上顎洞の形態差と上顎洞粘膜穿孔のリスクの関係

2001年、Choらは上顎洞の内壁と外壁のなす角度による上顎洞粘膜穿孔の発生率を報告した。
角度が60度以上の場合、穿孔は認められなかったが、30度以下になると、62.5%に穿孔を認めたと報告している。
粘膜の剥離が内壁まで確実に行われないと、造成骨への血液供給がなされないため、術後の骨吸収を引き起こすことになる。
したがって、穿孔させずに粘膜剥離を行うことが非常に重要である。
よって、術前にCTで角度を把握し、穿孔を起こさないよう丁寧な処置をシュミュレーションしておくことが、臨床上、不可欠となる。
もし穿孔した場合は、その部位によって修復の方法が異なるので、穿孔部位の正確な位置確認が必要となる。
(参考文献)
Cho SC, et al: Influence of anatomy on Xchneiderian membrane perforations during sinus elevation surgery : three-ddimensional analysis. Pract Proced Aestht Dent 13: 160-163,2001.
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同じように上顎臼歯部に増骨するにもしても、上顎洞粘膜の穿孔のリスクが、上顎洞の内壁と外壁とのなす角度の大きさによって変化するというエビデンスです。
難しいケースであればあるほど、リスクを正確に把握して慎重に事を進めなくてはならないと考えさせられました。

2014年12月30日

hori (08:52)

カテゴリ:上顎臼歯部のインプラント

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