加齢による根尖部の変化

・加齢による根尖部の変化
根尖孔は平均3個以上あり、開口が根尖と一致する歯はほとんどない。
前歯部において約80%の根尖孔が根尖から変位しており、とくに側切歯においては90%以上が変位している。
中切歯ならびに犬歯では遠心唇側に、側切歯では遠心舌側に変位していることが多く、これは多くの症例で根尖部根管が湾曲していることを意味している。
根尖性歯周炎で根尖相当歯肉に腫脹や瘻孔が生じる部位は、根尖孔から歯槽骨表面までの距離に加え開口方向の影響も受けている。
すなわち上顎中切歯や犬歯では唇側に発現することが多く、側切歯では口蓋側歯周組織に発現することが多い。
クインテッセンス 2016年4月号 )
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個人的に側切歯は、前歯の中で予後が悪いのではないかと考えていました。
その答えに関係しそうな側切歯の特徴を知りましたのでご紹介します。
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中切歯や犬歯は根尖孔が歯槽骨の厚みの薄い唇側に湾曲しているのに対して、側切歯では歯槽骨の厚みの厚い口蓋側に湾曲しています。
そうなると、根管に問題が生じたときに、フィステルができることで内圧が下がりやすいのは、中切歯と犬歯で、治療をしない限り内圧が下がりにくいには側切歯ということになります。
また、フィステルが認められる歯に歯根端切除術を行う場合には、中切歯や犬歯では問題が生じている部位には、歯肉を剥離すれば骨欠損が認められるので治療が容易ですが、側切歯では口蓋側からアプローチしようとすると、歯肉を剥離するのが困難でしょうし、通法通り唇側からアプローチする場合には、骨欠損が見当たらないという難しさが出てくる可能性があります。
そのように考えると、側切歯の根尖病巣が大きくなり、その部位にインプラント治療をしようとした場合には、中切歯や犬歯よりも難易度が高まる可能性があります。
というのも、中切歯や犬歯よりも、口蓋側の歯槽骨が破壊されている場合が多いために、抜歯即時インプラントはより低位に埋入する必要があるからです。

2016年6月15日

hori (11:01)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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