根尖病巣を有する根管充填歯根管の微生物

・根尖病巣を有する根管充填歯根管の微生物
もっともよく単離された細菌の種類は、Peptostreptococcusで、その細菌種は臨床症状と関連していた(P<0.01)。
統計学的に有意な関係は、(a)痛みあるいは痛みの既往歴と複数菌感染あるいは好気性菌との間(P<0.05)に、(b)打診痛と細菌P.intermedia/P.nigrescensとの間(P<0.05)に、(c)瘻孔とStreptococcus spp.(P<0.01)あるいはActinomyces spp.との間(P<0.01)に、そして(d)歯冠部が封鎖されていない歯とStreptococcus spp.(P<0.01)あるいはCandida spp.との間(P<0.01)に認められた。
(参考文献)
Microorganisms from canals of root-filled teeth with periapical lesions. Pinheiro ET, Gomes BP, Ferraz CC, Sousa EL, Teixeira FB, Souza-Fiho FJ. Int Endod J 2003 ; 36(1) : 1-11.
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根尖病巣を有する根管充填歯根管内の微生物の種類により、臨床症状と関連していたことを示すエビデンスです。
響くような痛みがあれば、この微生物が多いとか、瘻孔がある場合にはこの微生物が多いということが明らかになったということです。
このような関連性は個人的には興味があるのですが、打診痛があろうと瘻孔があろうと、根尖病巣を持つ歯牙に対して行う処置の第一選択は根管治療であることには変わりありません。
ただ、原因となる微生物が予め分かれば、その対処方法はシンプルになるはずですし、治療成績も向上するはずです。
今後の報告に期待したいところです。

2016年1月10日

hori (16:44)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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