「上顎だけ全く歯がない」という方がなぜいるのか。

上顎の歯は全部というくらいたくさんあるのに、下顎には全く歯がない方がいます。

歯磨きの上手下手だけで、歯の残る・残らないが決定されているのであれば、下顎は歯磨きが上手で、上顎は歯磨きが苦手ということが実際にありえるのでしょうか?

少なくとも、私はそのようには考えていません。

歯の残る・残らないという結果に対して、歯磨きという因子のほかに、咬合力や歯槽骨における歯の位置、歯槽骨の骨密度、歯の硬さなどが関係していると考えています。

通常、上顎は下顎に覆い被さるような位置に存在していますから、歯軋り癖のある方であれば、咬みしめた状態で、上顎の歯は左右に揺さぶられる力がかかると考えられます。

上顎と下顎では、歯槽骨の硬さが上の方が柔らかいので、過剰な咬合力がかかった場合、上顎には歯の周りの歯槽骨が破壊されるような力がかかると考えられます。

一方、下顎は歯槽骨の硬さが硬いので、歯が欠けるような力がかかると考えられます。

面白いもので、それとは反対の上顎の歯は1本もないのに、下顎には全部の歯があるという方がいても良さそうなのですが、私の臨床経験の範囲では、ほとんど目にしたことがありません。

その歯がなぜなくなったのか、なぜなくならなければならなかったのか、仮にそこに歯を用意した際に何が具備すべき条件なのかなどについて考えてみると、そこにインプラント治療をした際に、長期の予後を見込めると考えています。

2011年10月 1日

hori (16:05)

カテゴリ:インプラントについて

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