プラークが付着しやすい人と、しにくい人は何が違う?

・プラークが付着しやすい人と、しにくい人は何が違う?
実験的歯肉炎モデルにおいても、歯肉炎の発症が遅い人ではプラーク形成速度も遅いことが観察されています。
したがって、プラーク形成速度は歯肉炎の発症速度に影響すると考えられます。
それではプラーク形成速度の違いはどうして起こるのでしょうか。
Zeeらの研究では、11名の中国人を対象に実験的歯肉炎モデルを用いて、プラーク形成速度が速かった5名と遅かった6名のプラーク中の細菌を比較したところ、形成速度が速い被験者ではグラム陰性桿菌の割合が高いことが観察されました。
また、Simonssonらの同様の研究では、プラーク形成量が多い人は少ない人と比べて、ペリクル中のグルタミン酸の量が多く、疎水性相互作用がプラーク形成にかかわっている可能性を示唆しています。
また、歯と歯肉の境界部の面積が大きいとプラークが溜まりやすく、解剖学的な要素も影響すると考えられます。
さらに、歯肉に炎症があると健康な場合と比較してプラークが付着しやすいという研究結果も報告されています。
その理由として、炎症が強いと歯肉溝滲出液中のタンパクがプラーク細菌の栄養源となることや、炎症により歯肉溝部の面積が拡大しプラークが維持されやすくなることが考えられます。
(参考文献)
・Zee KY, Samaranayake LP, Attstrom R: Predominant cultivable supragingival plaque in Chinese "rapid" and "slow" plaque formers. J Clin Periodontol, 23(11): 1025-1031., 1996.
・Simonsson T, Ronstrom A, Rundegren J, et al. : Rate of plaque formation-some clinical and biochemical characteristics of "heavy" and "light" plaque formers. Scand J Dent Res, 95(2): 97-103,1987.
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プラークが付着しやすい人は、グラム陰性桿菌の割合が高いこと、ペリクル中のグルタミン酸の量が多いこと、歯列不正があること、元々歯肉に炎症があることなどの特徴があることが分かりました。
最初の2つの特徴については、それを変える方法は有りません。
一方、3番目と4番目の特徴については、歯列矯正を行い、歯根をパラレルにすることで、プラークが停滞しやすい部位をなくすすとともに、歯周病の治療を並行して行うことで、プラークが付着しやすい体質を改善することができると考えられます。

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