インプラント周囲炎の最近のブログ記事

プラーク除去効率は歯磨剤の使用による違いがない。

・歯磨剤を使っても、使わない場合と比べてプラーク除去効率に違いがないと結論づけられています。
(参考文献)
Valkenburg C,Slot DE, Bakker EW,et al. : Does dentifrice use help to remove plaque ? A systematic review. J Clin Periodontol, 43(12) : 1050-1058,2016.
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歯磨きが上手な人は、歯磨剤がなくても結果が変わらないかもしれませんが、個人的には、歯磨剤を使用した方が安心感があると考えています。

2019年8月25日

hori (15:48)

カテゴリ:インプラント周囲炎

なぜ侵襲性歯周炎という診断名はなくなったのか。

・2018年のヨーロッパ歯周病学会で新しい歯周病分類が提唱されました。
この分類では、侵襲性歯周炎が慢性歯周炎に包括されました。
侵襲性歯周炎と慢性歯周炎の臨床所見は明らかに違います。
それなのに、なぜ侵襲性歯周炎という診断名はなくなったのか。
それは、侵襲性歯周炎と慢性歯周炎の原因に明らかな違いがないからです。
実は、「侵襲性歯周炎の原因はよくわからない。特に日本人の侵襲性歯周炎は慢性歯周炎の原因と同じである可能性が高い」と書いてあります。
これが侵襲性歯周炎という診断名が消えた理由です。
これからは、侵襲性歯周炎の病態を示す歯周炎は、「疾患感受性が大きく影響している慢性歯周炎」と考えることになります。
(歯科衛生士 2019年6月号 )
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侵襲性歯周炎と慢性歯周炎の臨床所見は明らかに違うにもかかわらず、侵襲性歯周炎と慢性歯周炎の原因に明らかな違いがないというのは、非常に興味深い内容です。
科学の進歩に期待したいところです。

2019年7月20日

hori (14:30)

カテゴリ:インプラント周囲炎

粗面のインプラントでは、バイオフィルムの除去が困難。

・Carcuaeらは、100名(179本)のインプラント周囲炎にり患した患者に切除療法を行ったが、機械研磨表面を有するインプラントでは79%で治療の成功(成功基準:PPD≦5ミリ+BOP/排膿なし+追加の骨喪失なし)を認めたが、粗面を有するインプラントでは、34%しか成功基準を満たしていなかった。
このように動物実験ならびにヒトにおける実験でも、粗面のインプラントでは生体が許容するレベルにまでバイオフィルムの除去が困難である可能性が示唆されている。
(参考文献)
Carcuac O, Derks J, Charampakis G, Abrahamsson I, Wennstrom J, Bergglundh T. Adjunctive systemic and local antimicrobial therapy in the surgical treatment of peri-implantitis :a randomized controlled clinical trial. J Dent Res. 2015 ; 98(1) : 50-57.
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現在流通しているインプラントのほとんどは、粗面のインプラントではないかと考えられます。
メーカーも歯科医師も患者さんも、治療スピードを追い求めました。
その結果、粗面のインプラントが主流となり、現在、インプラント周囲炎が問題なっているのだと思います。
『骨結合は速やかに行われるけれど、バイオフィルムの除去は容易』などといった、都合の良いインプラントが出現しない限り、これも"最新が最善とは限らない"ものの一例となることでしょう。

2019年5月 5日

hori (09:49)

カテゴリ:インプラント周囲炎

プラークのみがインプラント周囲炎の原因ではない。

・Albrektssonらは、不適切なインプラントや外科/補綴治療の提供、また解剖学的、全体的に問題を抱える患者などへのインプラント治療の適用が、外来異物としてのインプラント体と生体免疫応答反応との不均衡を招くとした。
その結果、辺縁骨吸収が起こり、さらに不適切な咬合やセメント残留などによる刺激も辺縁骨吸収を招き、その後二次的に細菌感染が起こるという仮説を述べた。
この学説により、プラークのみがインプラント周囲炎の原因ではないとした。
(参考文献)
Albrektsson T, Dahlin C, Jemp T, Sennerby L, Turri A, Wennerberg A. Is marginal bone loss around oral implants the result of a provoked foreign body reaction? Clin Implant Dent Relat Res. 2014 ; 16(2) : 155-165.
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インプラント周囲炎の原因に不適切なインプラントや外科/補綴治療などが関与していることが明らかになりました。
やはりプラークのみでインプラント周囲炎が惹起されるわけではないようです。

2019年4月 1日

hori (08:32)

カテゴリ:インプラント周囲炎

喫煙や糖尿病よりも歯周病で歯を喪失する危険性が高いリスクファクターとは?

・一般的に喫煙をしていたり、糖尿病の患者さんであれば、歯周病のリスクは2倍ちょっと。
文献によるばらつきも大きいので2倍前後であるが、メンテナンスの中断は歯を喪失するリスクが4倍以上であるために、はるかに上回るリスクファクターである。
(参考文献)
Pretzl B et al. Tooth loss afetr active periodontal therapy.2 : tooth-related factors. J Clin Periodontol 2008; 35: 175-182.
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歯周病のリスクファクターには、喫煙や糖尿病が挙げられますが、そのリスクは2倍程度。
それよりもはるかに歯を失うリスクファクターとして挙げられるのが、実はメンテナンスの中断です。
インプラント周囲炎の程度が重篤にならないと自覚症状がないことも多いので、問題なく咬めていても、定期的なメンテナンスは必要であるといえます。

2019年2月15日

hori (09:00)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラントの補綴装置はエマージェンスアングル30°以下

・ボーンレベルのインプラントにおいて、補綴装置の近遠心のエマージェンスアングルが30°より大きい場合、インプラント周囲炎の罹患率が有意に高くなった。
補綴装置はエマージェンスアングルを30°以下として、コンケーブもしくはストレートのエマージェンスプロファイルを付与することが勧められます。
(参考文献)
Katafuchi M, Weinstein BF, Leroux BG, Chen YW, Daubert DM. Restoration contour is a risk indicator for peri-implantitis : A cross-sectional radiographic analysis. J Clin Periodontol 2018 ; 45(2) : 225-232.
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補綴装置の近遠心のエマージェンスアングルが30°より大きいとは、すなわち、インプラントのカントゥアをオーバーカントゥアにして、物が挟まりにくく、息漏れもしにくい状態を作り出すことになります。
萌出している天然歯のような審美的なインプラント治療は一般的にオーバーカントゥアですから、インプラント周囲炎にはなりやすいということになります。
高床式のインプラントは審美的でないから時代遅れで、審美的なインプラントは最新式であるという風潮がありますが、個人的には審美性も追求しすぎるのは良くないものと考えています。

2018年12月 1日

hori (11:36)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラントのPPDは誤差が大きい場合がある。

・インプラント周囲炎患者を対象に、上部構造の形態がプロービング検査に与える影響を調べた研究では、上部構造除去前後のPPDが一致したのは37%のインプラントに留まり、2?以上の誤差を生じたインプラントが24%もあった。
(参考文献)
Serino G, Turri, Lang NP. Probing at implants with peri-implantitis and its relation to clinical periimplant bone loss. Clin Oral Implants Res. 2013; 24(1)91-95.
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一般的にインプラントの上部構造がオーバーカントゥアになると、PPDを正確に測定することは困難になります。
ならば、診査が精確に行えるようプロービングを挿入しやすい上部構造にすればよいように感じます。
ところが、インプラント埋入部位の頬舌的歯槽骨幅が狭く、近遠心的な歯槽骨幅が広いケースでは、鼓形空隙が広くなりすぎないようにしようとすると、オーバーカントゥアに傾向にあります。
このようなケースは特に若年者の下顎大臼歯部に多いように感じます。
かといって、同部位に2本埋入しようとすると、インプラント間距離が近くなりすぎてしまうという別な問題がでてきます。

2018年10月25日

hori (08:29)

カテゴリ:インプラント周囲炎

無歯顎患者にインプラントをした場合、インプラント周囲炎にはならないのか?

・10年フォローアップ期間における無歯顎患者へのインプラント支持型下顎オーバーデンチャーのインプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の発症率

目的:2編の前向き研究のサブ分析の目的は、無歯顎患者への10年間のフォローアップ期間におけるインプラント支持型下顎オーバーデンチャーのインプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎の発症率について調べることである。

材料および方法:下顎オーバーデンチャーを支持する2本の骨内インプラントを有している150名の無歯顎患者が2編の前向き研究から抽出された。
臨床的およびX線学的パラメータについてオーバーデンチャー装着後、5および10年で評価された。
インプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎の発症率はインプラント周囲炎に対するConsensus of Seventh Workshop on Periodontologyに基づいてインプラントおよび患者レベルで算出された。
結果:インプラント周囲粘膜炎の患者レベルの発症率は、5年後評価で51.9%、10年後評価で57.0%であった。
インプラント周囲炎の患者レベルの発症率は、5年後評価で16.9%、10年後評価で29.7%であった。
結論:インプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎は無歯顎患者にも発症し、その数は多かった。
(参考文献)
Incidence of peri-implant mucositis and peri-implantitis in edentulous patients with an implant-retained mandibular overdenture during a 10-year follow-up period. Meijer HJ, Raghoebar GM, de Waal YC, Vissink A. J Clin Periodontol 2014 ; 41(12) : 1178-1183.
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10年近く前になりますが、歯周病の歯をすべて抜歯するから、All-on-4はインプラント周囲炎にはならないと以前聞いたことがありました。
しかしながら、後になって、歯牙をすべて抜歯しても、インプラント周囲炎の原因細菌は口腔内に依然として存在するために、All-on-4であってもインプラント周囲炎になるリスクはあるようです。
そしてさらに、歯槽骨に斜めに埋入するAll-on-4は、通常の埋入の場合と比較した場合、清掃性が悪いと考えているので、当院ではAll-on-4は行っておりません。

2018年10月10日

hori (08:11)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラント埋入直後の上顎洞炎

・CBCTを用いて、上顎臼歯の根尖と上顎洞までの距離を計測した研究では、第一小臼歯の頬側根は7.08ミリ、第二小臼歯の口蓋根は2.16ミリ、第一大臼歯の近心頬側根は2.71ミリであったのに対し、第二大臼歯の近心頬側根が最も近接しており、0.66ミリであったと報告されている。
(参考文献)
Lavasani SA, Tyler C, Roach SH, McClanahan SB, Bowles WR : Cone-beam computed tomography: anatomic analysis of maxillary posterior teeth-impact on endodontic microsurgery. J Endod, 42(6) : 890-895, 2016.
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インプラント埋入直後に上顎洞炎になる場合、インプラント埋入前から上顎洞炎であるケースが多いと聞きます。
また、その上顎洞炎は、隣在歯の根尖性歯周炎であることが多いとも聞きます。
インプラント治療が上手になるためにも、歯内療法についても長けていないとならないということになります。

2018年9月10日

hori (10:18)

カテゴリ:インプラント周囲炎

インプラントが入っている患者さんへのフッ化物応用は?

・インプラントが入っている患者さんへのフッ化物応用は?
家庭で使うフッ化物配合歯磨剤に関しては、口腔内のチタンを腐食するエビデンスは存在しておらず、天然歯を有する人であれば利用した方がメリットが大きいことが学会からの見解として見出されており、詳細がレビュー論文にまとめられています。
その理由は表1のとおりで、フッ化物配合歯磨剤の理由を中止する利益はなく、中止による齲蝕リスクの増加が懸念されるとされています。
表1 インプラント治療患者へフッ化物配合歯磨剤への利用を勧めるべき理由
1. pH4.7以下の強い酸性の環境では、フッ化物配合歯磨剤によりチタンが侵襲されうるが、中性、アルカリ性または弱酸性のフッ化物配合歯磨剤を利用する場合、侵襲の可能性は極めて低い。
2. 歯磨剤を利用しないブラッシングでもチタン表面を侵襲されていた。
歯磨剤を利用するブラッシングでフッ化物の有無による侵襲の程度に差はない。
3. チタン表面の侵襲の有無で、細菌の付着に差はなかった。
フッ化物の利用により細菌の付着が抑制された報告も存在した。
4. 実際の口腔内では唾液の希釈作用でフッ化物濃度は低下するため侵襲の可能性は低い。
5. フッ化物配合歯磨剤の利用により細菌の酸産生能が抑制されるため、チタンが侵襲されるpHにはなりにくくなく。
6. 酸性の飲食物によるpHの低下は短時間で回復したことが分かった。
(参考文献)
フッ化物配合歯磨剤はチタン製インプラント利用者のインプラント周囲炎のリスクとなるか : 文献レビュー. 口腔衛生会誌 2016(3): 308-315. 相田潤.
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これまでインプラントに対するフッ化物の使用の是非については、明言を避けた報告が多かったと感じていました。
そんな中、今回の報告で、pHが4.7以下の強い酸性のものでなければ、口腔内にインプラントがあってもフッ化物配合歯磨剤を使用して問題ないことが分かりました。
因みに当院で使用しているフッ化ナトリウムはpH3.5ということで、浸漬3日でチタンインプラントは腐食するとのことでした。

2018年9月 1日

hori (08:45)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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