インプラントと過剰な力の最近のブログ記事

スポーツ選手の齲蝕有病率は高い。

・イギリスの複数のプロサッカーの摂取187名を対象に、口腔衛生状態を調べ、イギリスの一般成人に同様の調査を行った結果と比較したデータが有ります。
結果は、サッカー選手の齲蝕の有病率は、イギリスの一般成人が31%であるのに対し53%と大きく上回っていたことが分かりました。
(参考文献)
Needleman l, et al. Poor oral health including active caries in 187 UK professional male football players : clinical dental examination perfomed by dentists. Br J Sports Med 2016 ; 50(1) : 41-44.
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興味深いデータです。
スポーツ選手の口腔衛生状態が悪くなりやすい要因はいくつか考えられます。
1. 呼吸数や口呼吸の増加、運動中の緊張状態、脱水状態によって口腔内の乾燥状態に陥りやすい。
2. スポーツ飲料や補助食品の頻回摂取。
3. 通院のため練習を休むと、メンバーから外されるのではないかという不安
などが挙げられます。
そしてさらに、競技の種類にもよりますが、噛みしめによる歯へのクラックによる齲蝕は、当然ながら、一般成人よりも多いものと考えられます。

2018年12月20日

hori (08:46)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

野球選手は、歯の外傷が多い。

・外傷のうち、顎口腔領域にのみ焦点を当てると、天笠(2002)によれば、競技別で外傷の割合を調査した結果、1位:ラグビー(21.6%)、2位:スキー(20.3%)、3位:野球(13.5%)、4位サッカー(10.8%)と報告されています。
 一方、小池ら(2017)の調査では、1位:野球(39.1%)、2位:バスケットボール(18.8%)、3位:サッカー(12.5%)、4位:バレーボール(10.8%)と報告されており、地域性や時代にある程度影響を受けることが推察されます。
また、顎口腔領域の外傷の原因の中で、スポーツは17.8%を占めると報告されており、顎口腔外傷のうち35.9%が骨折、23.4%が歯の外傷、18.8%が軟組織の損傷と報告されています。
沢木ら(1990年)も同様に、顎口腔領域の外傷の約15%がスポーツによるものであり、原因別のランキングでは、スポーツが交通事故に次ぐ2位に挙げられると報告しています。
(参考文献)
小池尚史, 菅野貴浩, 辰巳博人, 狩野正明, 渡邊正章, 大熊里依, 吉松英樹, 関根浄治. スポーツに関連した口腔顎顔面外傷における臨床的検討. 口腔顎顔面外傷 2017 ; (1): 32-36.
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個人的には野球選手の外傷が多いことに驚かされましたが、地域性や時代の影響を受けているようにも感じます。
スポーツによる外傷でインプラント治療を希望される患者さんもいるので、ご自分のやっているスポーツがどの程度、外傷リスクがあるかを予め把握しておくことも必要かと考えています。

2018年12月15日

hori (08:48)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

なぜ、口腔内清掃状態が良くても歯周病が良くならないのか?

・歯周病は歯周病原細菌による感染が原因だと考えられているが、口腔内の清掃状態が良くても歯周病が良くならないケースもあり、そのすべての原因はいまだ分かっていない。
研究者の中には歯周病に夜間の歯ぎしりが関連しているという意見もあるが、実際の噛みしめを長時間記録することができずにアンケート調査等でしか情報を得られなかったため解明されないままだった。
そんな中、岡山大学病院咬合・義歯補綴科の加藤聖也医員と予防歯科の江國大輔准教授らの研究グループが、独自開発した長時間記録装置を用い、食いしばりや歯ぎしりといった昼夜の噛みしめが歯周病の重症度に関連していることを発表した。
研究グループは、頬に記録用の電極を張ることで、噛みしめをしたときに頬の筋肉から発生する微弱な電気を記録する携帯型の24時間記録装置を開発。
その装置を用い昼夜の無意識の噛みしめを検査した。
その結果、日中、目が覚めている状態にもかかわらず歯周病が重度な人は1時間あたり平均6.2分間も無意識に強く噛みしめていることが判明。
それに比べ、歯周病が軽度な人は1時間あたり平均1.4分間で、歯周病の重症度が噛み締めに関連していることが分かった。
また睡眠時では、歯周病が重度な人は1時間で平均2.5分間、軽度な人は平均0.7分間噛みしめており、昼間より夜間の方が噛みしめの時間が短いことが分かった。
噛みしめというと、睡眠時の歯ぎしりが連想されるかもしれないが、今回の研究で歯ぎしりの自覚が実際の噛みしめと一致していないことが分かったことも大きい。
(Dentalism WINTER 2018No.33 )
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口腔清掃状態が良好でも歯周病の状態が悪い方がいます。
この報告にもあるように、近年、夜間の歯ぎしりよりも、昼間の噛みしめの方が歯周病への悪影響となっていることが明らかになりました。
また、昼間の噛みしめは本人の自覚がないことも当院での調査とも一致しています。

2018年12月 5日

hori (14:40)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

インプラントを義歯の直接支台として使う場合

・天然歯に側方力が加わると、回転中心は歯根の根尖側1/3となるのに対して、インプラントではプラットフォーム周囲の骨が回転中心となる。
そのため、インプラントでは天然歯よりも大きな力が頸部インプラントに周囲骨に加わる。
Eomらは有限要素法による検討を行っており、3歯の上顎遊離端欠損の直接支台がインプラントの場合では、天然歯である場合に比べて皮質骨に約10倍の応力が加わっていることを報告している。
(参考文献)
Eom JW, et al. Three-dimentional finite element analysis of implant-assisted removable partial dentures. J Prosthet Dent. 2017; 117(6): 543-742.
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過大な咬合力で歯を喪失した患者さんには、インプラントを3歯の遊離端欠損の直接支台として使用するのはリスクがあるということになります。
また粘膜の厚みや歯槽骨の質の違いからも下顎よりも上顎の方がリスクが高い可能性が窺えます。

2018年9月15日

hori (08:59)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

ミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンのエビデンスのレベルは高くない。

・ミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンは治療の予測性を高めるために考えられた矯正治療の概念ですが、筆者が知る限り、エビデンスのレベルは高くありません。
経験的には良い結果が得られていますが、これは一つのモデルであり、科学的なエビデンスは乏しいことから、万人に対して適応可能な理論ではないかもしれません。
 (考えるぺリオドンティクス )
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咬み合わせを再構築するインプラント治療では、基本的にミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンを目標に行っていますが、エビデンスレベルは高くないことが分かりました。

2018年6月25日

hori (08:21)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

ジルコニアはエナメル質の3倍以上の硬度。

・エナメル質の硬度は、ちょうどハイブリッドレジンとポーセレンの中間に位置します。
そしてジルコニアはエナメル質の3倍以上の硬度を有します。
Dr中込自身は、口腔内の、特に外装材としてジルコニア(つまりはフルジルコニア)を使用することには完全に否定的な見解を抱いています。
その理由は当たり目のように「硬すぎる」ということです。エナメル質の3倍以上の硬さでは、対合歯の摩耗はもちろんのこと、天然歯であればエナメル質の割れ、また歯根破折の危険性等、多くのマイナスの反応が出ることが容易に予測できます。
(補綴臨床 2018年3月号 )
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私も硬すぎるフルジルコニアをインプラントの上部構造に選択することは、今のところ考えていません。
咬合力は上下に同じだけかかるわけですから、フルジルコニアの対合が天然歯であれば、歯冠破折、歯根破折、垂直性骨吸収などのトラブルが惹起されるものと推測されます。
一方、上部構造にフルジルコニアを選択した場合のインプラントは、上部構造が破壊されないだけに、歯槽骨吸収やリテインニングスクリューの破折、インプラント体の破折等の問題を惹起します。
また硬すぎるということは、それ自身の咬耗がほぼないだけでなく、咬合調整が非常にやりにくいことも意味します。
生体は常に変化しています。
定期的な咬合調整を行うことで、特定のインプラントや天然歯に過大な咬合力が集中することを可及的に回避することが重要であると考えています。

2018年5月20日

hori (16:35)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

咬合性外傷"力"の徴候

・咬合性外傷"力"の徴候
1. 年齢の割に歯周組織の破壊の進行がみられる。
2. 歯周組織の破壊の程度の割に歯の動揺がある。
3. 根分岐部病変が上下顎左右側にある。
4. プロービングデプスパターンが咬合型
5. 歯冠修復物の頻回の脱落、歯や修復物の咬耗
6. 歯根破折
7. 齲蝕はないが、冷水痛、知覚過敏がある。
8. ブラキシズムや日中の噛みしめの自覚がある。
(歯界展望 2018年1月号 )
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インプラント治療希望の方に、上に記した咬合性外傷"力"の徴候に該当する患者さんが多いように感じています。
歯を力で破壊してきた患者さんに対して、歯よりも感覚の鈍いインプラントを配置した場合、自分の歯よりも結果的に良く咬める状態になる場合すらあるので、どこかが破損してもあまり不思議ではありません。
補綴的により良いゴールを提供するとともに、経時的な変化を最少にする配慮が必要と考えられます。

2018年3月15日

hori (09:51)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係

・主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係
(目的)
すべての正常有歯顎者において、ストッピングの圧平により示された主機能部位の範囲内に咬合力が発現する領域と咬合接触が認められた。
主機能部位に発現した咬合力の平均値は79.3N(SD55.2)であり、主機能部位の領域内の咬合接触面積の平均値は6.6平方ミリメートル(SD4.8)であった。
(結果と考察)
主機能部位が下顎第一大臼歯に存在する(M1)、第一・第二大臼歯間に存在する(MB)、第二大臼歯に存在する(M2)に分類し、
1.ストッピングが圧平され、咬合接触と咬合力が発現した部位は、M1が120側(59.4%)、MBが50側(24.8%)、M2が32側(15.8%)だった。
2.咬合接触面積の平均値は、M1では6.9平方ミリメートル(SD4.6)、MBでは6.4平方ミリメートル(SD5.7)、M2では6.0平方ミリメートル(SD4.5)であり、有意差は認めなかった。
3.咬合力の平均値は、M1では72.7N(SD)47.6、MBでは85.8N(SD59.1)、M2では93.8N(SD71.3)であり、有意差を認めなかった。
4.咬合力表示面積の平均値は、Mでは2.3平方ミリメートル(SD1.4)、MBでは2.6平方ミリメートル(SD1.8)、M2では2.7平方ミリメートル(SD2.1)であり、有意差を認めなかった。
以上のことから、主機能部位の位置によって、発現する咬合接触面積と咬合力には差異が認められなかった。
主機能部位が下顎第一大臼歯に存在する場合には、発現する咬合接触面積は大きい値を、咬合力は小さい値を示す傾向がみられた。
(参考文献)
山本司将, 中村健太郎, 他. 主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係. 補綴誌 2017;9・126特別号 :162.
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主機能部位が下顎第一大臼歯に存在するM1の場合と比べて、MBやM2では、様々な問題が生じると考えられます。
例えば、MBはM1やM2と比べて、フードインパクションが生じやすいことが挙げられます。
また、M2の咬合接触部位や咬合力の大きさによりますが、主機能部位が下顎第二大臼歯の遠心部にある場合は、近心部よりも歯牙や歯槽骨の破壊が惹起されやすいように考えられます。
さらに、下顎第二大臼歯の後方に下顎第三大臼歯の有無やそれが存在した場合の咬合接触も、何か結果に影響を与えそうです。
この研究報告では、「主機能部位の位置によって、発現する咬合接触面積と咬合力には差異が認められなかった」とのことですが、被験者を増やして再度同様の調査を行えば、有意差が出る可能性があります。
今後に期待したいところです。

2018年3月 1日

hori (08:53)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

正常有歯顎者では、加齢による咬合力の低下は見られない。

・小島ら(2010)は、20-60歳代の年代別100名ずつ計500名(顎口腔系に異常を認めず、6か月以内の補綴治療の既往がない、可撤性義歯を装着していない)における最大咬合力を調査したところ、20-60歳代の平均値にほとんど差が認められず、その平均値が626Nであったと報告している。
このことから、正常有歯顎者では、60歳代であっても20歳代の咬合力とほぼ同等であることから、加齢による咬合力の低下は見られず、咀嚼能力は衰えないことが分かる。
(参考文献)
近藤康史, 中村健太郎, 他. 男女別における咬合力の統計学的検討- 咬合力の標準値について‐ . 補綴誌2011 ; 3・120特別号 : 257.  
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感覚的に義歯を装着していない正常有歯顎者の咬合力は、加齢による影響を受けないのではなかろうかと考えていましたが、それを裏付ける文献を見つけました。
各年代を100名ずつ集めるのは容易ではない可能性もありますが、個人的には、同じ条件で、70代、80代の正常有歯顎者の場合や、インプラント補綴で咬合回復した場合の研究結果にも興味があります。
今後に期待したいですね。

2018年2月25日

hori (08:54)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

下顎大臼歯部は最も根面齲蝕になりやすい。

・20-64歳の473名の被験者で根面齲蝕の罹患度とその分類を行った。
根面齲蝕は11.4%の歯根面に認められた。
また年齢階層別には、20代では1.1%だった根面齲蝕が60代では22.0%へと増加した。
根面齲蝕に罹患した歯を部位別に分類すると、すべての年齢階級において、下顎大臼歯部は最も根面齲蝕になりやすい傾向を示し(40%)、下顎小臼歯部(25%)、上顎犬歯(23%)、下顎前歯部(2%)が続いた。
また、必ずしも歯肉退縮との関連は認められず、たとえば上顎については、歯肉退縮が起こりやすい部位よりも、むしろ歯肉退縮が起こることで隣接面が根面齲蝕を発症しやすくなることが示された。
(参考文献)
Prevalence and intraoral distribution of root caries in an adult population. Katz RV, Hazen SP, Chilton NW, Mumma RD Jr. Caries Res 1982 ; 16(3) : 265-271.
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下顎大臼歯に根面齲蝕が頻発すること、上顎大臼歯にはさほど根面齲蝕が生じないことが明らかになりました。
上顎大臼歯よりも下顎大臼歯の歯磨きが困難であるとは考えにくいです。
唾液分泌量が減少すると根面齲蝕が増加するといわれていますが、上顎大臼歯と接触する唾液量は下顎より多いのかというと、「?」です。
アブフラクションによるマイクロクラックによっても、根面齲蝕が惹起されます。
歯槽骨の硬さは上顎よりも下顎で硬いことが多いので、歯牙に過大な側方力がかかった際には、下顎大臼歯の方がマイクロクラックが入りやすいように考えています。
一方、上顎大臼歯は歯槽骨が柔らかいゆえに、歯牙に過大な側方力がかかった際には、歯牙周囲の歯槽骨が破壊されるのかもしれません。
また、歯槽骨が破壊されるから、下顎大臼歯よりも根分岐部の数が多い上顎大臼歯は、歯周病が進行しやすく、マイクロクラックが入るよりも前に抜歯されている可能性もあります。

2018年2月 5日

hori (09:44)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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