細いファイル、太いファイル、どちらが折れやすい?

細いファイル、太いファイル、どちらが折れやすい?
ステンレススチールファイルを使用している時など、すぐに刃が伸びたり、折れたりするのは#8-15くらいの細いファイルである。
Ni-Tiファイルももちろん、細いファイル(おおむね#20)以下はねじれ破折しやすい。
一方、疲労破折については、太いファイル(おおむね#30 06テーパー以上または#35 04テーパー以上)の方が先に折れる。
細いファイルは、狭窄根管に挿入して少しでも無理に根尖方向に力を加えると、簡単にねじれ破折を起こしてしまう。
そこで狭窄根管では、慎重に根管に挿入して抵抗を感じたらすぐに引き抜く。
もしくは#8-10の手用ステンレススチールKファイルで十分なガイドを製作する必要がある。
逆に狭窄さえしていなければ、細いファイルは湾曲根管で使用しても、破折のリスクは高くない。
太いファイルは疲労破折が生じやすいため、湾曲根管の使用で注意を要する。
これは、太いファイルの方が変形に大きな応力が必要となるということに起因する。
径の太いファイルであればあるほど、湾曲を超えて根管内で作業させる時間を少なくしなくてはならない。
一方、太いファイルは湾曲根管では注意を要する反面、直線根管で使用する際にはほとんど破折のリスクがない。
破折頻度という観点においては、疲労破折の方が多いことが明らかにされている。
つまり、臨床実感とは異なり、疲労破折しやすい太いファイルの方が破折しやすいことになる。
(ザ・クインテッセンス 2020年2月号 )
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細いステンレススチールファイルは狭窄根管でネゴシエーションを行っている時に破折リスクが高いと感じていました。
一方、太いステンレススチールファイルは湾曲根管で回転させる量が多いときに破折リスクが高いと感じていました。
細いステンレススチールファイルは刃が伸びやすく、その延長には破折があるので、伸びたステンレスファイルは破棄するようにしていました。
太いステンレススチールファイルは、術者のファイルが伸びた感覚が乏しい状態で破折する印象がありました。
今回の報告により、疲労破折は太いステンレススチールファイルの方が破折しやすいことが分かりました。
最近のNi-Tiファイルには、根管を無駄に削合するのではなく、根管内の汚染物質を選択的に除去するものもあると聞きます。
個人的にはステンレススチールファイルである程度拡大してから、Ni-Tiファイルに変えて治療を進めるのが問題が生じにくいと感じています。

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