インプラントだけでは解決しない症例

インプラント治療を含めた全顎的な治療を希望される方が来院されました。

(元々は欠損した部位にインプラント治療を希望されての来院でした。)

この方は、左下臼歯部に欠損があり、同部位にインプラント治療を希望されての来院でした。

私が診断するに、顎関節部、特に左顎関節部に明瞭な器質的障害を有する患者さまで、まずは顎位を修正し、より理想的な咬み合わせを構築する必要があると診断することが出来ました。

右下に明らかに低位な補綴物が装着されており、顎位も右後方に偏位している状態で、その状態に何とか身体が適応している状態でした。

このような状態では、全身的な身体の状態としては、右肩が上がり、頭位も右に傾き、背骨も左に湾曲したCの形態に湾曲していることが推測できます。

(ワンショルダーのバックは常に右肩でひっかけないと、ずり落ちてくる状態となります。)

姿勢の重心が前後的・左右的に中心にありませんから、まっすぐ立ってられないと思います。

(私も同じような状況をスプリント治療で改善した経験があるので、その前後でどのくらい状況が改善するのか、実体験で認識しているつもりです。)

堀歯科医院では、このような症例の場合にはまずは顎位を修正する必要があると考えております。

頭蓋に対して下顎骨の位置を決定し、その位置を基準に歯牙形態を正しい形態に修正する必要があるのです。

開口障害、開口時疼痛、開口時顎偏位等が認められる症例も少なくないので、まずはそれらを修正する必要があるということになります。

すなわち、そのような機能障害を除去したうえで、理想的な咬み合わせを構築する必要があるということです。

また、左上第一大臼歯の欠損を放置してしまったことも現在のような状況を惹起してしまった一要因であると推測できます。

左上第一大臼歯の欠損を放置したために、第二大臼歯が前方に傾斜してしまったのです。

傾斜してしまった第二大臼歯は本来の面積の半分も咬むことができません。

そのため、同部位が負担するべき咬合力は第二小臼歯あるいは第一小臼歯にかかってしまいます。

しかしながら、小臼歯には大臼歯が負担できるほどの過大な咬合力は負担できません。

過大な咬合力を負担させ要とすると、その部位の歯根破折が生じたり、虫歯と同じような痛みが生じたりすることも
少なくありません。

これは大臼歯部が負担するべき咬合力を小臼歯部が負担せざるを得なくなった場合の症状の一例です。

まずは顎位を決定し、その後で欠損部位の咬み合わせを構築するというのが正しい治療の流れであるはずです。

(実際のところ、治療方針は患者さまとドクターとのコンサルテーションで決定されるものですから、理想的な治療ゴールもあれば、目先の痛みを取るだけのゴールもあるというのが現状です。

概ね理想的な治療ゴールは一つですが、実際の治療ゴールは様々であるということになります。)

私の中での最も理想的な治療方針は明確です。

後は患者さまがどのようなゴールをお望みかということで、最終的なゴールが決定されるということになるのです。

2010年5月18日

hori (20:03)

カテゴリ:コラム

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