見逃された根管に生じた根尖病変の割合

ポルトガルの8か所の診療所における1160本のCBCTの撮影画像を5人が観察した。
患者の平均年齢は48.38歳で、20836本(27046根管)を診査したところ、2305歯(11.1%)(3281根管)(12.1%)が根管治療済みであった。
見逃されていた根管の割合は、全体で12.0%であった。
最も見逃されていた歯は、上顎第一大臼歯(9.5%)であった。
1本でも見逃された根管があった歯に根尖病変が存在した割合は、82.6%であった。
見逃した根管が存在した歯は、見逃しがなかった歯に比べ、4.4倍根尖病変が生じていた。
上顎第一大臼歯の近心頬側根管が最も見逃されていた根管で(62.8%)、見逃されていた場合は75.2%に根尖病変を認めた。
ついで、上顎第二大臼歯の近心頬側根は49.0%が見逃されており、68.0%に根尖病変を認めた。
下顎では、第二大臼歯の近心根に見逃しが多く、(9.6%)、見逃しがあると92.3%に根尖病変があった。
見逃された根管が存在した場合、有意に根尖病変が存在する確率が高かった(P<0.05)
(参考文献)
Baruwa AO, martines JNR, Meirinhos J, Pereira B, Gouveia J, Quaresma SA, Monroe A, Ginjeira A, J Endod. The influence of missed canals on the prevalence of periapical lesions in endodontically treated teeth: a cross-sectional study. J Endod, 46 : 34-39,2020.
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他の文献でも、見逃された根管に生じた根尖病変の割合は、ほぼ同様の結果であったと記憶しています。
特に上顎第二大臼歯の近心頬側根管、特にMB2は見落とされている可能性が高いということを常に心に留めておかなくてはならないと考えています。

2020年11月10日

hori (08:26)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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