
また、CAD/CAMのモノブロックを削り出すことを考えれば、クラウン部分のみよりクラウンと築造部分の合わせた部分をまとめて削り出すという意味では合理的であると考えられます。

2023年11月 5日

hori (08:10)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

垂直性歯根破折に有意に関連する要因

・垂直性歯根破折に有意に関連する要因として、
1. 6ミリ以上の歯周ポケット
2. J-shaped defect
3. 頬側皮質骨の欠損
が挙げられていたが、歯根には至らない歯冠部の亀裂に有意な関連していたとしている。
また、垂直性歯根破折が疑われる歯について、口腔内所見とCBCT所見から診断および要因分析を行った報告がある。
この報告も確定診断はマイクロスコープによる視認であった。
垂直性歯根破折の存在を疑う口腔内所見及び画像所見(全12要因)において、破折の有無に対して有意に影響のあった要因は、以下の4つであった。
・腫脹・膿瘍
・5ミリ以上の歯周ポケット
・CBCTでのJ-shaped defect
・CBCTでの根尖部の骨吸収像
また、すべての要因のうち2つないし3つの要因が重なっている歯は垂直性歯根破折の存在に対するオッズ比が2.56倍、4つ以上の場合は8.80倍であった。
患者個人の要因として、性別・年齢・パラファンクションが垂直性歯根破折の存在と有意に関連があった。
さらにこの報告において注目すべきは、垂直性歯根破折の見落とし(偽陰性)は少ないものの、過剰に垂直性歯根破折を疑う(偽陽性)可能性が高いということを示している。
結局は、怪しいと思われる所見が存在して、実際には破折線を確認しない限りは歯根破折だとは確定できない、ということになる。
(参考文献)
Quintero-Alvarez M, Bolanos-Alzate LM, Villa-Machado PA. Restrepo-Restrepo FA, Tobon-Arroyave SI. In vivo detection of vertical root fractures in endodontically treated teeth: Accuracy of cone-beam computed tomography and assessment of potential predictor variables. J Clin Exp Dent, 2021 Feb ; 1: 13 (2) : e119-e131.
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歯根破折に関しては、怪しいと思われる所見が存在して、実際には破折線を確認しない限りは歯根破折だとは確定できないことが明らかになりました。

2023年11月 1日

hori (08:42)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

セメント質剥離の診断について

セメント質剥離は診断が困難な場合があり、剥離が歯冠側で生じると、限局的な深い歯周ポケットが形成されるため、垂直的歯根破折と誤診されやすい。
一方、根尖側で剥離が生じると、歯肉の腫脹瘻孔の形成、そして根尖部周囲の骨吸収を呈し、根尖性歯周炎と誤診され奏功しない根管治療を繰り返し、結果として抜歯に至るということがまま起こっている。
(参考文献)
Lin HJ, Chang MC, Chang SH, Wu CT, Tsai YL, Huang CC, Chang SF, Chang YW, Chan CP, Jeng JH. Treatment outcome of the teeth with cemental tears. J Endod. 2014 Sep ; 40(9) : 1315-20.
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セメント質剥離は、60歳以上の男性前歯生活歯に比較的多く認められるので、注意が必要です。

2023年9月 5日

hori (08:31)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

樋状根への適切なポストの配置

佐々木は、直接法による漏斗状根管に対するファイバーポスト併用レジン支台補強に関する報告を行い、3本のファイバーポストとスリーブを配置した条件では、ポストなしおよび中央に1本配置したものよりも有意に高い曲げ強さを示したと報告している。
この結果は、樋状根にもあてはまるのではないかと考えている。
すなわち、樋状根へのポストの配置は複数本もしくはスリーブを複数配置することが有用であるといえる。
(参考文献)
佐々木圭太:漏斗状根管に対するファイバーポスト併用レジン次第築造の補強に関する研究. 日補綴会誌, 2: 157-166. 2010.
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樋状根への適切なポストの配置が明らかになりました。

2022年7月20日

hori (08:36)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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