マイクロスコープがあっても、MB2は必ずしも治療可能ではない。

・Sempiraらのclinical studyでは、顕微鏡下で200本の上顎6・7に根管治療を行うも、MB2が治療できた割合は6で33.1%、7で24.3%であった。
しかも、それらは根尖から4ミリアンダーまでしか治療できなくても「治療された」とカウントしている。
また、MB2の出現率は、上顎6で約80%、治療できるMB2は約33%である。
(参考文献)
Sempira HN, Hartwell GR. Frequency of second mesiobuccal canals in maxillary molars as determined by use of an operating microscope : a clinical study. J Endod 2000 ; 26 : 673-674.
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歯科の技術は、歯科材料や機器の進歩とともに、技術改革を続けてきました。
ただその一方で、それらを販売する業者が、販売を促進する目的で、一部情報を歪めているように、個人的には感じていました。
これまで、マイクロスコープがあれば、例えば、根管治療の成績が格段に向上すると繰り返し、伝えられてきましたが、それが必ずしも正しくはないというエビデンスに出会うことができました。
業者にとって都合の良い医師・歯科医師が、バイアスのかかった情報を流し、多くの同業者がその情報に翻弄されてしまう。
幅広い情報収集が、患者さんの幸せにつながっているのだと痛感させられました。
根管治療の技術向上に努める必要はもちろんありますが、治らない根管治療を続けることは、患者さんの不幸につながる場合もあるということになります。
マイクロスコープは確かに根管内の状態がよくわかりますが、根管内をきれいにするのは、従来のツールです。
(歯科材料や機器は日進月歩ですが、歯内療法の基本的なところは、以前とあまり変わっていません。)
良く見えるけれど、内部をきれいにすることが困難なケースも少なくないのです。
外科的歯内療法をすればいいのでは?という意見もあるとは思いますが、外科的歯内療法に適さない歯牙部位や歯牙形態である場合や、3?ルールに従った結果、歯冠歯根比が悪くなるケースなどもあるので、適応症を見極めなくてはなりません。

2014年6月15日

hori (16:33)

カテゴリ:インプラントについて

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