2018年11月アーカイブ

破傷風による開口障害

・破傷風による開口障害
顎関節症では、開口障害や咀嚼筋、頸部筋肉の圧痛を認めることがある。
しかし、開口障害は開口域20?前後の場合が多く、本症例のように3?しか開かない場合はすくない。
また、表情筋の緊張や発語困難をきたすことはない。
筋突起過形成症は筋突起が過長となり、開口時に頬骨と干渉して開口障害や頬部の違和感、疼痛を生じる。
しかし、開口障害が突然生じることはない。
(デンタルダイヤモンド 2018年11月 )
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開口障害のある方にインプラント治療する場合は、先に開口障害を改善する必要があると考えています。
歯科に来院される方の多くは、顎関節症関連が多いですが、破傷風で開口障害が惹起されることがあるそうです。
現在の、国内の破傷風患者数は年間100人前後とされているので、比較的目にする機会は少ないのですが、知識として知っておきたいものです。

2018年11月25日

hori (08:03)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

インプラント治療で余命が伸びる。

・健康的な生活習慣がアメリカ人の寿命に及ぼす影響
78865人を対象とした調査研究「Nuses' Health Study(1980-2014)」と44351人を対象とした調査研究「The Health Professionals Follow-up Study(1986-2014)」の2つのデータをもとに統計解析を実施した。
30歳から 75歳までの男女を対象とし、身長、体重、食習慣、運動習慣、喫煙歴、サプリメント(ビタミン剤)の使用、解熱鎮痛剤(アスピリン)の使用、家族の病歴について質問調査した。
健康的な生活習慣スコアは、以下の5つの条件にいくつ一致するか否かを調べた。
1. 健康的な食習慣
Alternate Healthy Eating Index scoreを用いて食事調査し、スコアの上位40%を健康的な食習慣であると定義し、1点加算した。
食習慣スコアは以下の項目で形成される。
野菜、果物、ナッツ、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸、w-3脂肪酸は1日の推奨量を摂取していること。
赤身肉・加工肉、糖添加飲料、トランス脂肪酸、食塩の摂取量を制限していること。
2. 健康的な運動習慣
1日30分以上の中等度-強度の身体活動を継続していること。
3. 飲酒習慣
適度の飲酒(純アルコールで女性5-15g/日、男性5-30g/日)を遵守していること。
日本では純アルコール20gで1合と定義されている。
各種アルコール飲料に換算すると、ビール中瓶(500ml)は1本で1合であり、日本酒やワインは180mlで1合である。
4. 喫煙歴
現在、喫煙していないこと。
5. 適正体重
正常体重【体格指数(BMI):18.5-24.9kg/m?】を維持していること。
各項目の条件に一致している場合、1点加算するため、0点は高リスク生活習慣である。
生活習慣スコア0、1、2、3、4、5点と分類し、点数が高いほど健康的な生活習慣とした。
追跡期間中、2年に1回再調査し、結果に反映させた。
研究結果
34年間の追跡期間中に4万2167人の死亡(がん死1万3953人、心血管疾患死1万689人)が確認された。
まずは死因と生前の生活習慣スコアを比較して、生活習慣が死因に関連があるか調査した。
調査の方法としてはハザード比を算出し、死因と生活習慣の相対的な危険度を客観的に比較した。
なお、ハザード比は1を基準として、数字が小さくなるほど生活習慣が各疾患の発症しやすくなる危険因子であることを示す。
生活習慣スコア0点群(高リスク生活習慣群)に対する5点群(健康的な生活習慣群)のハザード比は全死亡率が0.26であり、死因別に調査したところ、がん死が0.35であり、心血管疾患死が0.18だった。
特に心血管疾患死はハザード比が低く、健康的な生活習慣によって予防できる可能性があることが示唆される。
寄与危険割合は、寄与危険が暴露軍の罹患リスクに占める割合を示す。
すなわち、高リスクの生活習慣を続けていたことが影響して各疾患の発症する割合を算出した。
健康的な5つの生活習慣因子を遵守しなかった場合の寄与危険割合は全死亡が60.7%、がん死が51.7%、心血管疾患死が71.7%だった。
特に心血管疾患は生活習慣と密接な関係があり、健康的な生活習慣で予防できる可能性が示唆された。
次に生活習慣が寿命に与える影響を調べたところ、5つの健康的な生活習慣を一つも遵守しなかった場合(高リスク生活習慣群)、女性の平均寿命は79.0歳、50歳時の平均余命は29.0年、男性ではそれぞれ75.5歳、25.5年と推測された。
一方、5つの健康的な生活習慣をすべて遵守した場合(健康的な生活習慣群)、女性では93.1歳、43.1年、男性では87.6歳、37.6年と推測された。
生活習慣スコア0点群(高リスク生活習慣群)に対する5点群(健康的な生活習慣群)の50歳時における平均寿命は、女性で14.0年、男性で12.2年延長した。
(参考文献)
Impact of Healty Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population. Li Y , Pan A , Wang DD , et al. Circulation. 2018
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健康的な生活習慣を1 健康的な食習慣、2 健康的な運動習慣、3 飲酒習慣、4 喫煙歴、5適正体重の5項目に着目して、寿命がどのくらい変わるのかをアメリカ人で調査した文献の紹介です。
5つすべての項目を遵守すると、一つも純しない場合と比べて、女性で14.0年、男性で12.2年平均寿命が延長したという結果が得られました。
噛めない人が、インプラント治療を受けて咬めるようになると、1・2・5が改善する可能性が高胃と考えられます。
すなわち、咬めない頃は脂肪と糖質に偏った食事をしている人が、インプラントで咬めるようになることで、バランスのとれた食事が可能となります。
また咬めるようになると身体の姿勢も変化して疲れにくい身体になるので、BMIが適正な値にシフトしたり、体を動かすことが億劫でなくなったりする変化がみられるようになります。

2018年11月20日

hori (08:37)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

根管が見落とされている確率

・根管が見落とされている確率
右上7:33.3%、6:41.3%、5:12.3%、4:5.2%
左上7:27.7%、6:46.5%、5:9.9%、4:10.3%
右下7:22.7%、6:20.1%、5:4.4%、4:18.2%
左下7:20.6%、6:18.1%、5:2.7%、4:35.3%
ということは、左下4が見落とされている根管が多いことになります。
その特徴は、2-3割が根管中央付近で分岐する2根管であることが関連し、根管が見落とされている確率が、右下4では18.2%であるのに対して、左下4では35.3%と大きな隔たりがあることから、右利きの術者であれば、レストが取りやすい右下よりも左下の方が、髄腔開拡の大きさが小さいことに起因しているものと推測されます。
(参考文献)
Karabucak B, et al.: Prevalence of Apical Periodontitis in Endodontically Treated Premolars and Molars with Untreated Canal: A Cone-bean Computed Tomography Study. JOE: 538-541, 2016.

2018年11月15日

hori (08:47)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

BP製剤関連顎骨壊死で、露出した骨自体には痛みはない。

・患部に痛みが生じた場合、どう対処するべきか?
痛みを感じるためには正常な神経組織と血液供給が必要である。
骨はすでに感覚を失っているので、痛みは粘膜部から生じるはずである。
重度の感染を疑って確認する必要があるが、たいていの場合、原因は局所組織の衛生的な問題であるため、一般的な清掃と消毒薬の局所応用で対応可能である。
( 66症例に学ぶ歯科臨床の問題解決)
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BP製剤関連顎骨壊死で、骨が露出した際にも、骨自体には痛みはないようです。
仮にその付近に痛みが生じた場合でも、痛みの原因は粘膜部からの痛みであるために、一般的な対処で問題がないとのことです。

2018年11月10日

hori (07:42)

カテゴリ:インプラントと骨粗鬆症

BP製剤関連顎骨壊死では、露出した骨は感染を起こすことは稀。

・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死では、露出した骨は感染を起こすでしょうか?

感染の可能性はあるが、意外にも稀である。
骨が露出するとすぐに口腔細菌によってコロニーが形成されるが、これは感染が成立していたのではなく、菌が付着した状態である。
骨内に細菌が侵入していないうえに、血液供給のない組織では宿主反応が起こることもなく、したがって炎症や免疫反応も生じない。
( 66症例に学ぶ歯科臨床の問題解決)
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歯科医師としては、抜歯後に患者さんの歯槽骨が口腔内に露出しているととても気になりますが、炎症が生じることは稀なようです。
勉強になりました。

2018年11月 5日

hori (08:25)

カテゴリ:インプラントと骨粗鬆症

BP製剤は上下顎骨に対する作用が顕著。

・BP製剤はすべての骨に同じように作用するわけではない。
全身に作用するが、上下顎骨に対する作用が顕著である。
理由は明らかではないが、上下顎骨には豊富な血液供給により高濃度の薬剤が到達するためと推測される。
さらに顎骨を被覆する軟組織は非常に薄いため、骨露出が生じやすい。
BP製剤が原因の骨壊死は下顎に多く、上顎の2倍である。
しかし他の発症することはほとんどない。
( 66症例に学ぶ歯科臨床の問題解決)
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BP製剤が原因の骨壊死は下顎に多く、上顎の2倍あるそうです。
仮にインプラント治療を計画する際にも、上顎を中心に考えた方がよさそうです。

2018年11月 1日

hori (08:56)

カテゴリ:インプラントと骨粗鬆症

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