インプラントと全身の健康の最近のブログ記事

ApoEε4遺伝子は、晩発性アルツハイマー病の有力な遺伝素因。

・教育歴や衣食住の生活環境がほぼ等しいと考えられる修道女を対象にした米国の研究もある。
ApoEε4遺伝子は、晩発性アルツハイマー病の有力な遺伝素因とされている。
75歳以上の修道女のうち、その ApoEε4遺伝子を有し、かつ残存歯数が9本以下の者は、認知症発症率が高いことを報告されている。
(咀嚼機能アップBOOK )
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晩発性アルツハイマー病が遺伝病であり、またその遺伝子が具体的にApoEε4遺伝子とまで解明されていることが分かりました。
また、ApoEε4遺伝子を有し、かつ残存歯数が9本以下の者は、認知症発症率が高いことも報告されています。

2018年6月 5日

hori (08:23)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、インプラントの喪失率が高い。

・プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃からの胃酸分泌を抑制することで、逆流性食道炎や胃潰瘍のような胃酸に関連した疾患の治療において、胃の酸性度が低下すると、小腸での効果的なカルシウムの取り込みが阻害されることが証明されており、インプラントの高い喪失率との関連性が示唆されている。
カルシウムバランスは骨組織の健康にとって不可欠であるため、カルシウムバランスの不均衡はオッセオインテグレーションにある程度の影響を与えると信じられていることは妥当かもしれない。
・インプラントの失敗率は、PPI使用患者で12%(250本中30本)、PPI非使用患者で4.5%(33.9本中148本)だった(P<0.001)。
・PPI使用患者間ではブラキサーと降圧薬・抗うつ薬・抗血栓薬服用患者が有意に多かった。
性別、インプラントの直径、インプラントの表面性状、インプラントの埋入位置、過去の喫煙歴、骨造成術式、抗菌薬の予防投与、ビスフォスフォネート製剤の服用、免疫抑制薬、ならびにインプラントブランドと種類はPPIの使用の有無にかかわらず同じだった。
・2008年ごろ、PPIを長期にわたり使用すると骨粗鬆症による骨折リスクが増大することが、欧米の大規模臨床研究で報告されてきた。
・PPI服用と骨粗鬆症による骨折リスクを報告した論文では、5年以上PPIを使用すると股関節部骨折リスクが62%増大し、7年以上では4倍以上になることが報告されている。
(参考文献)
Intake of proton pump Inhibitors is associated with an increased risk of dental implant failure. Chrcanovic BR, Kisch J, Albrektsson T, Wennerberg A ; Int J Oral Maxillofac Implants 2017 ; 32(5) : 1097-1102.
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逆流性食道炎や胃潰瘍の治療として、PPIが使用される場合があります。
PPIの使用者に対して、インプラントを行った場合に、非使用者と比較して、その喪失率は有意に高いことが明らかになりました。
また、PPI使用患者間ではブラキサーと降圧薬・抗うつ薬・抗血栓薬服用患者におけるインプラント喪失が有意に多いという結果も得られたようです。
インプラントの治療に関しては、幅広い知識が必要であり、今後も研鑽を続けなくてはならないと感じました。

2018年4月 1日

hori (09:33)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

咬合高径が低い状態であることを知る感覚がない。

・咬合拳上すると、実験動物のモルモットでは、元の咬合高径に戻すように調整する。

このことは、咬合高径が高いことを知る感覚(閉口筋筋感覚や歯根膜感覚)が存在していることを示しており、その感覚情報から咬合高径を調節する行動が引きこされたと考えられる。

一方で、モルモットを用いて、両側の上下顎間にゴムを作用させて、上下臼歯につねに荷重がかかるようにすると、咬合高径が低下したモデル動物を作ることができる。

この咬合高径が低い状態から、ゴムを撤去して25日間の経過観察をすると、咬合高径が元に戻るように調整されないことが示された。

この結果には、咬合高径が低い状態であることを知る感覚がないことを示唆している。

つまり、適切な咬合高径は生体にとって重要であるにもかかわらず、低い状態に対する許容が大きいことを示唆している。

(咬合拳上をうまくなりたい )

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興味深い報告です。

歯科臨床を日々行っていると、『適切な咬合高径は生体にとって重要であるにもかかわらず、低い状態に対する許容が大きい』のではなかろうか?と考えていましたが、やはりこれらは正しいようです。

2017年7月10日

hori (08:54)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

日本人男性のMonsonの湾曲は4インチ+α

・平均的なMonsonの湾曲は4インチ(=101.6ミリ)と言われてきたが、これは米国の白人を対象としたものであり、五十嵐教室での加賀谷による日本人60名ほどを対象とした測定で、女性は100ミリ、男性はおよそ110ミリとなった。

咬合平面を修正するには、多くの症例で咬合拳上が必要になる。

正しい咬合平面の付与を実行するには、咬合高径を拳上しなければ実施できない。

(咬合拳上をうまくなりたい )

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日本人、特に日本人男性では、Monsonの湾曲がこれまで言われてきた4インチよりも少し大きいことが明らかになりました。

私は、いわゆる平均値には誤解が生じやすいと考えています。

同じ60人でも、母集団が健常者60人なのか、顎機能障害者60名なのか、標準偏差は大きいのか小さいのかによって、その数字の持つ意味が変わると考えられます。

個人的には、平均値を把握した上で、その方の骨格に合わせたMonsonの湾曲なり、Speeの湾曲に咬合平面を設定するべきではなかろうかと考えています。

2017年7月 5日

hori (10:43)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

下歯槽神経障害を来す疾患

・下歯槽神経障害を来す疾患
1. 腫瘍
神経鞘腫、脳腫瘍、造血器腫瘍、頭頸部癌、髄膜腫
2. 脳血管障害
脳動脈瘤、脳梗塞、脳出血
3. 免疫系疾患
サルコイドーシス、SLE、血管炎、多発性硬化症、ベーチェット病
4. 感染症
脳炎、髄膜炎、真菌症、結核、HIV、顎骨骨隨炎、歯性感染
5. 代謝性疾患
糖尿病、アミロイドーシスなど
6. 医原性
抜歯などの歯科治療、浸潤麻酔によるオトガイ孔の刺激
7. 外傷
顎骨骨折など
(デンタルダイヤモンド 2017年2月号 )
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インプラント治療を行う歯科医師は、この下歯槽神経障害をものすごく気にしながら、施術を行っています。
しかしながら、同じく下歯槽神経障害でも、原因となる疾患は、これほどまでに多岐にわたることを知り驚かされました。
歯科だけの狭い世界で勉強をするのではなく、常に全身の中における歯科について勉強をしていかなくてはならないと感じました。

2017年4月26日

hori (22:09)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

ストレスやうつで歯周病は悪化する。

・慢性ストレスおよびうつ病は、免疫系に負の効果を有し、アテローム硬化性心臓疾患、糖尿病および他の全身状態の危険性を高める。
60か国から245404名が参加したWHOによる世界保健調査は、慢性疾患の狭心症、関節炎、ぜんそくや糖尿病と比較して、うつ病が健康を損なう最大のものであるということを発見した。
Warrenらは歯周病における慢性ストレスやうつ病の役割に関する文献をレビューし、ストレスやうつ病は宿主防御と歯周炎に対して感受性の高い患者における歯周感染症の進行を変更することができると結論づけている。
またこの結論は、ストレスやうつ病が創傷治癒を遅延することを示す臨床的および実験的証拠と一致している。
様々な研究で、心理的ストレスの下ではクリニカルアタッチメントロスや歯槽骨喪失を生じやすい傾向があることが示されている。
Gencoらの1426名の成人(25-74歳)を対象とした研究では、経済的なストレスと不適切なスタイルをもつグループはアタッチメントロスを2.24倍、歯槽骨喪失を1.91倍起こしやすいと示している。
(ザ・クインテッセンス 2016年11月号 )
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以前こんな方が来院されました。
残っている歯はぼろぼろで、これまで入れ歯を入れたことがなく、インプラントについて話が聞きたいとのことでした。
たまたまその方は、うつ病で医科の方でも治療を受けており、堀歯科医院でインプラント治療を行うこととなりました。
治療前は、顔つきもどう見ても健康そうには見えない状態でしたが、インプラントで咬めるようになると、別人のように健康な顔つきに変化しました。
治療前後の写真を見比べると、本当に同一人物かと思える程です。
今回、うつ病はグローバルな疾患の主要な原因のうち、第5位の精神障害との報告があり、珍しい疾患ではない状況となってきています。
また、慢性的なストレスやうつ病は、免疫系にマイナスに働き、歯周組織が破壊されやすい傾向にあることも明らかになっています。
私たち歯科医療従事者も、歯や歯茎だけを見るのではなく、患者さんのこれまで生きてきたヒストリーに関心を持ちつつ、その方の体の一部としての歯や歯茎という認識をし、治療に当たらなくてはならないということになるでしょう。
そして、来院される新患の患者さんは、現病歴や既往歴にうつ病とわざわざ書かない方も少なくないので、ある一定の割合で、うつ病になった状態で歯科医院に来院されている方がいることを、頭の隅に置いておく方が良いかもしれません。

2016年12月 5日

hori (08:57)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

BP治療下患者に対するインプラント治療および骨増生

・ビスフォスフォネート治療下における自家骨を用いた大規模骨造成およびインプラント埋入 : 15のケースシリーズ
BP治療下にある患者は、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(以下 BRONJ)との関係性のために、インプラント治療および骨増生に対し高リスクとなる。
個人のリスクプロファイルに従って選択された。
問診より骨粗鬆症のためBP製剤を服用中との15名の患者に対し、大規模骨増生および歯科インプラント埋入を行った。
47部位においては、採取した下顎ブロック骨をブロック骨分割テクニックに従って移植し、14部位には上顎洞底拳上術を施した。
71本のインプラントを埋入し、4か月後に補綴治療を行った。
大部分の移植骨は期待通り治癒し、計画通りの部位にインプラントを埋入できた。
2名の患者に移植骨の不完全な治癒を認めたため、インプラント埋入時再度骨増生を施した。
他の2名に軟組織の限局した壊死を認めたが、局所麻酔で問題なく対応できた。
即時荷重を行ったインプラントが1本喪失した。
すべてにおいて治癒は順調であり、BP製剤使用の既往がない患者と同等であった。
最長6年のフォローアップ期間中、重度の骨吸収、BRONJ、感染もしくはインプラント周囲炎は生じず、すべてのインプラントは臨床的にもX線学的にも良好なオッセオインテグレーションを維持した。
個人のリスクプロファイルに応じてBP治療を制限することで、骨増生を成功裡に行うことが可能であった。
さらなる調査研究が必要である。
(参考文献)
Extensive Autogenous Bone Augmentation and Implantation in Patients Under Bisphosphonate Treatment : A15
-case Series. Founad Khoury, DMD,phD / Herman Hidajat,DMD Int J Periodontics Restorative Dent 2016; 36:9-18. doi: 10.11 607/prd.2608.
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一般に、ビスフォスフォネート(以下BP)治療下にある患者は、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(以下 BRONJ)との関係性のために、インプラント治療および骨増生に対し高リスクと言われています。
また、BP製剤を内服薬として服用している人よりも注射薬として静脈内注射している人の方が、BRONJのリスクは高いともいわれています。
今回の文献では、BP製剤を内服薬として服用している人を対象に骨増生を含めたインプラント治療を行った結果、BP製剤使用の既往がない患者と同等であることが明らかになりました。
今回紹介した文献はアブストラクトのみということもあり、内服薬の服用期間が書かれていないので、更なる情報収集をしたうえで、実際のインプラント臨床に役立てたいと考えています。

2016年11月10日

hori (16:34)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

インプラントで、高齢者の引きこもりを回避可能か。

歯が少ない高齢者、引きこもりリスク増 東北大など調査

臨床 2016年6月29日 (水)配信朝日新聞

 歯が少なく、入れ歯を使わない高齢者ほど引きこもり状態になるリスクが高いとの調査結果を東北大などの研究チームが28日発表した。歯の健康状態が悪いと、人との会話や食事をためらいがちになり、外出機会が減ってしまう可能性があるという。

 愛知県内に住む65歳以上の4390人を、自分の歯が20本以上残っている人、19本以下で入れ歯を使っている人、19本以下で使っていない人の3グループごとに4年間追跡した。週1回も外出しない引きこもり状態になった割合は、歯が20本以上の人では4・4%だったのに対し、19本以下の入れ歯使用では8・8%、入れ歯を使わないと9・7%だった。65-74歳の場合、歯が19本以下で入れ歯を使わない人が引きこもり状態になるリスクは、年齢や所得などを調整すると、20本以上の人の1・78倍になった。

 東北大の相田潤准教授(歯科公衆衛生学)は「高齢者にとっては歯が少なく、入れ歯を使わないことが引きこもり状態へのリスクを高める。健康な歯を保つことで防止につながる可能性もある」と話している。(川村剛志)

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歯が少ない高齢者では、引きこもり状態へのリスクが高まることが明らかになりました。
『自分の歯が20本以上残っている人』、『19本以下で入れ歯を使っている人』、『19本以下で使っていない人』の3グループで、週1回も外出しない引きこもり状態になった割合は、それぞれ4・4%、8・8%、9・7%という結果でした。
この結果で少し意外だったのは、『19本以下で入れ歯を使っている人』と『19本以下で使っていない人』の数字の差が小さいことです。
これは入れ歯を使用していてもしなくても、お口の中の歯の数が少ない時点で、引きこもり状態になる方が多いということではないでしょうか。
これを受けて、私たち歯科医師はインプラント治療により、高齢者の引きこもり状態を上手く回避させることができる可能性があります。

2016年8月25日

hori (14:45)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

ED男性は重度慢性歯周炎になりやすい?!

・ED(勃起不全)と歯周病の関連が注目されています。
2012年に「米国泌尿器科学会年次集会」で発表された報告を紹介しましょう。
台北医学大学の研究チームが「EDの男性3万3000人」と「EDではない男性16万2000人」を対象に5年に及ぶ追跡研究を行ったところ、ED群に占める慢性歯周炎の人の割合は27%、EDではない群は9%と大きな差があることが分かりました。
またトルコで行われた研究でも、ED患者(30-40歳の男性80名)の53%が「重度慢性歯周炎」でしたが、EDではない人(同82%)では23%で、明らかに少なかったという結果が出ています。
陰茎の内部に何らかの理由で血液がスムーズに流れないと勃起できなくなります。
こうした血行障害を起こす原因にはストレスなどさまざまなものがありますが、血管内皮細胞の機能が低下するとEDになりやすいことが分かっています。
歯周病は言ってみれば、ずっと炎症が続いている状態ですから、血液を通して血管内皮細胞を傷つけている可能性があるのです。
(日本人はこうして歯を失っていく )
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EDの男性は、重度慢性歯周炎である割合は高いというエビデンスです。
血管内皮細胞の機能が低下するとEDになりやすいこと。
菌血症を伴う歯周病であれば、血管内に歯周病菌は存在するために、血管内皮細胞を傷つけている可能性があること。
これらを考えると、EDの男性は重度慢性歯周炎になりやすいといえるのかもしれません。
歯科が、耳鼻科や内科やリウマチ科などと連携するというのは珍しくありませんが、今度は泌尿器科と連携する時代がくることでしょう。

2016年8月20日

hori (13:59)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

インプラントでの咀嚼訓練により表情筋も正常な状態になる。

・咀嚼筋、舌骨上筋により下顎運動が行われ、歯により食物は粉砕される。
しかし、このままでは食物が頬側(口腔前庭側)、舌側(固有口腔側)に落ちてしまう。
そこで、舌と頬粘膜が食物をうまく歯列にのせて咀嚼していく。
この頬粘膜を動かしているのが、表情筋でも頬筋となる。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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奥歯はすでに喪失し、前歯はフレアアウトした状態でようやく重い腰を上げ、インプラント治療を希望されて来院される方がいます。
そのような患者さんの治療では、インプラントが骨結合し、プロビジョナル(仮歯)で咀嚼訓練ができる時期になると、"表情のある良いお顔"に変化してくることが、歯科臨床では多く見受けられます。
これは、咀嚼訓練をするにあたって、舌筋、口輪筋、頬筋などの口腔周囲筋の協調運動訓練も同時に行っていることになるからと考えられます。
すなわち、外側は口輪筋や頬筋で歯列に寄り添い、内側は舌筋で歯列に寄り添うような運動を協調して行うことができて初めて、上下の歯列の上で食べ物を上手に咀嚼することができるのだと思います。
またその後、口蓋に舌を押し付けて陰圧を作りだし、咀嚼した食物を咽頭へ移送することも、私たちは日常的に行っています。
(これを嚥下といいます。)
これには、舌骨上筋群の協調運動も関わってくるものと考えられます。
咀嚼や嚥下を通して、表情を司る表情筋や顎周りの舌骨上筋群が正常な働きをすることによって、結果的に二重顎が解消した若々しい印象の持ち主に変化するのだと考えられます。
また、インプラントを介して奥で咬めるようになってくると、咬み合わせの中心が後方に変化するために、身体の姿勢も正しい状態になることも、若い印象には関係していると思います。

2016年5月20日

hori (15:01)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

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