インプラント周囲炎の最近のブログ記事

唾液分泌量が少ないと虫歯リスクが増大する。

・日本の成人を対象とした研究では、虫歯経験歯率のオッズ比を刺激唾液の分泌量で比較した結果が示されています。
刺激唾液の分泌量が少なくなるにつれて、虫歯経験率のオッズ比が高くなる傾向がみられ、3.5mL/分超のオッズ比を1.0とすると、2.5mL/分以下の人のオッズ比は約1.8でした。
(参考文献)
Shimazaki Y, et al. Stimulated salivary flow rate and oral health status. J Oral Sci 2017 ; 59(1): 55-62.
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今回紹介した論文以外にも、刺激唾液の分泌量が1.0mL/分以上の比較して、0.6mL/分以下の人出は虫歯リスクが2.4倍あったとする米国における研究報告もあります。
唾液の中には細菌の増殖を抑える働きのある物質が存在するため、唾液が少ない人は虫歯、歯周病、インプラント周囲炎に罹りやすいといえます。
また、唾液が少ないと口臭発生原因の一因となります。

2021年10月 5日

hori (08:42)

カテゴリ:インプラント周囲炎

手術プロトコルの違いはインプラント周囲炎に関連するのか?

・1592回のインプラント手術(1017名/3082本インプラント)が一つの紹介先開業医で行われた。
下顎のインプラント外科治療、インプラント埋入と同時に行われた歯肉移植術がインプラント周囲炎や早期炎症のリスクを増加させた。
また、2回法での埋入治療(85%が付加的なGBRを行っている)も1回法のシンプルなインプラント治療や抜歯即時埋入治療よりもインプラント周囲の炎症を引き起こすリスクが高かった。
(参考文献)
Jemt T, Karouni M, Abitbok J, Zouiten O,Antoun H. Clin Implant Dent Relat Res 2017; 19(3):413-422. A retrospective study on 1592 consecutively performed operations in one private referral clinic. Part ?:Peri-implantitis and implant failures.
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付加的なGBRを併用している2回法インプラントは、1回法インプラントや抜歯即時インプラントよりも、後にインプラント周囲炎に罹患するリスクが高いことが明らかになりました。

2021年8月 1日

hori (08:40)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント周囲炎の治療成功率が低い表面性状とは?!

一概にラフサーフェスといっても、各インプラントメーカーの表面性状の違いから、インプラント周囲炎治療を行った際の成功率が異なることが報告されている。
インプラント周囲炎治療の成功率
機械研磨79%、ラフサーフェス34%
ラフサーフェースを表面性状別に分けると、TiUnite16%、 TiOblast 45%、OssseoSpeed67%、SLA85%
(参考文献)
Carcuac O, Derks J, Abrahamsson I, Wennstrom JL, Petzold M, Berglundh T. Surgical treatment of peri-implantitis: 3-year results from a randomized controlled clinical trial. J Clin Periodontol. 2017; 44(12): 1294-1303.

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インプラント周囲炎の成功率の最も低い、TiUniteを表面性状とするインプラントには、バイオフィルムの徹底的な除去と細菌の再付着の減少を目的として、インプラント表面を削合・研磨するインプラントプラスティが有効であると考えられます。

しかしながら、インプラントプラスティを行うと、インプラント径が小さくなるので、機械的強度が低下します。

そのため、All-on-4のように表面性状がTiUniteで、そもそも埋入しているインプラントの本数が少なく、上部構造体が一体化しているものでは、1本のインプラント体が破折し、その発見が遅れてしまうと、すべてのインプラントを失う危険性があります。

2021年7月 1日

hori (08:19)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント表面のバイオフィルム除去に最も効果的だった方法とは?!

口腔内でプラークを4日間生着させたインプラント132本を、6つの治療群(ガーゼ、超音波スケーラー、エアフロー、金属製回転ブラシ、Er:YAGレーザー、未処置)に分け、それぞれの器具で1分間清掃を行い、走査型電子顕微鏡を用いたインプラント表面の質的評価と細菌培養による細菌数の量的評価を行った。
その結果、SEM像では、機械研磨のインプラントにおいて、ガーゼ群と回転ブラシ群の2群でそのほかの方法に比べ良好な表面正常が確認され、細菌量の評価では、表面正常にかかわらずガーゼ群、回転ブラシ群、エアーフロー群で良好な結果が観察された。
(参考文献)
Otsuki M, Wada M, Yamaguchi M, Kawabata S, Maeda Y, Ikebe K. Evaluation of decontamination methods of oral biofilms formed on screw-shaped rough and machined surface implants : an ex vivo study. Int J Implant Dent. 2020; 6(1): 18.
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ガーゼという原始的な手法が、レーザーなどの最先端の治療より効果的であったという結果に驚かされました。
特別な器具を使わずともインプラント表面のバイオフィルムが除去可能であることを示したといえますね。

2021年6月25日

hori (08:47)

カテゴリ:インプラント周囲炎

アバットメント接合様式が上顎前歯部単独インプラントの審美に与える影響

・アバットメント接合様式が上顎前歯部単独インプラントの審美に与える影響:ランダム化比較臨床試験による5年間の追跡調査
(概要)
本研究は、上顎前歯または上顎第一小臼歯の単独歯欠損に対してインプラント治療を行う患者を対象とした。
欠損部に対し、3種類のアバットメント接合様式を有するインプラントシステムを用いて即時暫間修復を行った。
A. コニカルインターフェース(コニカル群:OsseoSpeed TX, Dentsply Sirona)
B. フラット-フラットインターフェース(フラット群:NobelSpeedy Replace, Nobel Biocare)
C. プラットフォームスイッチング(スイッチング群:NanoTite Certain PRE-VAIL、Biomet 3i)
(結果)
研究全体の辺縁骨の変化量は、60か月の機能期間中でー0.05-?1.57ミリの範囲にあり、60か月後の平均辺縁骨変化量はー0.78±0.81ミリであった。
群間比較では、すべての評価時点で、コニカル群(?0.16±0.45ミリ)とフラット群(?0.92±0.70ミリ)、コニカル群(?0.16±0.45ミリ)とスイッチ群(?0.81±1.06ミリ)の間に統計学的な有意差があった。
(考察)
異なるアバットメント連結用様式の3つのインプラントシステムを用いた本研究では、次の主要な知見が得られた。
コニカル群の辺縁骨の減少量はほかの2群と比較して有意に少なかった。
すべての群ではゼニスの垂直的な位置は安定していた、辺縁骨レベルとインプラント周囲の軟組織の変化との関連はなかった、組織の変化は埋入後6か月までの初期に観察され、その後は安定していた。
インプラントとアバットメントの境界、すなわちマイクロギャップにおけるマイクロリーケージによる細菌汚染が、インプラント周囲の炎症の原因として挙げられることがある。
インターナルコニカルコネクションではマイクロリーケージが少ないという報告もあり、本研究のコニカル群において観察された有意に少ない辺縁骨の減少量は、マイクロリーケージが少ないことが骨の保存に有利に作用した結果である可能性がある。
また、歯槽骨頂部に対する機械的負荷は、インプラントとアバットメントのインターフェースデザインの影響を受けると考えられており、コニカルインターフェースは、荷重をより適切に分散し、皮質骨に損傷を与えて歯槽頂骨の吸収につながるピーク応力を回避する可能性がある。
(参考文献)
Cooper LF, Reside G, DeKok K, Stanford C, Barwacz C, Feine J, Nader SA, Scheyer T, Maguire M. A 5-Yeaaar Esthetic RCT Assessment of Anterior Maxillary Single-Tooth Implants with Different Abutment Interfaces. Int J Oral Maxillofac Implants 2021 ; 36(1) : 165-176.
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コニカルインターフェースを有するOsseoSpeed TXの方が、有意な差をもって、 フラット-フラットインターフェースを有するNobelSpeedy Replaceや プラットフォームスイッチングを有するNanoTite Certain PRE-VAILと比較して、辺縁骨レベルが低下しないために、審美領域では特に信頼できるインプラントシステムであることが明らかになりました。

2021年6月20日

hori (08:40)

カテゴリ:インプラント周囲炎

何年禁煙すれば、非喫煙者の歯周炎リスクに近づくのか?

10-47年のメンテナンス期間において、喫煙の容量依存効果と禁煙が歯周炎による歯の喪失に及ぼす影響
(主な結果)
患者の平均フォローアップ期間は24.2(10-47.5年)で、年間メンテナンス来院数は平均2.24回であった。
ベースライン時に存在していた6590本の歯(平均25.6本/患者)のうち、歯周炎により失われた歯は264本であり、年間の平均喪失本数は、それぞれ非喫煙者0.03本、元喫煙者0.05本、軽度喫煙者0.08本、重度喫煙者0.11本であった。
また、歯周炎による歯の喪失頻度は非喫煙者で最も低く、重度喫煙者で最も高かった。
(表1)
       歯周炎による抜歯      歯周炎の他の理由による抜歯
1. 非喫煙者    2.5%              4.4%
2. 元喫煙者    4.1%               5.5%
3. 軽度喫煙者   5.6%              4.4%
 (1日10本未満)
4. 重度喫煙者   10.3%              13.7%
 (1日10本以上)
重度喫煙者は、それぞれと比較して非喫煙者の4.38倍、軽度喫煙者の2.74倍、元喫煙者の2.56倍の歯を喪失するリスクを有していた。
また、元喫煙者の中でかつて重度喫煙者であった場合は、軽度喫煙者よりも歯周炎で歯を喪失するリスクが4.89倍高かった。
元喫煙者において「禁煙後の期間」が<15の場合に、非喫煙者と比較して、歯の喪失リスクが有意に高かった。
(表2)歯周炎による歯の喪失と禁煙状況との関連
         喫煙状況   禁煙後の期間(年) 調整オッズ比 95%信頼関係
1. 非喫煙者                      1
2. 元喫煙者  1日10本未満の元喫煙者  >40     0.58    0.18-1.86     
                    31-40     0.26     0.03-2.09
                   16-30      0.52    0.24-1.12
                    <15      3.74    1.50-9.34
       1日10本以上の元喫煙者  >40     1.76     0.54-5.72
                   31-40     1.7     0.38-7.67
                   16-30      1.75    0.64-4.82
                    <15      12.2    4.64-31.90
3. 喫煙者   1日10本未満の喫煙者  該当なし     1.94    0.93-4.05
       1日10本以上の喫煙者  該当なし     4.32    2.63-7.08
(参考文献)
Ravida A, Troiano G, Qazi M, Saleh MHA, Saleh i, Borgnakke WS, Wang HL. Dose-dependent effect of smoking and smoking cessation on periodontitis -related tooth loss during 10-47 years periodontal maintenance-A retrospective study in compliant cohort. J Clin Periodontol 2020 ; 47(9) : 1132-1143.
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元喫煙者において「禁煙後の期間」が<15の場合に、非喫煙者と比較して、歯の喪失リスクが有意に高いことが明らかになりました。
また逆に言うと、喫煙の影響は禁煙してからも15年は続くということになります。

2021年6月 5日

hori (08:45)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラントのメインテナンスと歯肉炎に対する感受性がインプラント成功率に及ぼす影響:5年間の後ろ向きコホート研究

(研究方法)
インプラント治療後、年に1回以上メンテナンスを受けていた患者を定期的メンテナンスプログラム群(以下、DMP群)とした。
メンテナンスにおいては、臨床検査、診断、必要に応じた紙面清掃または縁下デブライドメントが行われた。
インプラント治療後、定期的なメンテナンスに次医院しなかった患者は不定期メンテナンスプログラム群(UMP群)と定義された。
歯周病の治療は、インプラント治療前に完了していた。
被検者の適格基準は、漸進的に健康な21歳以上の成人で、糖尿病はなく、2005-2012年の間にStraumannインプラントが埋入され、上部構造装着後6か月以内(T0)にプロービングによる検査およびエックス線検査が行われたこととされた。
除外基準は、全身疾患、コントロール不良の糖尿病患者、上部構造装着後6か月以内のエックス線検査が行われなかった場合とされた。
最終的には、DMP群およびUMP群で各100名、合計200名がリコールされ、臨床的検査およびエックス線検査が行われた(T1)。
臨床検査では、天然歯およびインプラントのPPD、出血指数が記録された。
エックス線写真上では、インプラントショルダーから骨長までの距離が測定された。
これらの臨床パラメータおよびエックス線上での骨レベルのT0からT1の間の変量が計算された。
(主な結果)
観察期間中、保存されていた284本のインプラントのうち、インプラント周囲粘膜炎の発症率は患者レベルで63%、インプラントレベルで55.6%であった。
インプラント周囲炎は、患者レベルでは13%、インプラントレベルでは10.2%に発症した。
インプラント周囲炎は、患者レベルではDMP群において6%、UMP群17.2%に発症し、この群の間に統計学的有意差がみられた。
また、観察期間中の骨吸収量はDMP群で平均0.19ミリ、UMP群で平均0.63ミリで統計学的有意差がみられた。
さらに、多変量解析の結果、メンテナンスの欠如とインプラント周囲炎に有意な相関がみられた。
DMP群およびUMP群におけるインプラント周囲炎の発生率
DMPのインプラントレベル 4.0%
とUMPインプラントレベル 17.2%
間でP<0.01で有意差が見られた。
DMPの患者レベル 6.0%
とUMP患者レベル  20.0%
間でP=0.03で有意差が見られた。
(参考文献)
Hu C, Lang NP, Ong MM, Kim LP, Tan WC. Influence of periodontal maintenance and periodontitis susceptibility on implant success : A 5-year retrospective cohort on moderately rough surfaced implants. Clin Oral Implants Res 2020 ; 31(8) : 727-736.
やはり定期的なメンテナンスがインプラント周囲炎の発生や骨吸収を減少させる要因という結果になりました。

2021年6月 1日

hori (08:16)

カテゴリ:インプラント周囲炎

3種類の有名インプラントの辺縁骨レベルの維持比較

3種類の有名インプラントの辺縁骨レベルの維持におけるインプラント表面の影響:システマティックレビューおよびメタ分析
Astra Tech OsseoSpeed(ATO)、Straumann SLA/SLActive(SLA)、Novel Biocare TiUnite(NBT)の3種に対して、インプラント埋入時、1年および5年経過時に測定された辺縁骨レベルの変化を調査。
1年後および5年経過時の全データの重みづけした解析では、ATOはSLAおよびNBTに対し辺縁骨の変化は有意に小さかった。
即時荷重のデータの比較では、1年後の辺縁骨の変化はATO対SLAおよびSLA対NTBに有意差を認め、5年後ではATO対NBTにのみ有意差を認めた。
1回法の手術プロトコルでの辺縁骨の変化を比較すると、1年ではATOはSLAおよびNBTに対し有意に小さく、5年後ではATOはSLAおよびNBTに対し変化量が小さかった。
2回法の手術プロトコールについて辺縁骨の変化を比較すると、1年ではATO対SLAおよびSLA対NBTに有意差を認め、5年後では3種類の表面間に有意差はなかった。
(参考文献)
Norton MRF, Astrom M.The influence of implant surface on maintenance of marginak bone leveks for three premium implant brands : a systematic review and meta-analysis. Int J Oral Maxikkofac Impkants 2020 ; 35(6) : 1099-1111.
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簡潔にまとめると、この3種のインプラントのうち、OsseoSpeedが最も予後が良く、TiUniteの表面性状を有するNovel Biocareが最も予後不良であることが明らかになりました。

2021年4月10日

hori (08:28)

カテゴリ:インプラント周囲炎

炎症の引き金を引く「Keystone細菌」とは?

・歯周病の病態と最も相関が強い口腔細菌としてPorphyromonas gingivalisが知られており、古くから歯周病原因菌として考えられてきた。
しかしながら、P.g菌は常在菌を保有するSPFマウスでは歯周炎を起こす一方、完全に無菌のGFマウスでは歯周炎を誘導しないことが示され、現在ではP.g 菌は常在菌叢を撹乱することで歯周炎を引き起こす「Keystone細菌」であり、炎症の引き金を引くのは非特異的な常在菌であろうとの見方が強い。
数は少なくても全体に大きな影響を与えうる細菌をKeystone細菌と呼ぶ。
(歯界展望 2021年3月号 )
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P.g 菌は歯周病の原因菌のような印象がありますが、直接的に炎症を起こすわけではないことが明らかになりました。

2021年3月 5日

hori (08:15)

カテゴリ:インプラント周囲炎

59%の下顎智歯は、智歯周囲炎の既往のため抜歯となっている.

・下顎智歯周囲炎(この場合、5ミリを超える歯周ポケット)の罹患率は、25歳以降には32%と、それ以前の16%の倍になる。
・59%の下顎智歯は、智歯周囲炎の既往のため抜歯となっているという研究がある。
・智歯を維持すること、とくに半萌出、近心傾斜した智歯を維持することは、智歯周囲炎のリスク増加と有意に関連している。
(参考文献)
Vandeplas C. Vranckx M, Hekner D, Politis C, Jacobs R. Does Retraining Third Molers Result in the Development of Pathology Over Time? A systematic Review. J Oral Maxillofac Surg 2020 ; 78(11) : 1892-1908.
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59%の下顎智歯は、智歯周囲炎のために、抜歯になっていることが明らかになりました。
傾斜している歯やインプラントは、そうではない場合と比べて、清掃性が悪いのかもしれません。

2021年2月10日

hori (08:03)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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