2020年4月アーカイブ

インプラントで必要な頬側骨骨幅。

・必要な頬側骨骨幅の再考:ビーグル犬による動物実験
(結果)
72本のインプラントが12匹のビーグル犬に埋入された。
36本は頬側骨が薄い部位(tbb:1.5ミリ未満)に埋入され、残り36本は頬側骨が厚い部位(TBB:1.5ミリ以上)に埋入された。
術中および治癒期間中に合併症などは認められず、すべてのインプラントは観察期間中に脱落することはなかった。
6匹のビーグル犬を埋入後8週で安楽死させ、生理学的骨吸収の影響を評価した。
tbbとTBBの比較では骨接触率で群間に有意差を認めなかったものの(P=0.977)、頬側内側骨喪失量(平均差3.65ミリ、P<0.001)および頬側外側骨喪失量(平均差3.96ミリ、P<0.001)ではtbbで有意に大きな骨吸収量を認めた。
一方で頬側内側骨喪失量(平均差0.55ミリ、P<0.001)および頬側外側骨喪失量(平均差0.95ミリ、P<0.001)ではTBBで有意に大きな骨吸収量を認めた。
残り6匹のビーグル犬ではその後、インプラント周囲炎を惹起させ、病的骨吸収の影響を評価した(インプラント36本)。
tbbとTBBの比較では頬側内側骨喪失量(平均差1.08ミリ、P<0.001)および頬側外側骨喪失量(平均差0.54ミリ、P<0.002)でTBBで有意に大きな骨吸収量を認めた。
頬側内側骨喪失量では群間に有意差を認めなかった(平均差0.32ミリ、P<0.10)。
(結論)
インプラント埋入後の生理学的および病的骨吸収を最小にするためにはインプラント埋入後に頬側に1.5ミリ以上の骨幅が必要であることが示された。
すなわち、1.5ミリ以上の頬側歯槽骨壁は術後の形態変化及びインプラント周囲炎による変化を補填するのに有用である。
しかしながら、この頬側骨の厚みはインプラントの脱落には影響を及ぼさなかった。
(参考文献)
Monje A, Chappuis V, Monje F, Munoz F, Wang HI, Urban IA, Buser D. The critical peri-implant buccal bone wall thickness revisiter : An experimental study in the beagle dog. Int J Oral Maxillofac Implants 2019 ; 34(6) : 1328-1336.
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インプラントの頬側骨幅は1.5ミリは必要ということになります。
これは特に前歯部では守らなくてはならない原則となります。

2020年4月25日

hori (08:11)

カテゴリ:上顎前歯部のインプラントの

根管治療が治療時間がかかる理由。

・根管の形態は必ずしも円錐形を呈していないことは周知の事実である。
Wuらは、下顎第一大臼歯の近心頬側根管において根尖側1/3で92%が根管の形態が正円形ではないことを報告している。
これら楕円形を呈している根管の根管形成に関して、手用ステンレススチールファイル(バランスドフォース法)を用いた場合には、61.4%も非切削エリアが存在することも報告されている。
また、米国歯内療法学会の発行する症例難易度評価フォームでは、30度以上の湾曲を有する根管やS字状を呈する根管、根尖部の直径が1.5ミリ以上の根管は症例として難易度が非常に高いと示している。
(参考文献)
Wu MK, van der Sluis LW, Wesselink PR. The capability of two hand instrumentation techniques to remove the inner layer of dentine in oval canals. Int Endod J 2003 ; 36(3) : 218-224.
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根管治療は治療回数や治療時間をより多く必要とされることが多いです。
今回の報告により、根管形態が円錐形態を呈していないため、根管拡大が必要不可欠であるとともに、根管洗浄もそれと同じくらい重要であることの理由となると考えられます。
根管治療は歯科の基本の処置といっても過言ではありませんが、近年高齢者でも歯を保存できる時代に突入しているためか、根管治療はより難易度が高まっているように感じます。

2020年4月20日

hori (08:42)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

日本人は砂糖消費量が少ないのに、虫歯が多い。

・WHOのコラボレーションセンターであるメルモ大学による国別の12歳児一人う蝕経験歯数(DMFT)のデータと、一人当たりの年間砂糖消費量のデータをもとに、両者の関係を調査したところ、日本は国際的に肥満が少ない一方、う蝕は比較的多い現状にあることが明らかになりました。
つまり、日本においては、国全体の平均的なう蝕経験を増加させている重要な因子が砂糖消費量以外にあると推測されます。
 
         一人当たりの年間砂糖消費量    DMFT
日本       13.9キログラム              1.4本
タイ       34.5キログラム              1.3本
米国       26.8キログラム              1.19本
オーストラリア  34.3キログラム              1.05本
カナダ      25.5キログラム              1.0本
スウェーデン   32.5キログラム              0.8本
フィンランド   24.5キログラム              0.7本
イギリス     32.3キログラム              0.6本
(参考文献)
Malmo University. Oral Health Country/ Area Profile Projyect. http://www.mah.se/CAPP/ (2019年11月19日アクセス)
 
Helgilibrary. Sugar Consumption Per Capita-All countries. http://www.helgilibrary.com/(2019年11月19日アクセス) 
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非常に興味深いデータです。
日本人の多くは歯列不正を有し、無意識に食いしばっている方が少なくありません。
それにより歯牙にクラックが生じ、そのクラックに沿ってう蝕が進行しているものと推測されます。

A型インフルエンザの予防には、ビタミンD3が有効.

・A型インフルエンザの予防には、ビタミンD3が有効であることが判明しています。
慈恵医大の分子疫学研究室が6-15歳までの小中学生を対象に行った研究では、プラセボ群に比べて、ビタミンD3投与群では42%もA型 インフルエンザ罹患率が少なくなりました(B型では有意差なし)。
アメリカ・エール大学の研究グループが、健康な成人の血清25-ヒドロキシビタミンDの値と、急性ウイルス性上気道感染症の発生率を調べた研究では、25-(OH)ビタミンD値が38ng/mL以上の群では、それ未満の群に比べて罹患リスクが1/3で、罹患日数も大幅に少ないことが分かりました。
(参考文献)
Am J Clin Nutr., 2010, May, 91 (5) : 1255-60
Plos One, 2010, Jun, 14: 5(6) : e 1108

2020年4月10日

hori (08:06)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

インプラント製品の非純正品の"質"

インプラント臨床家はコスト面を優先させて非純正品を選択するのではなく、長期的にみたインプラント治療成功のために技工指示書には純正品の選択を指示し、補綴的トラブルやインプラント周囲炎のリスクを積極的に回避するべきである。
非純正品は特許の問題から、アバットメントやスクリューの連結部の表面性状、形態、サイズ、材質が異なっており、場合によっては純正品より50%以上大きいギャップが認められたという報告もある。
(参考文献)
Berberi A, Tehini G, Tabaja Z, Kobaissi A, Hamze K, Rifai K, Ezzedine M, Badran B, Chokr A. Determination of inner implant's volumes : a pilot study for microleakage quantification by stereomicroscopy and spectrophotometry. J Contemp Dent Pract 2013 ; 14(6) : 1122-1130.
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やはりインプラント製品の純正品と非純正品とで、"質"の差があることが明らかになりました。
当院では、インプラント治療で純正品以外使用したことがありませんが、正しい選択だったと考えています。

2020年4月 5日

hori (08:13)

カテゴリ:アバットメントの強度

1日3回以上の歯磨きで心不全リスク12%低下。

・1日3回以上の歯磨きで心不全リスク12%低下
これまでの研究で、口腔衛生不良は血中への細菌侵入に起因する全身性炎症に結びつくこと、炎症は心房細動と心不全のリスクを上昇させることが分かっている。
そこで口腔衛生とこれら2つの心疾患発症との関連を検討した。
韓国の国民健康保険データから、心房細動と心不全の既往がなく2003-2004年に定期検診を受けた16万1286人(40-79歳)を登録し、後ろ向きコホート研究を実施。
身長、体重、臨床検査値、既往歴、生活習慣、口腔衛生に関する行動について情報を収集した。
中央値で10.5年の追跡期間中に、4911人(3.0%)が心房細動を、7971人(4.9%)が心不全を発症した。
解析の結果、1日3回以上の歯磨きは心房細動リスクの10%低下、心不全リスクの12%と関連していた。
口腔衛生と両疾患との間には、年齢、性、社会経済的状態、定期的な運動、アルコール摂取、BMI、併存疾患といった交絡因子を調整後も独立した関連が維持された。
専門家による口腔ケアと心不全の間には負の相関、歯の喪失歯数22本以上と心不全の間には正の相関がそれぞれ認められた。
同研究は背景機序について検討していないが、想定される機序の一つとして頻繁な歯磨きが歯肉縁下の最近バイオフィルムを減少させ、最近の血流侵入を予防したことが挙げられる。
今回の解析では単一国における観察研究のため因果関係を証明できないものの、大規模集団を長期間追跡したという強みがあると述べている。
(デンタリズム 2020年 No.38 )
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専門家による口腔ケアと心不全の間には負の相関、歯の喪失歯数22本以上と心不全の間には正の相関がそれぞれ認められたそうです。

2020年4月 1日

hori (08:05)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

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