適切な根管治療では、歯の強度は低下しない。

Papaらは生活歯から根管治療歯となった場合の水分量の低下は2%以下であったとし、またHelferらは9%の低下を示したと報告している。
すなわち、われわれが思っているほど水分量の喪失はないことが分かる。
そして、Sedgleyらは根管治療歯の力学的変化について、抜歯をされた歯と反対側同名歯である生活歯を対象に調べたところ、硬度試験では根管治療歯の数値的には劣っていたが、すべてのテストで両者に有意差はなかったと述べている。
これらのことから、根管治療を行っても水分量の低下で歯が脆くなったり、歯の強度が低下すると言ったことはなく、安全に治療を行うことができる。
(歯界展望 2016年 2月号 )
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『神経を取ると歯の水分が減少するから弱くなる。』というのは、誰からということなく私も聞いたことがあります。
しかしながら、今回の報告により、抜髄をしても、歯牙の硬度に影響を与えるほどは水分量は減少しないし、弱くもならないということが明らかになりました。
やはり注意しなければならないのは、根管治療が可能な範囲での歯質削除を行い、歯根破折を惹起させないことです。

2016年4月 5日

hori (08:50)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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