なぜ7番は6番よりも6年遅れて萌出するのに、一番先になくなるのか?

1987年、1999年歯科疾患実態調査「歯の平均寿命」で、歯が失われた順番に注目してみた。
どちらの調査結果でも最初に失われるのが下顎7番、次が上顎7番、そして3番目に失われるのが下顎6番であり、各歯種の失われる左右的な時間差はほとんどないことが分かる。
しかし奇妙ではないか?
7番(12歳臼歯)は6番(6歳臼歯)に比べておおよそ6年遅れて萌出するにも関わらず、一番最初に喪失している。
これはいかに7番の喪失リスクが高いかを示す根拠となる。
下顎7番の治療予後が他の歯に比べてあまり思わしくない原因は、樋状根など根管治療の予後を不安定にさせるような解剖学的要因もあると思われるが、やはり構造的に7番は顎関節に近く、破壊的な咬合力を最も強く受ける場所だからであろう。
(デンタルダイヤモンド 2014年 6月号 )
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大臼歯を失う方のお口を拝見していると、前歯の働きが弱い方が少なくないことに気づかされます。
前歯と大臼歯は形態が異なるとともに、その役割も異なります。
前歯の働きが弱いとその力が大臼歯にかかるために、その力は大臼歯を破壊する力なのです。
7番を失い、そこにインプラント治療を行った場合、やはり7番が問題なく機能していた数年前に戻るだけで、歯のなくなくなるスピードは変わらない可能性があります。
やはり、歯のなくなるスピードを可及的に遅くするために、総合的にお口の状態を把握し、機能を改善していくことが肝要といえるでしょう。

2014年8月15日

hori (15:55)

カテゴリ:インプラントについて

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