咀嚼回数と顎骨の発育の関連性

顎骨の発育は遺伝子的な要因が大きいと思われますが、小中学生のころに噛み応えのある食物を摂取する機会が多かった群の歯列は放物線状の歯列形態を認めることが多く、噛み応えのある食物を摂取する機会が少なかった群では狭窄した矩形やV字型の歯列形態を認めることが多かったという報告があります。
この研究では、小中学生のころに、自然と咀嚼回数が増えるような食材を嗜好したり、「しっかり咬んで食べなさい」と声かけされる家庭環境で育ったりした場合、そうではない場合と比べ歯列の幅が1.5-1.7ミリ程度大きくなったことが示されています。
歯列の幅が大きくなれば、歯列や咬合がよくなり不正咬合が予防できます。
また、歯の清掃が行いやすくなり、う蝕や歯周病の予防につながります。
(参考文献)
茅田義明, 藤木大介, 柳沢幸江, 川本仁. 小児期の食習慣が歯列形態の形成に及ぼす影響. 日咀嚼会誌 2020;30(1):19-26.
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インプラント治療が必要になる方の骨格を見ていると、歯槽骨が前後的・左右的にバランスが悪いことが多いように感じています。
理屈としては、両側でしっかりと咀嚼の訓練をすれば、正常な発育に寄与することが推測されますが、咀嚼の是正だけでは不十分であろうと考えています。
もしかすると、鼻呼吸の確立や嚥下が咀嚼と同じかそれ以上に、正常な発育に影響を与えるかもしれません。

2021年1月25日

hori (08:51)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

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