上顎第一大臼歯のルートランクは、遠心>近心≒頬側。

江澤らによると、上顎第一大臼歯のルートランクは、遠心>近心≒頬側であり、病変の出来やすさや治療方法に影響する。
(参考文献)
江澤敏光, 他: 日本人永久歯根形態に関する研究 第1報 上顎第一大臼歯. 日歯周誌. 29(3): 871-879.
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歯列不正の一つの原因に、顎の大きさが小さいのに、歯牙のサイズが大きいタイプがあります。
またそのようなタイプでは、歯牙の咬頭展開角が小さく、特定の咬頭が過剰に発達している場合もあります。
過剰に発達した咬頭が噛み合う相手の歯牙を破壊してしまうケースも少なくありません。
これが歯磨きが良くても、虫歯ができてしまう一例です。
また頻繁に認められるのが、上顎大臼歯が遠心頬側方向に傾斜し、下顎大臼歯は近心舌側方向に傾斜しているケースです。
このような場合、上顎大臼歯に対して根管治療を行うと、歯牙が後方に傾斜しているために、治療を行うことが容易ではありません。
術者が治療を行うことに困難に感じるケースのほうが、一般にその歯の予後は悪いことが多いです。
すなわち、根管治療の予後不良症例は遠心頬側方向に傾斜していると仮定するのであれば、第一大臼歯において、近心根分岐部が他の部位よりも先に破壊される可能性が高いということになります。

2020年8月 5日

hori (08:40)

カテゴリ:根分岐部病変

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