前歯部多数歯欠損におけるインプラントでは、スクリュー固定は避ける方が賢明だ。

・連続するインプラントの間に天然歯様の乳頭組織を獲得するためには、インプラント間にプラットフォームより高い位置に硬組織を増大・維持しなければならない。
そのためには、垂直的なGBRやインプラント間距離を3ミリ以上保つことも重要であるが、隣接する歯根膜が存在しない多数歯欠損インプラント症例では、補綴コンポーネントのインプラントレベルからの着脱回数を減らすことも考慮するべきかもしれない。
なぜならば着脱による周囲組織侵襲により辺縁骨吸収を惹起させ、審美的には大きな影響を与える可能性があるからである。
前歯部多数歯欠損の審美インプラント症例では、その意味からも着脱回数が多くなるスクリュー固定タイプの上部構造は避けた方が賢明であろう。
もう一つの要因はインプラントによって支えられる上部構造のゆるみは単独歯よりも生じにくいと言えよう。
(参考文献)
Degidi M, Nardi D, Piattelli A. One abutment at one time: non-removal of an immediate abutment and its effect on bone hearing around subcrestal tapered implants. Clin Oral Implants Res. 2011; 22(11): 1303-1307.
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インプラント周囲炎が頻繁に話題に上るようになって久しいですが、インプラント周囲のメンテナンスとして、定期的に上部構造を取り外し清掃されている方もおられるかと思います。
汚れているよりは清潔な方が当然のことながら良いわけですが、上部構造の度重なる着脱により、インプラント周囲組織が侵襲を受け、骨レベルが低下するということが近年明らかになってきています。
特に前歯部インプラントではセメント固定で対応し、何かトラブルがあった場合には、上部構造に穴をあけ、そこからスクリュー固定として対処する方法が主流になる可能性があります。
仮着材を利用してのセメント固定でも、上部構造を外したいときには中々外れないことが少なくないからです。

2016年1月25日

hori (14:39)

カテゴリ:スクリューリテインとセメントリテイン

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