肥満で歯周病悪化

肥満になると腸内細菌叢が変化し、プリン代謝経路が活性化され、産生された尿酸が血流を介して歯周組織での炎症を亢進させる。
新潟大学の山崎和久教授らの共同研究で、肥満が歯周病を悪化させるメカニズムが解明された。
研究グループは、高脂肪食と普通食をそれぞれ給餌して肥満になったマウスと通常マウスの糞便をそれぞれ用意。
人為的に腸内細菌をなくしたマウスに移植し、さらに歯周炎を誘発した群としない群に分けた。
結果、肥満マウスの糞便を移植した場合、普通マウスの糞便の移植時よりも歯周炎が重症化すると判明。
解析すると、移植した糞によって腸内細菌叢が異なることが分かった。
さらに糞便を解析すると、肥満マウスでは腸内細菌叢でプリン代謝経路が活性化しており、同経路を持つ「Turicibacter」などの細菌の割合が有意に高くなっていた。
これらの細菌は移植後も有意に高い比率で、歯周炎誘発マウスでは血中のプリン代謝物の尿酸の値が上昇していた。
尿酸は低濃度では抗酸化作用など体に良い作用があるものの、高濃度では炎症を促進する。
実験で、高尿酸血症を作ったマウスにを誘発し、肥満マウスの糞便を移植したマウスに尿酸産生を抑制する薬剤(アロプリノール)を投与。
結果、肥満マウス糞便を移植したマウスではアロプリノールを投与すると重症化が抑制された。
(アポロニア21 2021年8月号 )
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肥満により歯周病悪化するということはすでにどこかで聞いたことがありましたが、今回の報告で尿酸が肥満、歯周病悪化に関係することが明らかになりました。

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