カンジタはミュータンスによって形成されたバイオフィルムによる象牙質脱灰を増悪させる。

・カンジタはミュータンスによって形成されたバイオフィルムによる象牙質脱灰を増悪させる。
S.mutansはう蝕原生細菌、C.albicansは免疫機能が低下すると日和感染症を引き起こす真菌として知られており、相互の関係性はあまり知られていなかった。
バイオフィルムのう蝕原生を高めるのは、微生物の菌量よりC.albicansとS.mutansとの相互作用によるバイオフィルムの構造の変化や酸産生の増加に起因していた。
本研究はC.albicansがう蝕原生バイオフィルムの病原性を増大させることを報告する先行研究を支持し、微生物間の相乗作用のメカニズム解明に向けた今後の研究に重要な意味を持っている。
システマティックレビュー(Xiao J, et al. Caries Res 2018)では、C.albicansを保菌する子供は、C.albicansを保菌していない子供と比較して、幼児期においてう蝕発症のリスクが5倍高いことが示され、う蝕とC.albicansの関連を示唆している。
これらの報告から、C.albicansはS.mutansのう蝕原生を増強することにより間接的にう蝕リスクに関与する可能性があり、また根面う蝕のキーストーン病原体ともいうべき存在であると考えられ、根面う蝕の発症機序で重要な役割を担っている。
(参考文献)
Sampaio AA, Souza SE, Ricomini-Fiiho AP, Del Bel Cury AA, Cavalcanti YW, Cury JA. Candida albicans increases dentine demineralization provoked by Streptcoccus mutans biofilm. Caries Res 2018 ; 53(3) : 322-331.
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C.albicansを保菌する子供は、C.albicansを保菌していない子供と比較して、幼児期においてう蝕発症のリスクが5倍高いことが明らかになりました。

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