根分岐部病変を残したままにしておいたらどうなるのだろうか。

根分岐部病変を残したままにしておいたらどうなるのだろうか。
Salviらは、慢性歯周炎または侵襲性歯周炎に対して包括的歯周治療を受けた患者の根分岐部病変を有する歯が、SPT期間(平均11.5年)中にどれくらい抜歯になったか、また様々な因子のうち、その因子がリスクと成り得るのかについて調べている。
その結果、歯周治療終了時点で1度の根分岐部病変が残存した場合、根分岐部がない場合と比較して、歯の喪失に関する統計学的有意差は認められなかった。
しかし、2度の根分岐部病変が残存した場合、歯の喪失リスクは2.80倍、3度では4.79倍になると報告している。
また、Salviらは複数のリスク因子が組み合わさった場合の喪失リスクも調べている。
非喫煙者で定期健診にきちんと応じている患者の根分岐部病変1度以下の歯を基準にすると、もし喫煙していたとしても、患者が定期健診に通っていた場合は根分岐部病変?度の存在はリスクにならないと報告している。
しかし、根分岐部病変2度の場合、非喫煙者が定期健診に来院していたとしても歯の喪失のリスクは2.6倍、更に喫煙者ではオッズ比で4.6倍になると報告している。
この研究結果から、定期的なリコールに応じてくれる患者であれば、根分岐部病変1度は許容範囲だが、2度の病変を残したままSPTへ移行した場合は、歯の喪失リスクを残したままになることを示唆している。
したがって、2度や3度の根分岐部病変をいかにして1度以下、つまり水平的なPDを3ミリ以下にしていくかが、根分岐部病変に対する治療の鍵になってくると考えられる。
(デンタルダイヤモンド 2015年11月号 )
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LindheとNymanの分類 (1975)では、根分岐部病変の状態によって、1度、2度、3度に分類しています。
1度   : 根分岐部にプローブ(探針)は入るが、歯の幅の1/3以内
2度   : 根分岐部にプローブ(探針)が1/3以上入るが、貫通はしない
3度   : 根分岐部にプローブ(探針)を入れると、プローブが貫通する
今回のデータにより大臼歯の根分岐病変は、オーバートリートメントのリスクはありますが、それでも、より初期のうちに対処する方が最終的な歯の保存に繋がるということが分かります。

2015年12月25日

hori (16:16)

カテゴリ:根分岐部病変

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