ショートインプラントとクラウン-インプラント比

・本研究ではインプラントの生存率についての記載がないが、訳者がショートインプラントに関する論文を読んでいる限り、長径8ミリ以上のインプラントであれば、CI比が2より大きくてもインプラントの生存率には影響がないと思われる。
一方、長径が6.5ミリ以下のショートインプラントでは、CI比が2より大きいと有意にインプラント生存率が悪くなることがシステマティックレビューから明らかになっている。
そして本研究では、長径が7ミリでCI比が2より大きいと確かに辺縁骨吸収が有意に大きくなることは分かったが、臨床的には大きな問題は出ない範囲なのかもしれないと考察している。
したがって、近年特に多くなってきたショートインプラントに関する論文をまとめると、臨床的結果に影響を与える可能性が高くなるショートインプラントの長径は、現時点では約7ミリ前後であると思われる。
しかしながら、現在、ショートインプラントに関する観察研究やシステマティックレビューが氾濫していることから、一度情報を整理して、ひとくくりにしている「ショートインプラント」に関する真実を明らかにした方が良いかもしれない。
実臨床にエビデンスとして生かすためには、短い長径のインプラント(6ミリ以上7ミリ未満、5ミリ以上6ミリ未満、4ミリ以上5ミリ未満)情報を別々に集めた、質の高いシステマティックレビューが必要であろう。
(参考文献)
Di Fiore A, Vigolo P, Sivolella S, Cavallin F Katsoulis J, Monaco C, Stellini E. Influence of crown-to-implant ratio on long-term marginal bone loss around implants. Int J oral maxillofac implants 2019 ; 34849 : 992-998.
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今回の報告のエビデンスを整理すると、長径8ミリ以上のインプラントであれば、CI比が2より大きくても生存率には影響しないこと。
また、長径6.5ミリ以下のショートインプラントではCI比が2より大きいと有意に生存率が低下することが明らかになっています。
現時点では使用するショートインプラントは長径7ミリくらいにしておいた方が無難と考えられます。

2020年3月 1日

hori (08:29)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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