粗面のインプラントでは、バイオフィルムの除去が困難。

・Carcuaeらは、100名(179本)のインプラント周囲炎にり患した患者に切除療法を行ったが、機械研磨表面を有するインプラントでは79%で治療の成功(成功基準:PPD≦5ミリ+BOP/排膿なし+追加の骨喪失なし)を認めたが、粗面を有するインプラントでは、34%しか成功基準を満たしていなかった。
このように動物実験ならびにヒトにおける実験でも、粗面のインプラントでは生体が許容するレベルにまでバイオフィルムの除去が困難である可能性が示唆されている。
(参考文献)
Carcuac O, Derks J, Charampakis G, Abrahamsson I, Wennstrom J, Bergglundh T. Adjunctive systemic and local antimicrobial therapy in the surgical treatment of peri-implantitis :a randomized controlled clinical trial. J Dent Res. 2015 ; 98(1) : 50-57.
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現在流通しているインプラントのほとんどは、粗面のインプラントではないかと考えられます。
メーカーも歯科医師も患者さんも、治療スピードを追い求めました。
その結果、粗面のインプラントが主流となり、現在、インプラント周囲炎が問題なっているのだと思います。
『骨結合は速やかに行われるけれど、バイオフィルムの除去は容易』などといった、都合の良いインプラントが出現しない限り、これも"最新が最善とは限らない"ものの一例となることでしょう。

2019年5月 5日

hori (09:49)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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