オールオンフォーでも当然インプラント周囲炎のリスクはある。

・オランダにおいて無歯顎患者の下顎にインプラント支持のオーバーデンチャーが装着されている場合のインプラント周囲炎およびインプラント周囲粘膜炎の罹患率が分析された。
結果
患者単位でのインプラント周囲粘膜炎の罹患率は5年後では51.9%、10年後で57.0%であった。
また、インプラント周囲炎に関しては、5年後では16.9%、10年後で29.7%であった。
結論
完全無歯顎患者の場合でもインプラント周囲炎およびインプラント周囲粘膜炎は生じる可能性があり、更にその罹患率は高い。
考察
無歯顎の患者にインプラント治療を行った場合でも10年の間にインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎が高い頻度で起こりうるという結果は、天然歯の歯周治療を含めた患者の治療計画を立案する際に、重要な情報となろう。
すなわち、天然歯の影響がなくてもインプラント周囲炎が起こりうるので、天然歯を保存することがインプラントの予後に悪影響を与えるとは考えるべきではない。
(参考文献)
Meijer HJ, Raghoebar GM, de Waal YC, Vissink A. Incidence of peri-implant mucositis and peri-implantitis in edentulous patientients with an implant-retained mandibular overdenture during a 10-year follow up period. J Clin Periodontol 2014 ; 41 : 1178-1183.
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『無歯顎、すなわち歯が1本もない方に行ったインプラントは、インプラント周囲炎になるのだろうか?』という臨床的疑問を解決するために行われた研究報告です。
『歯周病の歯に歯周病菌が付着しているから、抜歯してインプラントをすれば、お口から歯周病菌がいなくなるので、安心である。』『歯周病菌がいなくなるので、インプラント周囲炎にもならない。』
とオールオンフォーを推奨する歯科医師から聞いたことがあり、その当時から個人的には疑問に感じていました。
今回の文献は、2-IODに関するデータですが、オールオンフォーでも同様の結果になることでしょう。
『歯科医師の仕事は歯を残すことである』という原点を私たちは忘れてはいけないのです。

2015年9月 1日

hori (09:38)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

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