インプラントと全身の健康の最近のブログ記事
代用甘味料は安全なのか?
・低カロリー・ゼロカロリー甘味飲料を摂取すると、通常の飲料よりも体重やBMI、体脂肪率などが低くなり、飲用水よりも体重や血圧が低値を示すと報告されています。
しかし、習慣的な血糖値を示すHbA1cは飲用水と比較して高くなったり、体重やBMIの増加、2型糖尿病の発生率を上昇させるという報告もあります。
代用甘味料の一種であるアスパルテームやアセスルファムKは、摂取しても満腹感をもたらすホルモンが分泌されにくいため、過食につながる可能性が考えられます。
つまり、低カロリー・ゼロカロリー食品は減量や体脂肪率の低下に寄与する可能性がある一方で、一定以上摂取することで体重増加や血糖管理の圧下をもたらす可能性もあります。
(参考文献)
McGlynn ND,et al. Association of low-and no-calorie sweetend beverages as a replacement for sugar-sweeted beverages with body weight and cardiometabolic risk : a systematic review and meta-analysis. JAMA Netw Open. 2022 Mar 1 ; 5(3) : e222092.
カンジタ菌とミュータンス菌
・プラーク中のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子gtfB(ミュータンス菌が産生する不溶性グルカンの合成酵素)の発現量は、カンジタ菌が存在する場合に有意に上昇することが明らかになりました。
カンジタ菌がいると、ミュータンス菌が菌体外に放出するネバネバの量が増加し、歯面にがっちりと固着することができ、病原性が高まる。
(参考文献)
Bachtiar EW. Bachtiar BM. Relationship between Candida albicans and Streptococcus mutans in early childhood caries, evaluated by quantitative PCR. F1000Res. 2018 Oct 16: 7 : 1645.
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カンジタ菌がいるとミュータンス菌のネバネバが増大し、病原性が高まることが明らかになりました。
唾液腺への感染が潜伏感染の温床に。
新型コロナウイルスの唾液腺の感染が唾液中のウイルス排出源となり、エアロゾルなどから潜伏感染する温床になりえる。
昭和大学の研究グループが証明した。
研究グループは、ヒトiPS細胞から唾液腺に極めて近い唾液腺オルガノイドを作製し、ウイルスの感染を再現。
ウイルスを感染させた唾液腺オルガノイドでは、感染細胞内でウイルスが作られていることを確認した。
(アポロニア21 2022年12月号 )
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新型コロナウイルスの唾液腺の感染が唾液中のウイルス排出源となり、エアロゾルなどから潜伏感染する温床になりえることが明らかになりました。
肥満度が高いと歯の喪失リスク増
40歳以上の人は肥満度が高いほど歯の本数が少なく、肥満の人はそうではない人と比べて大臼歯から歯を失っていく。
サンスターと滋賀医科大学の研究グループの共同研究により明らかになった。
研究では、定期健康診断受診者約70万人のうち、2015年度に歯科受診歴があり、歯の本数とその部位が確認でき、健康診断でのBMIとHbA1cのデータ、喫煙習慣の問診回答を有する20-74歳までの男女23万3517人のデータを解析対象に設定。
対象者をBMI値に応じて4段階に分け、歯の本数を比較した。
さらにBMI25以上を肥満として、肥満の有無で歯の部位別保有者率などを算出した。
結果では、40代以上の各年代でBMIが高い群ほど歯の本数が少ないという連続的な関係性が示され、一般的に歯の喪失が起こりやすい50代よりも若い時点で、肥満度が高いほど歯を喪失しやすい傾向が見られた。
また、肥満の有無と歯の部位別の保有者率をみると、肥満の人は30代から60代のいずれの年代でも大臼歯と上顎中切歯の保有率が有意に低いことが判明。
肥満に喫煙習慣が加わると、歯の喪失リスクは増大し、肥満が影響する部位と異なる部の歯の喪失にも影響を及ぼすことも分かった。
(アポロニア21 2022年11月号 )
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肥満の人は30代から60代のいずれの年代でも大臼歯と上顎中切歯の保有率が有意に低いこと。
肥満に喫煙習慣が加わると、歯の喪失リスクは増大し、肥満が影響する部位と異なる部の歯の喪失にも影響を及ぼすこと名護が明らかになりました。
新生児の睡眠が歯ぎしりと関係
児童の新生児期(生後1か月時点)の睡眠時間が短いほど、将来的な歯ぎしり癖の発生が高い傾向となる。
研究では、約9万人の小児を対象にした環境省の「子供の健康と環境に関する全国調査」のデータから、乳幼児期(生後1か月、6か月、1歳、1歳半、3歳の時点)の睡眠時間と歯ぎしり癖(2歳と4歳時点)との関連を調査した。
結果、2,4歳児での歯ぎしり癖をもつ子供の割合は減少することが分かった。
(アポロニア21 2022年11月号 )
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児童の新生児期(生後1か月時点)の睡眠時間が短いほど、将来的な歯ぎしり癖の発生が高い傾向となることが明らかになりました。
ミュータンス菌が、がん転移を促進。
・ミュータンス菌は、血管の炎症を介して、がん転移を促進する。
良好な口腔状態を維持し、口腔細菌の血中への侵入を防ぐことが。転移予防のために大切。
北海道大学の研究グループが明らかにした。
(アポロニア21 2022年11月号 )
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ミュータンス菌は、血管の炎症を介して、がん転移を促進することが明らかになりました。
「歯科医院へ行きたくない理由と本音」
・歯科医院へ行くのをためらう女性 「予約が面倒」2割
「歯科医院へ行きたくない理由と本音」という調査では、「予約を取ることが面倒なため」23.4%、「金銭的な余裕がないため」20.9%、「行く時間がないため」17.4%、「歯科医院選びに悩んでいるため」12.9%、「口内を見せることに抵抗があるため」11.0%、「ほかの患者と顔を合わせたくないため」3.3%であった。
(アポロニア21 2022年9月号 )
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「歯科医院へ行きたくない理由と本音」という調査では、「予約を取ることが面倒なため」23.4%が最も多い結果となりました。
部分床義歯を装着すると主機能部位はどうなるのか?
大臼歯を両側性に失った場合には、主機能部位は小臼歯を含めた前方の残存しに移行することは必然であるが、欠損部位に部分床義歯を装着すると、主機能部位はもとも第一大臼歯に移行するのであろうか?
第一大臼歯を含む臼歯部の欠損に対して、部分床義歯あるいはインプラントによる補綴を行った場合には、それぞれ70.8%、92.3%で大臼歯部に主機能部位が戻る結果となっており、補綴方法の違いによる差はあるものの、欠損を修復することの重要性が示された。
(参考文献)
Ida Y, Yamashita S. Analysis of the relevent factors associated with oral health-related quality of life in elderly denture wearers. J Protthodont Res. 2022; 66(1): 93-100.
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第一大臼歯を含む臼歯部の欠損に対して、部分床義歯あるいはインプラントによる補綴を行った場合には、それぞれ70.8%、92.3%で大臼歯部に主機能部位が戻ることが明らかになりました。
欠損の修復はインプラントが一番良いですが、何も装着しないよりは部分床義歯を使用した場合の方が生理的な咀嚼を取り戻すことが可能となると考えることができます。
無歯顎の男性は、死亡リスクが1.67倍高くなる。
東北大学らの研究報告では、高齢者約5万2000人を6年間追跡し、現在歯数や咀嚼機能の低下、むせ、口渇など口腔の状態の死亡への影響を、他の修正可能なリスク因子とともに調べた。
その結果、特に男性は無歯顎は修正可能なリスク因子の中で、最も高い死亡リスク(ハザード比1.67)を示した。
さらに危険因子が集団に与える影響の大きさを表す「人口寄与割合(PAF)」は、歯の本数によるPAFが18.2%と最も大きな値となった。
女性の無歯顎は、ハザード比1.37で、PAFは8.5% だった。
(アポロニア21 8月号 )
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現在歯数や咀嚼機能の低下、むせ、口渇などの他の口腔の状態よりも無歯顎というリスク因子は、最も高い脂肪リスクを示したことが明らかになりました。
また女性よりも男性の方が、無歯顎の場合の死亡リスクは高いことも明らかになりました。
医療費自己負担が多いと格差拡大
東北大学らの研究では、65歳以上の高齢者2万1594人のデータを解析。
その結果、重度の歯の喪失(歯の本数9本以下)にもかかわらず義歯を使用していない者の割合は、窓口負担「3割の群」で18.3%、「2割の群」で13.3%、「1割の群」で8.5%だった。
さらにロジスティック解析分析をすると、1人当たりの所得を表す等価所得が「低位の群」は「高位の群」と比べ、義歯を使っていない確率が「3割不安」で1.81倍、「2割負担」で1.57倍、「1割負担」で1.53倍高かった。
研究グループは、義歯不使用の所得格差については、自己負担割合が大きな群ほど格差があったとまとめたうえで、「義歯使用の格差を縮小させるためには、国際的に歯科医療保険のカバーの程度を広げる政策が必要であり、この研究が一つのエビデンスになることが期待される」とコメントしている。
(アポロニア21 8月号 )
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歯の本数が9本以下のにかかわらず、義歯を使用していない者の割合が、窓口負担「3割の群」で18.3%、「2割の群」で13.3%、「1割の群」で8.5%であることが明らかになりました。
「1割負担」の高齢者よりも「3割負担」の若者の方が、お口の健康レベルは低い場合があることが推測されました。