インプラントと喫煙の最近のブログ記事

30代以上の高血糖で歯の喪失リスク上昇

30代以上では、HbA1c値や空腹時血糖値が高いほど歯の本数が少なく、高血糖と喫煙の条件が重なると歯の喪失リスクが高まる。
滋賀医大とサンスターの共同研究によるもの。
研究グループは、血糖コントロールレベルと歯の本数の関係を年代別に検証し、さらに高血糖と喫煙条件が単独、重複する場合のリスクを調べた。
結果、30代以上の各年代でHbA1c値や空腹時血糖値が高いほど歯の本数が少ないという連続的な関係性が示唆された。
さらに、中年期(40-59歳)では、高血糖と喫煙の条件はそれぞれ単独で、両条件とも該当しない群と比べて歯の本数が24未満になるリスクが高かった。
また、高血糖と喫煙の条件が重なる群では、よりリスクが高いことも分かった。
(アポロニア21 2021年12月号 )
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30代以上の各年代でHbA1c値や空腹時血糖値が高いほど歯の本数が少ないこと、中年期(40-59歳)では、高血糖と喫煙の条件はそれぞれ単独で、両条件とも該当しない群と比べて歯の本数が24未満になるリスクが高かいことが明らかになりました。

2022年1月20日

hori (08:17)

カテゴリ:インプラントと喫煙

何年禁煙すれば、非喫煙者の歯周炎リスクに近づくのか?

10-47年のメンテナンス期間において、喫煙の容量依存効果と禁煙が歯周炎による歯の喪失に及ぼす影響
(主な結果)
患者の平均フォローアップ期間は24.2(10-47.5年)で、年間メンテナンス来院数は平均2.24回であった。
ベースライン時に存在していた6590本の歯(平均25.6本/患者)のうち、歯周炎により失われた歯は264本であり、年間の平均喪失本数は、それぞれ非喫煙者0.03本、元喫煙者0.05本、軽度喫煙者0.08本、重度喫煙者0.11本であった。
また、歯周炎による歯の喪失頻度は非喫煙者で最も低く、重度喫煙者で最も高かった。
(表1)
       歯周炎による抜歯      歯周炎の他の理由による抜歯
1. 非喫煙者    2.5%              4.4%
2. 元喫煙者    4.1%               5.5%
3. 軽度喫煙者   5.6%              4.4%
 (1日10本未満)
4. 重度喫煙者   10.3%              13.7%
 (1日10本以上)
重度喫煙者は、それぞれと比較して非喫煙者の4.38倍、軽度喫煙者の2.74倍、元喫煙者の2.56倍の歯を喪失するリスクを有していた。
また、元喫煙者の中でかつて重度喫煙者であった場合は、軽度喫煙者よりも歯周炎で歯を喪失するリスクが4.89倍高かった。
元喫煙者において「禁煙後の期間」が<15の場合に、非喫煙者と比較して、歯の喪失リスクが有意に高かった。
(表2)歯周炎による歯の喪失と禁煙状況との関連
         喫煙状況   禁煙後の期間(年) 調整オッズ比 95%信頼関係
1. 非喫煙者                      1
2. 元喫煙者  1日10本未満の元喫煙者  >40     0.58    0.18-1.86     
                    31-40     0.26     0.03-2.09
                   16-30      0.52    0.24-1.12
                    <15      3.74    1.50-9.34
       1日10本以上の元喫煙者  >40     1.76     0.54-5.72
                   31-40     1.7     0.38-7.67
                   16-30      1.75    0.64-4.82
                    <15      12.2    4.64-31.90
3. 喫煙者   1日10本未満の喫煙者  該当なし     1.94    0.93-4.05
       1日10本以上の喫煙者  該当なし     4.32    2.63-7.08
(参考文献)
Ravida A, Troiano G, Qazi M, Saleh MHA, Saleh i, Borgnakke WS, Wang HL. Dose-dependent effect of smoking and smoking cessation on periodontitis -related tooth loss during 10-47 years periodontal maintenance-A retrospective study in compliant cohort. J Clin Periodontol 2020 ; 47(9) : 1132-1143.
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元喫煙者において「禁煙後の期間」が<15の場合に、非喫煙者と比較して、歯の喪失リスクが有意に高いことが明らかになりました。
また逆に言うと、喫煙の影響は禁煙してからも15年は続くということになります。

2021年6月 5日

hori (08:45)

カテゴリ:インプラントと喫煙

受動喫煙でも睡眠の質が低下することを解明

・受動喫煙でも睡眠の質が低下することを解明
若い女性は、受動喫煙により睡眠の質が低下して睡眠時の歯ぎしりにつながる可能性がある。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科らの研究によるもの。
痛みや顎関節症を引き起こす睡眠時の歯ぎしりは、リスク因子として飲酒や逆流性食道炎、ドーパミン作動性障害、喫煙などが報告されている。
研究グループは、受動喫煙の睡眠への影響を明らかにするために、岡山大学の新入生2144人に歯科健診およびアンケートを実施。
喫煙者や習慣的な飲酒をしている人、20歳以上を除いた1781人を対象に「受動喫煙」「睡眠の質」「睡眠時の歯ぎしり」の関連性を分析。
結果、女性のみ、「受動喫煙」が睡眠時の質を低下させ、睡眠の歯ぎしりを誘発させる可能性が明らかになった。
(アポロニア21 2020年6月号 )
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女性のみが「受動喫煙」が睡眠の質を低下させるという結果には考えさせられました。
私が研究者ならば、同じ女性でも閉経した女性で同様の実験を行った場合、睡眠の質に変化が認められるのか追加実験をすると思います。

2020年6月15日

hori (08:51)

カテゴリ:インプラントと喫煙

ソーセージテクニック

・筆者はすべての喫煙者に対して、手術の3か月前から禁煙を行うように指導し、最低でも移植部位の初期の治癒期間である最短3週間は禁煙プログラムを継続するようにしている。
・筆者は3か月間喫煙しなかった患者は、治療期間を通じて喫煙を再開することはないことも見出している。
・アモキシシリンは最良の選択である。
手術の1時間前に2gのアモキシシリンを経口投与し、500ミリグラムを1日3回、手術後1週間投与することが推奨される。
大規模な骨移植をした場合は、この処方期間は10日間に延長することもある。
・外科手術のあと24時間経過するまで、患者にはうがいをさせないようにする。
外科手術の翌々日から患者に1日2回のクロルヘキシジンによる含嗽を開始させる。
含嗽は10日間行う。
・単純結節縫合は術後10-14日、マットレス縫合は2-3週間で抜糸する。
(垂直的および水平的歯槽堤増大術 )
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ソーセージテクニックで有名なDr.Istvan Urbanの書籍からの抜粋です。
禁煙プログラム、投薬、含嗽や縫合についての具体的な方法が明記されていました。
難しい手術であればあるほど、このような基本的部分が結果を左右する可能性があります。
今一度自分の臨床を顧みたいと考えました。

2018年8月25日

hori (11:23)

カテゴリ:インプラントと喫煙

タバコのニコチンが齲蝕リスクを高める。

受動喫煙のある小児は、他の原因による影響以外に、2倍近くも齲蝕のリスクが増えることが分かっています。
ニコチンがミュータンス菌に作用すると、歯にくっつきやすくなったり、酸を多くつくようになったり、さらにその酸が薄まらないようにバリアを強めたりすることが分かっています。
成人においては、歯周病や歯の喪失のリスクを30%高めることもわかってきました。
(歯科衛生士 2018年 vol.42 )
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タバコのニコチンが齲蝕リスクを高めるそうなので、注意が必要です。

2018年7月15日

hori (08:39)

カテゴリ:インプラントと喫煙

副流煙は、主流煙より有害物質の濃度が高い?!

・副流煙は、実は主流煙より有害物質の濃度が高い?!
副流煙に含まれるタバコの煙の3大有害物質の濃度は、
1. ニコチン  主流煙の約2.8倍
2. タール   主流煙の約3.4倍
3. 一酸化炭素 主流煙の約4.7倍 
(nico 2018年3月号 )
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副流煙は体に良くないということは広く知られていますが、副流煙が主流煙の何倍も健康に悪いということはあまり知られていないように思います。
インプラント治療を受ける方で喫煙者は、少なくないように感じます。
喫煙者、特にヘビースモーカーは、インプラントが骨結合するまでの期間が、非喫煙者よりも長いような印象があります。

2018年4月25日

hori (07:58)

カテゴリ:インプラントと喫煙

喫煙は歯周病の最大のリスク!

・1988-1994年、米国で「NHANES3」という1万人を超える規模の全国調査が実施され、喫煙と歯周病の関係が詳細に分析された。
4ミリ以上のアタッチメントロスで、同部位に4ミリ以上の歯周ポケットが1か所でもあると者を歯周病と定義すると、米国の調査対象者の9.2%が歯周病となりました。
喫煙状態別に比較すると、喫煙者では15.6%、過去喫煙者では10.5%、非喫煙者では4.9%が歯周病となり、喫煙者では歯周病に罹患している人が著しく多いことがわかりました。
同じ年齢、性別、人種、学歴、収入であっても、喫煙者は非喫煙者に比べて3.97倍(オッズ比)リスクが高いとの結果になっています。
また、喫煙の量によっても差があります。
1日に9本以下の喫煙者と非喫煙者を比較したリスクが2.79倍であるのに対して、1日に31本以上喫煙する人と非喫煙者を比較した場合では5.88倍と、リスクが2倍以上に増加しています。
「NHANES3」の調査対象においては、様々な歯周病のリスク因子を加味してみても、歯周病の原因の52.8%が喫煙と推定されています。
まさに、喫煙は歯周病の最大のリスクというわけです。
(知って得した!歯周治療に活かせるエビデンス )
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男性のインプラント治療希望者には、なぜか喫煙者が多いように感じます。
今回紹介したデータでは、歯周病の原因の52.8%が喫煙と推定されているように、『喫煙は歯周病の最大のリスク』といっても過言ではないと考えています。
一日に31本以上喫煙しているのであれば、一日に9本以下の喫煙を一つの目標にしたうえで、インプラント治療を視野に入れていただければと思います。

2017年4月 5日

hori (17:29)

カテゴリ:インプラントと喫煙

歯科衛生士学校の学生の20%が喫煙。

・2003年の調査では、日本の歯科衛生士学校の学生の20%が喫煙していました。
その背景を探ってみると、母親が喫煙者である場合に5倍以上の割合で喫煙していることがわかり、母から娘へとつながる喫煙の連鎖を断ち切ることの重要性が示唆されました。
(知って得した!歯周治療に活かせるエビデンス )
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個人的には、日本の歯科衛生士学校の学生の20%が喫煙しているという事実に驚きました。
また、母親が喫煙者である場合に5倍以上の割合で喫煙しているということも興味深く感じました。
歯周治療にしても、インプラント治療にしても、喫煙はマイナスの影響が大きいです。
今回の報告で、口腔衛生指導に関して喫煙のデメリットを伝えなければならない歯科衛生士自身が、喫煙をしている人が結構な割合でいることがわかりました。

2017年3月 1日

hori (08:43)

カテゴリ:インプラントと喫煙

電子タバコが安全というわけではない。

・アメリカ・ロチェスター大学のIrfan Rahman教授らの研究グループが、「電子タバコは、紙巻きタバコに比べて健康被害が少ないと考えられているが、口腔疾患については同等の有害性がある」と警告している。
電子タバコは歯周疾患の原因とされるニコチンが通常のタバコより少ないものの、蒸気が歯周組織の細胞に有害で、特にメンソール味の蒸気は有害性が大きいという。
Rahman氏は「電子タバコの蒸気にさらされていると、口腔の細胞の53%が3日間で死滅する」と指摘。
電子タバコが安全という誤解を解こうとしている。
(アポロニア21 2016年 1月号 )
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紙巻きタバコを電子タバコに替える人が増えています。
従来のタバコよりは健康被害は少ないようですが、電子タバコが安全というわけではないようです。
インプラント周囲炎や歯周病も喫煙とは関係がありますから、最低でもタバコを減らす努力はしていただきたいものです。

2017年1月30日

hori (08:38)

カテゴリ:インプラントと喫煙

歯周病のリスク因子

・IL-1の多型と喫煙習慣については、5年から14年のメンテナンス患者の経過を追跡した研究がある。
この研究からIL-1多型の陽性患者(陰性の2.7倍)、喫煙者(非喫煙者の2.9倍)で顕著に歯の喪失が見られ、さらにIL-1多型の陽性で喫煙者の場合はさらに歯の喪失の危険性が高かった(IL-1陰性非喫煙者の7.7倍)。
また、体重増加(BMI)については、体重増加と歯周病の発症および進行に相関関係があることが報告されつつある。
サルを用いた動物実験でもカロリー摂取を控えた実験群では、通常のサルに比べ、アタッチメントロスと出血が少ない傾向にあったという報告がある。
ヒトを対象にした研究でも、BMIが高い患者は歯周病も4倍の確率で重症化しやすいことが分かっている。
・リウマチのような慢性炎症性疾患では、CRPのレベルが高い傾向にあり、骨代謝に障害をきたしている。
結果としてリウマチ患者の51%、変形性関節炎の患者の26%に重度の歯周炎を認めるという報告もある。
・リスク因子のうち重要性が高いものとして、
〇歯周疾患の既往メンテナンスの不定期性、喫煙、糖尿病、IL-1レベルの高いもの
・重要性が不明確だが関与が疑われるものとして、
〇内臓脂肪、BMIの高いもの、食生活、栄養状態、慢性炎症性疾患、エピジェネティックス(後天的な遺伝形質の発現)
日本臨床歯周病学会学会誌 Vol.30 2012 )
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歯周病のリスク因子を列挙してみました。
リウマチのように原因がまだはっきりわかっていない病気との関連で歯周病になりやすい場合や、遺伝的な要素により歯周病になりやすい場合は確かにあることでしょう。
けれども、禁煙や、歯科医院でのメンテナンスを受診したり、BMIを下げたリスことは、各人の努力次第で歯周病のリスクを低減させることは可能かと思います。
できることから歯周病対策をしていただけたらと思います。
また、インプラント治療後にも糖尿病や喫煙はインプラント周囲炎のリスクとなりうるので、禁煙や血糖値が上がりにくい生活習慣等は引き続きしていただくこととなります。

2016年5月 1日

hori (14:24)

カテゴリ:インプラントと喫煙

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