長期に安定したインプラントを目指して : その4

先日、埋入したインプラント周囲の軟組織の条件を良くするために、遊離歯肉移植術を行った患者さまが来院されました。

遊離歯肉移植術とは、口蓋部分から歯肉を切除し、その歯肉を歯肉が不足している部位へと移植するテクニックです。

口蓋部分はそのままにしておくと当然痛みが出ますから、人工歯肉で創面を保護します。

移植を行ってから10日近く経過しましたが、口蓋のくぼんだ状態もだいぶ盛り上がってきており、順調な治癒状態です。

1ヶ月も経つと口蓋部分は、ほぼ元の状態に回復するはずです。

遊離歯肉移植術は、大口蓋動脈だけを気をつければ、特に危険なオペではありません。

大口蓋動脈は割と太い栄養血管であるために、それが走行している付近の歯肉を移植片として利用しても、時間が経つと概ね元の状態に戻るのです。

一方、歯肉を移植した方の歯肉は最初は反対側と比較しても盛り上がった状態でしたが、次第に移行的な歯肉になってきています。

骨でも歯肉でも移植片は多少は萎縮した状態で、正嫡しますので、予め多めの量の移植片が必要となるでしょう。

私がインプラント周囲の歯肉にこだわるのは、歯肉の量が不足している部位ではやはり歯肉退縮が起きやすいだけではなく、歯肉退縮が起きる際には歯槽骨レベルが下がることが多いからです。

機能的に長期に渡り安定した状態のインプラントは、審美的に見ても長期に安定していることが多いです。

やはり審美と機能は別々なものではなく、機能を追及していくと審美的レベルも向上するということになるのでしょう。

2009年2月18日

hori (00:42)

カテゴリ:治療例

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