再生療法と歯列矯正でインプラントを回避する方法

根間距離が狭く叢生を起こしている場合、骨欠損形態は再生療法にとって不利な水平的欠損となる傾向が高く、さらにフラップマネジメントに関しても狭い範囲で少ない体積の軟組織を一時治癒させることが要求されるために、技術的な難易度は高まる。
このような場合は可及的に感染のコントロールを行った後、矯正治療によって根間距離を拡大してから手術を行う方が、より良好な治療結果が期待できる。
ただし、あまり拡大しすぎて、defect angleが35度を超えると、再生には不利になるため注意が必要である。
具体的には骨縁下欠損の深さが3ミリであった場合、欠損の幅が2.1ミリより大きくなると、defect angleは35度を超えることになる。
また、欠損の幅が2ミリの場合、欠損の深さが5ミリであればdefect angleは22度となり、狭い骨欠損で再生療法に良好に反応することが予測される。
(参考文献)
Tsitoura E, Tucker R, Suvan J, Laurell L, Cortellini P, Tonetti M Baseline radiographic defect angle of the intrabony defect as a prognostic indicator in regenerative periodontal surgery with enamel matrix derivative. J Clin Periodontol 2004 ; 31(8) : 643-647.
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『垂直的歯槽骨欠損が認められる場合で、そのdefect angleは35度以内であれば、再生療法で良好な結果を得られやすい。』というエビデンスがあります。
歯列矯正のテクニックを使用して根間距離を変化させると、このdefect angleもまた変化することになります。
抜歯してGBR併用のインプラント埋入する手法がある一方で、再生療法と歯列矯正の手法を用いて良好な結果を得られる場合もあります。
後者の方が治療期間が長期化するケースが多いですが、患者さんの価値観に近い治療を行うことができるように、このような治療の引き出しも臨床家は用意しておく必要があるといえます。

2015年1月 1日

hori (15:20)

カテゴリ:インプラントについて

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