2022年6月アーカイブ

インプラント周囲炎治療における再生療法は臨床的に意味があるのか?

主な結果として、テスト群で辺縁骨レベルは1.7ミリ、ボーンフィルは57%、コントロール群よりも多くの改善を認めた。
一方で、周囲ポケット値とBOP値では、統計学的有意差を認めなかった。
また、再建的外科治療自体の結果は、辺縁骨レベルで2.0ミリ、CALで1.8ミリ、PPDで2.8ミリの改善を認め、周囲粘膜の退縮は0.7ミリであった。
さらに、周囲ポケット値とBOP値では2つの群間で差を認めず、病気の治療という視点であ、再建的アプローチは必要がないといえる。
(参考文献)
Tomasi C, Regidor E, Ortiz-Vigon A, Derks J : Efficacy of reconstructive surgical therapy at peri-implantitis-related bone defects. A systematic review and meta-analysis. J Clin Periodontol, 46 Suppl 21 : 340-356,2019.
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インプラント周囲炎治療に対して、再生療法を行った場合に、インプラント周囲に炎症がなく、X線不透過なものが存在しているが、それは果たして骨といえるのかということになるのだと考えています。
また、そのような骨様組織が、結果的にインプラントの延命につながるかどうかが、再生療法の持つ価値ということになることでしょう。

2022年6月10日

hori (08:26)

カテゴリ:インプラント周囲炎

ロイテリ菌を含む乳酸菌の酸産生能

乳酸菌は、ブドウ糖、オリゴ糖、乳糖などの糖質を発酵して乳酸を産生する能力を有する菌の総称です。
その一種であるロイテリ菌は、ロイテリンと呼ばれる抗生物質を産生し、ピロリ菌やクロストリジウム菌、サルモネラ菌、大腸菌など、腸内の数種類の有害な細菌や真菌などの生育を阻害する能力を有しています。
また、ロイテリン以外にも、人体に有用なビタミンB12やB9を産生する能力が高いことが報告されています。
口腔内への影響については、ロイテリ菌を含むヨーグルトを1日1個、2週間連続で食べると、別の種類の乳酸菌が入っているヨーグルトを食べた時よりも、唾液中のミュータンス菌の数を減少させる効果があったという報告がありますが、2週間で食べるのをやめると、その1週間後にはロイテリ菌がほとんど検出されなくなるとの報告もあり、毎日食べ続ける必要があると考えられます。
一方で、ロイテリ菌を含む乳酸菌の酸産生能はミュータンス菌よりも強いことが報告されています。
また、乳酸菌は象牙質う蝕のう窩から検出されています。
(参考文献)
Haukioja A, et. al. Acid production from sugars and sugar alcohols by probiotic lactobacilli and bifidobacteria in vitoro. Caries Res 2008 ; 42(6) : 449-453.
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ロイテリ菌を含む乳酸菌の酸産生能はミュータンス菌よりも強いということが明らかになりました。

根面う蝕のリスク因子

1990年から2018年までの間に報告された127報の根面う蝕のリスク因子に関する論文のうち、分析対象としての条件を満たす40の横断研究を統合解析したシステマティックレビューがあります。
そこでは、年齢、歯肉退縮、喫煙、社会経済的地位、フッ化物配合歯磨剤の不使用、口腔衛生状態が根面う蝕に関連するリスク因子として挙げられ、より高齢で、教育レベルが低く、収入が低く、喫煙者で歯肉退縮があり、フッ化物歯磨剤を使用せず、口腔衛生状態が悪い人は根面う蝕のリスクが高いと結論づけられています。
また、面白いことに、親しい友人が多いほど根面う蝕が少ないことも報告されています。
(参考文献)
Zhang J. et.al. Factors associated with dental root caries.: A systemtic review. JDR Clin Trans Res 2020 ; 5(1) : 13-29.
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より高齢で、教育レベルが低く、収入が低く、喫煙者で歯肉退縮があり、フッ化物歯磨剤を使用せず、口腔衛生状態が悪い人は根面う蝕のリスクが高いということが明らかになりました。

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