日本人における垂直性歯根破折の有病率および関連因子
垂直性歯根破折(VRF)は、深さ5ミリ以上の歯周ポケットの原因となりうる8つの病態(垂直性歯根破折、歯肉縁下う蝕、水平または斜走破折、限局性歯周炎、穿孔、歯根吸収、歯髄壊死または根尖性歯周炎)の中で最も多かった(32%、73/228歯)。
垂直性歯根破折の確認は抜歯(3歯)、外科的探索(5歯)および非外科的探索(65歯)にて行われた。
VRFは40代(37%)および女性(68.5%)に多く、歯種では下顎第一大臼歯(31.5%)、上顎小臼歯(19.2%)の順に高頻度であった。
多くは隣接歯が存在(87.7%)し、深さ8ミリ以上の歯周ポケットを有する歯(50.7%)、また、頬舌側に限局した狭い歯周ポケットを有する歯(78.1%)、クラウン装着歯(82.2%)およびポストを有しない歯(57.5%)に多い結果であった。
未根管治療歯にはVRFを認めなかった。
9つの因子のうち既根管治療歯、歯周ポケット(深さ)、歯周ポケット(広さと位置)、歯種、修復物、ポストの有無の6つの因子においてVRFと有意な関連を認めた(p<0.05)。
(参考文献)
Lee K, Ahlowalla M, Alfayete RP, Patel S, Foschi F, Prevalence of and Factors Associated with Vertical Root Fracture in a Japanese Population : An Observational Study on Teeth With isolated Periodontal Probing Depth. J Endod. 2023 Des ; 49(12) : 1617-24.
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既根管治療歯、歯周ポケット(深さ)、歯周ポケット(広さと位置)、歯種、修復物、ポストの有無の6つの因子においてVRFと有意な関連があることが明らかになりました。