インプラント固定の部分入れ歯のトラブルが少なくない理由。

インプラント固定の部分入れ歯(IARPD)の義歯製作―印象採得

歯の被圧変位量に比べて粘膜の変位量は大きく、その反対にインプラントはほぼゼロに近い。
歯の垂直的沈下量を調査したKorber,KH.によると、20±10μm(0.01-0.03ミリ)である。
同様な調査は後藤によると、0.03-0.06ミリとある。
それらから歯の被圧変位量はおおむね0.03ミリ前後と推測できる。
一方、顎堤粘膜の被圧変位量はKorber, K.H.によると、0.5-1.5ミリ、宮下によると0.6-0.8ミリとある。
おおむね0.6ミリ前後とすると、歯の被圧変位量に比べて20倍の量である。
このように生理的動揺のある天然歯、ほぼ動きのないインプラント、被圧変位量の大きな粘膜、これら3者を同時印象で正確に採得することは難しい。
そのため印象採得における誤差を製作段階で補正を行いながら、詰めていくことが現実的である。
(インプラントパーシャルデンチャー IARPDの臨床 )
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印象採得の際には少なからず圧がかかるものと思われます。
その圧に対して、インプラントの20倍も偏位するのが顎堤粘膜です。
力がかかってもほぼ動かないインプラントとその20倍沈み込む顎堤粘膜が、義歯使用中には均等接触しなければなりません。
そのためには、印象採得時の誤差を製作段階で補正するのはもちろん、完成したインプラント固定の部分入れ歯が相当な誤差を有していることを認識して、義歯のチェックを定期的に行わなければならないということでしょう。

2015年6月30日

hori (15:42)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

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