インプラントで必要な頬側骨骨幅。

・必要な頬側骨骨幅の再考:ビーグル犬による動物実験
(結果)
72本のインプラントが12匹のビーグル犬に埋入された。
36本は頬側骨が薄い部位(tbb:1.5ミリ未満)に埋入され、残り36本は頬側骨が厚い部位(TBB:1.5ミリ以上)に埋入された。
術中および治癒期間中に合併症などは認められず、すべてのインプラントは観察期間中に脱落することはなかった。
6匹のビーグル犬を埋入後8週で安楽死させ、生理学的骨吸収の影響を評価した。
tbbとTBBの比較では骨接触率で群間に有意差を認めなかったものの(P=0.977)、頬側内側骨喪失量(平均差3.65ミリ、P<0.001)および頬側外側骨喪失量(平均差3.96ミリ、P<0.001)ではtbbで有意に大きな骨吸収量を認めた。
一方で頬側内側骨喪失量(平均差0.55ミリ、P<0.001)および頬側外側骨喪失量(平均差0.95ミリ、P<0.001)ではTBBで有意に大きな骨吸収量を認めた。
残り6匹のビーグル犬ではその後、インプラント周囲炎を惹起させ、病的骨吸収の影響を評価した(インプラント36本)。
tbbとTBBの比較では頬側内側骨喪失量(平均差1.08ミリ、P<0.001)および頬側外側骨喪失量(平均差0.54ミリ、P<0.002)でTBBで有意に大きな骨吸収量を認めた。
頬側内側骨喪失量では群間に有意差を認めなかった(平均差0.32ミリ、P<0.10)。
(結論)
インプラント埋入後の生理学的および病的骨吸収を最小にするためにはインプラント埋入後に頬側に1.5ミリ以上の骨幅が必要であることが示された。
すなわち、1.5ミリ以上の頬側歯槽骨壁は術後の形態変化及びインプラント周囲炎による変化を補填するのに有用である。
しかしながら、この頬側骨の厚みはインプラントの脱落には影響を及ぼさなかった。
(参考文献)
Monje A, Chappuis V, Monje F, Munoz F, Wang HI, Urban IA, Buser D. The critical peri-implant buccal bone wall thickness revisiter : An experimental study in the beagle dog. Int J Oral Maxillofac Implants 2019 ; 34(6) : 1328-1336.
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インプラントの頬側骨幅は1.5ミリは必要ということになります。
これは特に前歯部では守らなくてはならない原則となります。

2020年4月25日

hori (08:11)

カテゴリ:上顎前歯部のインプラントの

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