根分岐部病変と骨隆起、アブフラクションの関係

〇骨隆起の存在有無と根分岐部病変の発症
骨隆起の有無で比較してみると、下顎においては骨隆起のあるほうが水平的な根分岐部病変の進行傾向が認められる。
また、垂直的な進行に関しても骨隆起のある方が割合的には多い。
上顎においては骨隆起のあるものに、水平的にも、垂直的にも根分岐部病変の進行が下顎より顕著に多いことがわかる。
これは解剖学的な骨の構造や咬合力などが関係していることを示唆しているのかもしれない。
〇アブフラクションの有無での根分岐部病変の発症率
上顎、下顎ともに、アブフラクションのあるものが垂直的にも水平的にも根分岐部病変が進行していることがわかる。
また、アブフラクションの有無による根分岐部病変直下の骨縁下ポケットの存在の関わりをみてみると、アブフラクションのあるほうが明らかに根分岐部直下の骨縁下ポケットを発症している。
(もう迷わない根分岐部病変 より)
*****
歯牙が負担する咬合力が相対的に過大である場合、その歯牙の周囲の歯槽骨が代償的に肥大した骨の高まりを骨隆起といいます。
また、歯牙に過大な咬合力がかかると、歯頸部付近にエナメル質のチッピングが生じることをアブフラクションといいます。
やはり骨隆起がある場合の方が、根分岐部病変が認められる頻度は高く、アブフラクションがある場合の方が根分岐部病変の認められる頻度は高いようです。
(ということは、骨隆起や骨隆起が認められるケースでは、そうではないケースと比較して、歯周病の進行も早いでしょうし、その部位にインプラント治療を行う場合も、力の要素が大きいと考え、慎重に治療を進めなくてはなりません。)
さらに、上顎・下顎での比較では、根分岐部病変の発症頻度は、下顎の方が多いようです。
同じように過大な力を受けても、下顎では歯槽骨が硬い分、根分岐部に応力が集中し、上顎は相対的に歯槽骨が柔らかいので、歯牙自体が移動するのかもしれません。

2014年6月 5日

hori (15:16)

カテゴリ:インプラントについて

« 長いブリッジ治療よりも、インプラント治療 | ホーム | 重度歯周病患者では咀嚼によっても歯原性菌血症が生じる。 »

このページの先頭へ