上顎シングルデンチャーは、インプラント希望者が多い。

上顎に多数歯が残存している場合、咬合力が強く、下顎顎堤の痛みがなかなか治まらないときがある。
下顎シングルデンチャーにおける痛みの原因は、強い咬合力と健康有歯顎者と同様のチューイングサイクルで食事をすることにある。
上顎欠損のシングルデンチャーケースの咀嚼サイクルは、いわゆるチョッパータイプ、上下タイプの下顎運動に対して、下顎全歯欠損では横からチューイングストロークが入る涙滴状の運動経路を取るといわれている。
これらの理由から、下顎シングルデンチャーのケースでは、咀嚼中の義歯に加わる側方運動力が大きく、義歯が左右に揺すられ、特に顎堤吸収が進んだケースでは、義歯の痛みが出やすい。
(阿部次郎の総義歯難症例 誰もが知りたい臨床の真実 より)
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この本には、このように書かれていますが・・・。
下顎には歯が10本近くあるのに、上顎は総義歯という方がいます。
そのような方は、咀嚼サイクルがグラインドタイプであるため、義歯が側方に揺さぶられやすい状態となっているのでは?と思います。
そのため、義歯の動揺で、顎堤粘膜に痛みが発生することも少なくありません。
また、そもそもご自分の歯を失った原因も、このグラインドタイプの咀嚼サイクルが関与している可能性が高く、歯を折ってくるタイプの患者さんです。
ちなみに、上顎シングルデンチャーの方は、その反対の下顎シングルデンチャーの7-8倍多いといわれています。
もちろん、同じくインプラント治療を行う場合でも、下顎シングルデンチャーの患者さんの方が、インプラントのトラブルは少ないと考えられます。
でも、インプラントの希望がある方の多くは、上顎シングルデンチャーのタイプの患者さんの方が多いのです。
興味深いところです。

2014年4月25日

hori (07:40)

カテゴリ:インプラントについて

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