薬で歯周病が完治しない理由

・なぜ抗生物質でバイオフィルムを駆逐できないのか

バイオフィルム中の中の多くの細菌は休眠状態なので、外部からの栄養摂取量は非常に少なくなっています。

抗生物質は、細菌が外部から摂取する栄養物質とともに内部に取り込まれるので、休眠細菌に取り込まれる薬剤量は非常に少ないのです。

代謝の高い細菌は抗生物質をたくさん取り込んで細菌内全体に行き渡らせるため、抗生物質の効果が期待できますが、代謝の低い休眠細菌には抗生物質が効きません。

アジスロマイシンでも休眠細菌には十分な効果を発揮しません。

、バイオフィルム細菌に対して殺菌作用のある抗生物質があるとしても、抗生物質だけで歯周病を治すことはできません。

抗生物質投与によって休眠細菌以外の殺菌は期待できます。

しかし、投与期間が終わると、休眠細菌が目を覚まし増殖して、いずれバイオフィルムは抗生物質投与前の状態に戻ってしまいます。

現在の医療技術ではバイオフィルム中の歯周病菌を駆逐させられないことが、歯周炎再発の第一の理由です。

(21世紀のペリオドントロジー ダイジェスト )

*****

抗生物質で歯周病が治らないということは、再三記事にしてきましたが、休眠細菌が関わっていることわかりました。

休眠細菌は代謝が低いので、抗生物質が取り込まれる量が少ない。

それゆえに、投与期間が終わり、休眠細菌が目を覚ますと、バイオフィルムは元の状態に戻るということになります。

インプラント治療を受ける患者さんのお口には、歯周病に罹患した歯が存在している場合がほとんどです。

追加のインプラントが必要となるような状態を回避するためにも、歯周病に対する理解を深めていきたいものです。

2015年10月10日

hori (17:38)

カテゴリ:インプラント周囲炎

« いわゆる"薬で治す歯周病治療"は免疫に悪影響。 | ホーム | インプラントには当然のことながら、根面齲蝕がない。 »

このページの先頭へ