2022年7月アーカイブ

樋状根への適切なポストの配置

佐々木は、直接法による漏斗状根管に対するファイバーポスト併用レジン支台補強に関する報告を行い、3本のファイバーポストとスリーブを配置した条件では、ポストなしおよび中央に1本配置したものよりも有意に高い曲げ強さを示したと報告している。
この結果は、樋状根にもあてはまるのではないかと考えている。
すなわち、樋状根へのポストの配置は複数本もしくはスリーブを複数配置することが有用であるといえる。
(参考文献)
佐々木圭太:漏斗状根管に対するファイバーポスト併用レジン次第築造の補強に関する研究. 日補綴会誌, 2: 157-166. 2010.
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樋状根への適切なポストの配置が明らかになりました。

2022年7月20日

hori (08:36)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

共食の頻度が体重減少リスクに影響

東北大学の研究データによると、65歳以上の要介護状態にない高齢者約5万7000人を対象に3年間の追跡調査を実施。
共食程度が「毎日」の人と比較して、「月に何度か」の人では、体重減少のリスクに有意な違いはなかった。
一方、「年に何回か」の人では、1.07倍、「ほとんどない」人では1.17倍、体重減少リスクが高くなることが明らかになった。
(アポロニア21 2022年5月号 )
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共食の重要性を数字で理解することができました。

2022年7月15日

hori (08:58)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

フレイルになる人は2年前に舌機能が低下

岡山大学の研究グループが、フレイルになる人は、その2年前に舌の動きが衰えていることを明らかにした。
研究グループは、受診した60歳以上の患者を対象にフレイル評価を実施し、健康だった人を2年間追跡調査した。
2年後に健康のままだった人とフレイルになった人の違いを分析すると、「タ」を1秒間に発音できる回数が少ない人が2年後にフレイルになりやすいことが判明した。
(アポロニア21 2022年5月号 )
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「タ」を1秒間に発音できる回数が少ない人が2年後にフレイルになりやすいことが判明しました。
簡便な方法で、フレイルを予測できるのは素晴らしいと感じました。

2022年7月10日

hori (08:24)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

洗口剤の使い過ぎで、血圧上昇?!

Tribbleらの研究グループでは、
1. 1日2回のクロルヘキシジン含有洗口液の使用は、使用開始後1週間で収縮期血圧の上昇をきたすこと、
2. クロルヘキシジンの使用を中止することにより、舌苔の硝酸塩還元菌量が回復・増加することを報告しています。
硝酸塩・亜硝酸塩・NO経路への口腔細菌叢の冠よを示したこれらのデータは、適切な頻度での舌政争による舌のマイクロバイオームの管理と十分な硝酸塩の食事摂取が、安静時収縮期血圧を改善する可能性があることを示しています。
(参考文献)
Tribble GD,et.al. Frequency of tongue cleaning impacts the human tongue microbiome composition and enterosalivary circulation of nitrate. Front Cell Infect Microbiol 2019 ; 9 : 39.
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洗口剤の使い過ぎにより、収縮期血圧が上昇する可能性が示唆されています。
なおこの研究で使用されているクロルヘキシジン濃度は0.12%であるのに対して、日本で販売されている洗口剤のクロルヘキシジン濃度は原液でも0.05%なので、日本製の洗口剤であれば、血圧上昇のリスクは低いものと考えられます。

2022年7月 5日

hori (08:07)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

野菜を食べて、虫歯予防?!

・これまでの基礎研究で、口腔細菌叢を1-5時間程度の短時間砂糖とともに培養する際に、硝酸塩が存在すると、培養環境の酸性化を抑えられることが報告されています。
この結果を受けて、硝酸塩を多く含むビーツの根のサプリメントの単回投与が、実際のヒトの口腔内の糖質発酵に由来する唾液の酸性化を抑制できるかどうかを調べる実験が行われました。
その結果、硝酸塩摂取4時間後に砂糖水で洗口しても、細菌叢による乳酸の産生は少なく抑えられており、菌叢中でRothia属の1種が増加していました。
口腔内には、Rothia属やNeisseria属のように、硝酸塩を還元して、酸を中和するアンモニアを産生する菌がいますが、唾液細菌叢中でRoshia属やNeisseria属の比率が高いと乳酸産生量が少ないという関係が示されました。
これらの結果は、口腔内に硝酸塩が存在すると、口腔細菌の糖質発酵時におこる口腔環境の酸性化を抑制できる可能性を示しています。
今後、硝酸塩を多く含む野菜(ビーツ、ほうれん草、小松菜、レタス)の摂取が歯の健康に与える長期的な影響を評価する必要があるでしょう。
(参考文献)
Rosier BT, et.al. A single dose of nitrate increases resilience against acidification derived from sugar fermentation by the oral microbiome. Front Cell Infect Microbiol 2021 ; 11 : 692883.
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硝酸塩を多く含む野菜を摂取すると、口腔内の酸性化を抑制することで、虫歯を予防することができる可能性が示唆されました。

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