インプラントと過剰な力の最近のブログ記事

ミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンのエビデンスのレベルは高くない。

・ミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンは治療の予測性を高めるために考えられた矯正治療の概念ですが、筆者が知る限り、エビデンスのレベルは高くありません。
経験的には良い結果が得られていますが、これは一つのモデルであり、科学的なエビデンスは乏しいことから、万人に対して適応可能な理論ではないかもしれません。
 (考えるぺリオドンティクス )
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咬み合わせを再構築するインプラント治療では、基本的にミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンを目標に行っていますが、エビデンスレベルは高くないことが分かりました。

2018年6月25日

hori (08:21)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

ジルコニアはエナメル質の3倍以上の硬度。

・エナメル質の硬度は、ちょうどハイブリッドレジンとポーセレンの中間に位置します。
そしてジルコニアはエナメル質の3倍以上の硬度を有します。
Dr中込自身は、口腔内の、特に外装材としてジルコニア(つまりはフルジルコニア)を使用することには完全に否定的な見解を抱いています。
その理由は当たり目のように「硬すぎる」ということです。エナメル質の3倍以上の硬さでは、対合歯の摩耗はもちろんのこと、天然歯であればエナメル質の割れ、また歯根破折の危険性等、多くのマイナスの反応が出ることが容易に予測できます。
(補綴臨床 2018年3月号 )
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私も硬すぎるフルジルコニアをインプラントの上部構造に選択することは、今のところ考えていません。
咬合力は上下に同じだけかかるわけですから、フルジルコニアの対合が天然歯であれば、歯冠破折、歯根破折、垂直性骨吸収などのトラブルが惹起されるものと推測されます。
一方、上部構造にフルジルコニアを選択した場合のインプラントは、上部構造が破壊されないだけに、歯槽骨吸収やリテインニングスクリューの破折、インプラント体の破折等の問題を惹起します。
また硬すぎるということは、それ自身の咬耗がほぼないだけでなく、咬合調整が非常にやりにくいことも意味します。
生体は常に変化しています。
定期的な咬合調整を行うことで、特定のインプラントや天然歯に過大な咬合力が集中することを可及的に回避することが重要であると考えています。

2018年5月20日

hori (16:35)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

咬合性外傷"力"の徴候

・咬合性外傷"力"の徴候
1. 年齢の割に歯周組織の破壊の進行がみられる。
2. 歯周組織の破壊の程度の割に歯の動揺がある。
3. 根分岐部病変が上下顎左右側にある。
4. プロービングデプスパターンが咬合型
5. 歯冠修復物の頻回の脱落、歯や修復物の咬耗
6. 歯根破折
7. 齲蝕はないが、冷水痛、知覚過敏がある。
8. ブラキシズムや日中の噛みしめの自覚がある。
(歯界展望 2018年1月号 )
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インプラント治療希望の方に、上に記した咬合性外傷"力"の徴候に該当する患者さんが多いように感じています。
歯を力で破壊してきた患者さんに対して、歯よりも感覚の鈍いインプラントを配置した場合、自分の歯よりも結果的に良く咬める状態になる場合すらあるので、どこかが破損してもあまり不思議ではありません。
補綴的により良いゴールを提供するとともに、経時的な変化を最少にする配慮が必要と考えられます。

2018年3月15日

hori (09:51)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係

・主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係
(目的)
すべての正常有歯顎者において、ストッピングの圧平により示された主機能部位の範囲内に咬合力が発現する領域と咬合接触が認められた。
主機能部位に発現した咬合力の平均値は79.3N(SD55.2)であり、主機能部位の領域内の咬合接触面積の平均値は6.6平方ミリメートル(SD4.8)であった。
(結果と考察)
主機能部位が下顎第一大臼歯に存在する(M1)、第一・第二大臼歯間に存在する(MB)、第二大臼歯に存在する(M2)に分類し、
1.ストッピングが圧平され、咬合接触と咬合力が発現した部位は、M1が120側(59.4%)、MBが50側(24.8%)、M2が32側(15.8%)だった。
2.咬合接触面積の平均値は、M1では6.9平方ミリメートル(SD4.6)、MBでは6.4平方ミリメートル(SD5.7)、M2では6.0平方ミリメートル(SD4.5)であり、有意差は認めなかった。
3.咬合力の平均値は、M1では72.7N(SD)47.6、MBでは85.8N(SD59.1)、M2では93.8N(SD71.3)であり、有意差を認めなかった。
4.咬合力表示面積の平均値は、Mでは2.3平方ミリメートル(SD1.4)、MBでは2.6平方ミリメートル(SD1.8)、M2では2.7平方ミリメートル(SD2.1)であり、有意差を認めなかった。
以上のことから、主機能部位の位置によって、発現する咬合接触面積と咬合力には差異が認められなかった。
主機能部位が下顎第一大臼歯に存在する場合には、発現する咬合接触面積は大きい値を、咬合力は小さい値を示す傾向がみられた。
(参考文献)
山本司将, 中村健太郎, 他. 主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係. 補綴誌 2017;9・126特別号 :162.
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主機能部位が下顎第一大臼歯に存在するM1の場合と比べて、MBやM2では、様々な問題が生じると考えられます。
例えば、MBはM1やM2と比べて、フードインパクションが生じやすいことが挙げられます。
また、M2の咬合接触部位や咬合力の大きさによりますが、主機能部位が下顎第二大臼歯の遠心部にある場合は、近心部よりも歯牙や歯槽骨の破壊が惹起されやすいように考えられます。
さらに、下顎第二大臼歯の後方に下顎第三大臼歯の有無やそれが存在した場合の咬合接触も、何か結果に影響を与えそうです。
この研究報告では、「主機能部位の位置によって、発現する咬合接触面積と咬合力には差異が認められなかった」とのことですが、被験者を増やして再度同様の調査を行えば、有意差が出る可能性があります。
今後に期待したいところです。

2018年3月 1日

hori (08:53)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

正常有歯顎者では、加齢による咬合力の低下は見られない。

・小島ら(2010)は、20-60歳代の年代別100名ずつ計500名(顎口腔系に異常を認めず、6か月以内の補綴治療の既往がない、可撤性義歯を装着していない)における最大咬合力を調査したところ、20-60歳代の平均値にほとんど差が認められず、その平均値が626Nであったと報告している。
このことから、正常有歯顎者では、60歳代であっても20歳代の咬合力とほぼ同等であることから、加齢による咬合力の低下は見られず、咀嚼能力は衰えないことが分かる。
(参考文献)
近藤康史, 中村健太郎, 他. 男女別における咬合力の統計学的検討- 咬合力の標準値について‐ . 補綴誌2011 ; 3・120特別号 : 257.  
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感覚的に義歯を装着していない正常有歯顎者の咬合力は、加齢による影響を受けないのではなかろうかと考えていましたが、それを裏付ける文献を見つけました。
各年代を100名ずつ集めるのは容易ではない可能性もありますが、個人的には、同じ条件で、70代、80代の正常有歯顎者の場合や、インプラント補綴で咬合回復した場合の研究結果にも興味があります。
今後に期待したいですね。

2018年2月25日

hori (08:54)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

下顎大臼歯部は最も根面齲蝕になりやすい。

・20-64歳の473名の被験者で根面齲蝕の罹患度とその分類を行った。
根面齲蝕は11.4%の歯根面に認められた。
また年齢階層別には、20代では1.1%だった根面齲蝕が60代では22.0%へと増加した。
根面齲蝕に罹患した歯を部位別に分類すると、すべての年齢階級において、下顎大臼歯部は最も根面齲蝕になりやすい傾向を示し(40%)、下顎小臼歯部(25%)、上顎犬歯(23%)、下顎前歯部(2%)が続いた。
また、必ずしも歯肉退縮との関連は認められず、たとえば上顎については、歯肉退縮が起こりやすい部位よりも、むしろ歯肉退縮が起こることで隣接面が根面齲蝕を発症しやすくなることが示された。
(参考文献)
Prevalence and intraoral distribution of root caries in an adult population. Katz RV, Hazen SP, Chilton NW, Mumma RD Jr. Caries Res 1982 ; 16(3) : 265-271.
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下顎大臼歯に根面齲蝕が頻発すること、上顎大臼歯にはさほど根面齲蝕が生じないことが明らかになりました。
上顎大臼歯よりも下顎大臼歯の歯磨きが困難であるとは考えにくいです。
唾液分泌量が減少すると根面齲蝕が増加するといわれていますが、上顎大臼歯と接触する唾液量は下顎より多いのかというと、「?」です。
アブフラクションによるマイクロクラックによっても、根面齲蝕が惹起されます。
歯槽骨の硬さは上顎よりも下顎で硬いことが多いので、歯牙に過大な側方力がかかった際には、下顎大臼歯の方がマイクロクラックが入りやすいように考えています。
一方、上顎大臼歯は歯槽骨が柔らかいゆえに、歯牙に過大な側方力がかかった際には、歯牙周囲の歯槽骨が破壊されるのかもしれません。
また、歯槽骨が破壊されるから、下顎大臼歯よりも根分岐部の数が多い上顎大臼歯は、歯周病が進行しやすく、マイクロクラックが入るよりも前に抜歯されている可能性もあります。

2018年2月 5日

hori (09:44)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

天然歯とインプラントを連結するなら、キーアンドキーウェイで固定が有効。

・インプラントと天然歯を支台としたブリッジの固定形式
Langら(2004)は、天然歯支台とインプラント支台が混在したブリッジの長期生存率についてシステマティックレビューを行い、10年生存率を77.8%と報告している。
これは、インプラントのみを支台歯としたブリッジの10年生存率86.7%(Pjeturssonら 2004)より低く、設計上問題がなければ天然歯支台とインプラント支台が混在したブリッジは避けた方が賢明といえる。
しかし、歯周病に罹患した患者では、残存歯の歯牙移動により歯軸とインプラントの軸方向が異なる場合があること、上部構造やインプラント周囲組織への術後対応などから、天然支台歯のブリッジ部分とインプラント支台のブリッジ部分をキーアンドキーウェイで固定するのが有効である。
(歯周病患者のインプラント治療 )
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当院でも臼歯部にインプラント治療がされている患者さんの前歯部にブリッジがあるケースは少なくありません。
インプラント治療が終了して長期間が経過した場合、そのブリッジが前方に傾斜する形で、動揺度が増大することがあります。
そのような時、キーアンドキーウェイでインプラントとブリッジを固定するのも天然歯保存には有効かと考えられます。
ただ、インプラントと天然歯を連結すると、繋がれた天然歯が圧下される場合があると聞きます。
そうなると、ブリッジの遠心に凹みを形成し、その上からインプラント補綴を被せるような形態で、キーアンドキーウェイを付与するのが良いかもしれません。
仮に天然歯が圧下された場合は、キーアンドキーウェイが利かなくなるだけのことですから、大きな問題とはならないはずです。

2017年8月 5日

hori (15:38)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

インプラントを破壊するリスクがある食品

・食品硬度表(齋藤滋、咬まない子は本当にダメになる、風人社、1997:84-85)
極めて困難な避けたい食品
ビフテキ、なまこ、酢だこ、トリ貝、あさり、はまぐり、くらげ酢のもの、貝柱、フランスパン、食パンの耳、らっきょう、セロリ、きんぴらごぼう、おこし、するめいか、固焼きせんべい
食品の硬さそのものの数値ではなく、実際の咀嚼運動に関連させての評価になっています。
力の診断に使用する以外にも、患者さんにみせて注意を促すことにも使います。
(歯界展望 2017年6月号)
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歯が過大な咬合力で破壊されるケースは少なくありません。
その後、その部位にインプラントをしてナイトガードを毎晩使用していただいても、破壊されるリスクが今回のその患者さんの食べ物の好みです。
個人的には、インプラント治療によって、歯のことを考えずに、食事を楽しめる状態を提供することが、私に与えられた使命と考えています。
ところがインプラントを守るためには、それを破壊する可能性がある食品については、前もって把握していただき、できればそれを控えてもらう配慮が私たち歯科医師には必要かもしれません。

2017年7月25日

hori (11:42)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

根分岐部病変には、超音波スケーラーが良い。

・上下顎第一大臼歯の頬側根分岐部の幅は0.63-1.04?であり、ハンドスケーラー(キュレットタイプ)のブレード幅は、それよりも58%大きいという報告があります。
また、ハンドスケーラーよりも超音波スケーラーを使用する方が根分岐部に到達しやすいとする知見もあります。
ハンドスケーラーは根分岐部に挿入できたとしても、ストローク幅が制限されるため、十分な操作ができない倍もあります。
一方、超音波スケーラーは、根分岐部にチップを挿入し、歯根面に当てることができれば、超音波振動による機械的除去効果だけでなく、チップが直接触れていない部位へのイリゲーション効果も期待できます。
(Ultrasonic Debridement )
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確かに、大臼歯部の根分岐部へ器具を到達させる上で、ハンドスケーラーのブレード幅が大きすぎて、治療が困難という場合があります。
そのようなとき、基本的にストローク幅が不要な超音波振動は有効かもしれません。
ただ、チップのふれていない部位へのイリゲーション効果については、個人的は懐疑的です。
というのも、かつて超音波歯ブラシが世に出たころ、ブラシが触れていない少し先のバイオフィルムも破壊するとメーカーが謳っていたのですが、数年後、『そのようなことはない。』という報告を聞いたことがあるからです。
さて、歯を失う原因に、大臼歯部の根分岐病変がありますが、根分岐部病変は、力の関与が大きい患者さんが多いように感じます。
そのため、根分岐部病変→インプラントというケースは、非常に注意して経過を追う必要があると考えています。

2017年7月20日

hori (16:55)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

末梢によって、咀嚼型を変えられるかはいまだ不明。

・骨格筋と筋力型と並んで、力のリスクを診断する際に、Dr筒井らは咀嚼型の違いに注目している。
咀嚼型は、基本的には脳幹に記憶されていると考えられており、実際、容易に変えることができないと思われる。
しかし、末梢(歯の接触関係の感覚入力)を変えることによって長期間かかって咀嚼型が変わるかどうかは不明である。
個体差の重要な因子と考えられる。
咀嚼型の違いによって、同じ咬合力でも、咬耗や歯折、咬合性外傷、顎関節の異常など病変の発現部位、病態の違いが生まれる。
前頭面投影した切歯点の軌跡が咀嚼側だけで完結する咀嚼型をチョッピング型と呼ぶ。
チョッピング型は、歯に加わる側方力が小さく、歯は咬耗しにくく、顎位は安定しやすい。
白人に比較的多い咀嚼型であるために、標準的な型と考えられ、東アジア人においても咬合面を修正してチョッピング型を描くような咬合接触にすることを推奨する考え方があるが、咬合面の変更によってチューイングを垂直化しようとすると最大咬頭嵌合位に至る前後の干渉が生じやすい。
生来チョッピング型の人は東アジア人にはきわめて少ないものと思われる。
東アジア人に多いグライディング型は、切歯点の前頭面に投影した軌跡のかたちから斜め卵形型と逆三角形型に分けられる。
斜め卵形型の咀嚼型は、咬耗によって上下の咬合面がはまり込む傾向にあり、歯周組織に揺さぶりの力を与え、逆三角形型の咀嚼型では、咬合面の平坦化が進み咬合が不安定になる。
(包括歯科臨床2  顎口腔機能の診断と回復 )
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私が大学院にいたころに、咀嚼型は脳幹に記憶(パターン・ジェネレーター)されていることはすでに明らかになっていました。
しかしながら、それとは逆に、末梢を変えることにより、咀嚼型が変わるかどうかはまだ明らかになっていないことが分かりました。
まだまだ分からないことはたくさんあるのだなと感じました。
また、東アジア人にはグライディング型が多く、斜卵型の咀嚼型と逆三角形型の咀嚼型があること、前者は歯周病が進みやすく、後者は咬合が不安定になることが分かりました。
こうして考えると、インプラント治療を行うにあたり、患者さんの元々もっている咀嚼型に合わせた咬合面形態を製作する必要があります。
ヒトは、このように咬むと痛みがあるというような場合に、その方向への咀嚼運動を回避するようなことをオートマティックで行います。
また、天然歯なら痛みが惹起されそうな咬み方を、インプラント治療を行った部位で行っても、痛みが出ない場合も少なくありません。
天然歯とインプラントが共存する口腔内で、いかにうまく共調した状態を維持するのか、歯科学のより深い理解が必要だと今さながらに感じました。

2017年6月 1日

hori (10:46)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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