抜歯即時インプラントの最近のブログ記事

やはり傾斜埋入よりも垂直埋入か。

第34回日本顎咬合学会に参加しました。

今回特に印象に残ったはS先生のご講演でした。

S先生はこれまでオールオンフォーをたくさん手掛けてこられたインプラントロジストです。

そのS先生のお話の中で、印象に残ったセンテンスを以下に列挙します。

1. オールオンフォーでは、主に傾斜埋入をするために、メンテナンスがやりにくい。

2. それゆえ垂直埋入をするようになった。

3. 3つのインプラントブリッジで対応するようになった。

4. 抜歯即時埋入は良い方法であるけれど、埋入深度が深めになる場合がある。

5. 深めの埋入なるとメンテナンスがしにくくなるので、GBRを行っている。

私も『傾斜埋入より垂直埋入の方がメンテナンスはしやすいだろう。また左側・前歯・右側のすべてをつなぐのはリスクが高いだろう。』と常々考えていたので、「うん、うん」と頷きながら講演を聴くことができました。

2016年6月25日

hori (09:37)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

光機能化インプラントで即時負荷が可能となる症例が増えるか?

・光機能化されていない通常のインプラントでは、インプラントの安定性が埋入直後より一時的に低下する傾向にありましたが、光機能化されたインプラントでは、細胞の発育が早いために、インプラントの安定性が低下しないとする報告もあります。
(参考文献)
Suzuki S, Kobayashi H, Ogawa T, Implant stability change and osseo-integration spped of immediately loaded photofunctionalized implants. Implant Dent 2013 ; 22(5) : 481-490.
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当院でも光機能化インプラントを使用していますが、やはり骨結合までの期間は通常のインプラントより確実に短縮できています。
ただ、インプラントの安定性が一時的に低下するかどうかについてはもう少し様子をみようと考えています。
これについては、既存骨に埋入したケース、抜歯即時インプラントを行ったケース、GBR併用のケースなどとインプラントを埋入した状況により、分けて考える必要があるとも考えています。
インプラントの安定性が一時的に低下するか・しないかによるメリットは、埋入直後に即時に負荷をかけても大丈夫かどうかくらいの違いしかありません。
10年、20年使用することを期待して行うインプラント治療に対して、数週間早く咬めるというメリットをどう考えるのかということです。
確実な選択をしたいものです。

2016年5月15日

hori (21:00)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

下顎前歯の形成は便宜抜髄を行う方が無難かもしれない。

アテネ大学の卒前学生が患者33名の有髄歯120歯を形成し、クラウン装着時までの間無症状に失活する頻度を調べた前向き研究
・形成後に電気診で歯髄の生死を判定した。
・臨床症状が出現したような歯は対象歯から除いた。
・無症状の失活は術前に齲蝕や歯冠修復歯のある歯で頻度が高かった。
・下顎前歯は小さいために形成により象牙質が薄くなり、術前が健全歯でも失活しやすかった。
術前が健全歯
上顎前歯 100%
上顎臼歯 100% 
下顎前歯 89.4%
下顎臼歯 100%
術前に齲蝕、修復物、クラウンあり
上顎前歯 84%
上顎臼歯 89.4%
下顎前歯 66%
下顎臼歯 90.4%
(参考文献)
Kontakitotis EG, et al. Aprospective study of the incidence of asymptomatic pulp necrosis following crown preparation. Int Endod J. 2015; 48(6): 512-517.
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オールセラミックス等の自由診療の被せ物を行う場合、最初に神経を除去するかどうかは、各歯科医師が経験則で判断していました。
しかしながら、今回の報告により、特に下顎前歯の審美治療では、便宜抜髄後に歯冠形成を行った方が無難であることが分かりました。
また、それ以外の部位でも10本に1本あるいは2本は、修復治療が終了した後に失活するリスクがあるために、患者さんと相談の上、治療方針を決定する必要性があるといえます。
仮に修復後に失活歯、不快症状が続く際には、上からアクセスして根管治療を行うこともできますが、メタルセラミックスなどのメタルを使用した冠で再補綴を行わない場合には、根管長測定がしにくい問題や根管充填後の封鎖性が確実ではないなどの問題も出てきます。
迷ったら、根管処置を行う方が無難ですね。
中間欠損部位にインプラント治療を行う際には、前後の歯も形成し、インプラント上部に仮歯を手術当時から用意することも可能です。
(即時インプラントや暫間インプラントの利用など他にも仮歯を用意する方法はありますが。)
そのような場合、埋入したインプラントと根尖病巣のある天然歯が近接するリスクが生じる場合があるので、インプラントを長持ちさせるためにも、予後に不安のある天然歯は根管治療を済ませておいた方が良いと考えています。

2016年3月15日

hori (15:27)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

治りにくい歯周病

・池田は著書の中で、治りにくい歯周病の特徴として、
1.力の関与
2.臼歯の根分岐部病変が上下左右にある。
3.プロービングデプスパターンが咬合型(頬舌的に歯周ポケットが深い等)
4.歯の動揺が歯周組織支持量に比較して顕著
5.全身疾患の関与
という項目を挙げており、歯周組織、根分岐部病変に対する共同破壊因子としての力の影響を強く示唆している。
(根分岐部病変 より)
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治りにくい歯周病の特徴は以前にも紹介しましたが、やはり力の関与が大きいケースかと思います。
歯に過大な咬合力がかかった場合に、どのような状態になりやすいかというと、いわゆる根分岐部病変を有する歯があったり、レントゲンや歯周組織検査では歯の周囲に歯槽骨はあるのに、歯の動揺の程度が大きいようなケースが挙げられます。
以下に、具体的に根分岐部病変とはどのようなものか説明しましょう。
大きな咬合力がかかる大臼歯には、その咬合力に耐えられるように、通常複数の歯根に分かれています。
歯磨きができているかどうかで歯周病の状態は左右されますが、この力の関与が強く疑われるケースでは、汚れが残りやすい歯と歯の間ではなく、歯の内側中央部あるいは外側の中央部の歯周ポケットが局部的に深くなる傾向があります。
歯磨きが上手ではない人でも、この場所はきれいにできるだろうというような場所の歯周ポケットの深さが増大しているのが、根分岐部病変であると言えます。(もちろん、すべてではありませんが。)
根分岐部病変があり、その部位を抜歯即時インプラントをご希望の方は少なくありませんが、そのような方ほど、インプラントの上部構造を装着した後には、しつこいくらいの咬合調整を続けないとインプラントの長期安定は望めません。
各人の力の関与の大きさは、持って生まれたようなものなので、歯を失ってその部位がインプラントに置き換わっても、そのまま残るからです。

2016年2月 5日

hori (08:57)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

抜歯即時インプラントを確実に成功させるために。

抜歯窩が必ず骨性治癒するとは限らない!
抜歯後6か月以上経過した541例の抜歯窩をCT画像で評価したところ、47例(8.7%)で抜歯窩にX線透過像が認められた。
部位は下顎臼歯部が34例(72.4%)、上顎臼歯部が12例(25.5%)、上顎前歯部が1例(2.1%)であった。
摘出したX線透過像部の病理組織学的診断は、線維性治癒が27例(57.4%)、腐骨あるいは変性骨が17例(36.2%)、残根が3例(6.4%)であった。
原因としては、抜歯時に存在していた慢性硬化性骨炎あるいは上顎大臼歯口蓋根相当部の硬い骨など、抜歯窩周囲骨の血流不足が考えられた。
(本音を教えて! GPが知りたい インプラント外科Q&A67 )
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抜歯即時インプラントの肝は、抜歯窩の不良肉芽を完全に取り去り、血液のプールの中にいかにインプラントを落ち着かせるかにあります。
ディコルケーションを徹底しても、歯槽骨が硬いところには、血管が少ないために、特に下顎大臼歯部に抜歯窩が線維性に治癒したり、腐骨化したりする場合があるのでしょう。
今回のデータは、インプラントを前提とした抜歯ではないですが、抜歯即時インプラントの成功率を向上させるためにも、歯槽骨の硬いところではより注意深い抜歯窩の掻把が重要となるといえます。

2015年12月20日

hori (15:08)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

抜歯で、注意が必要なケースとは?

智歯の歯根が下顎管に近づくと、下顎管の骨皮質によって発育中の智歯の歯根は偏り、歯根の湾曲を起こす。
このため、下顎埋伏智歯で遠心に湾曲した長い歯根を認める場合、その歯根は下顎管に近接している証拠と考え、抜歯に注意が必要である。
(参考文献)
Pederson GW. Oral surgery. 1st ed. Philadelphia : WB Saunders, 1988.
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インプラント治療の偶発症に、下歯槽神経損傷があります。
しかしその頻度は、インプラントよりも抜歯の方がはるかに多いという報告を以前聞きました。
また下顎の親知らず、特に智歯の歯根が遠心に湾曲した長い歯根の抜歯は、下顎管に歯根が近接しているので注意が必要とのことです。
当院では、抜歯とインプラント埋入を同時に行う抜歯即時インプラントを行っていますが、インプラント埋入よりも抜歯の方が時間がかかるというケースも少なくありません。
インプラント周囲の骨の条件を悪くしないように、より丁寧な抜歯操作が必要となるからです。
インプラントはもちろんですが、今一度抜歯の技術レベルの向上を考えていきたいものです。

2015年5月25日

hori (10:35)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

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