インプラント補綴のレジンセメントの使用について

・筆者は、インプラント補綴にレジンセメントを使用している。
金属と金属、あるいは金属とジルコニアという状態で、チタンのアバットメントに対して、ジルコニアクラウン、チタンのアバットメントに対してメタルボンドクラウンなど、この界面に対して接着材を使わないレジンセメントは、ただ強度があるだけの仮着と思っています。
ですから、力をかければ外れます。
天然歯の場合は接着機構は成り立ちますが、金属と金属では成り立たないと思います。
インプラントの場合、相手が天然歯ではなく、アバットメントなので、どんな接着材を使おうが結果は仮着なのではないでしょうか。

(デンタルダイヤモンド 2016年9月号)

*****

インプラントの固定様式の一つに、セメントリテインという方法があります。

これまで使用するセメントは仮着用セメントでしたが、今回の指摘のようにレジンセメントを使用してもあまり問題はないと考えられます。

またとくに前歯部でセメントリテインのインプラントが脱離し、それを放置した場合、その周囲の歯肉形態は刻一刻と変化していき、脱離した期間があまりに長期に亘ると、プロビジョナルに戻り、歯肉形態の付与から再度やり直さなくてはなりません。

このような手間のかかる作業が時に必要になる場合があることを考えると、特に前歯部のシングルのインプラントでは、レジンセメントは悪い方法ではないと考えられます。

そしてさらに、そもそもレジンセメントでインプラントの上部構造を固定しても、それは通常の天然歯の場合の接着機構とは異なるため、真の意味での接着ではありません。

セメントリテインで、何かトラブルが合ったら、上からホール形成をして、スクリューリテインに変更するだけのことです。

確かに面倒な作業ではあるけれど、大したトラブルではないと考えられます。

2016年11月 5日

hori (13:59)

カテゴリ:スクリューリテインとセメントリテイン

« 骨質、インプラント径、表面性状が長期的なインプラント周囲骨吸収に及ぼす影響 | ホーム | BP治療下患者に対するインプラント治療および骨増生 »

このページの先頭へ