正常有歯顎者では、加齢による咬合力の低下は見られない。

・小島ら(2010)は、20-60歳代の年代別100名ずつ計500名(顎口腔系に異常を認めず、6か月以内の補綴治療の既往がない、可撤性義歯を装着していない)における最大咬合力を調査したところ、20-60歳代の平均値にほとんど差が認められず、その平均値が626Nであったと報告している。
このことから、正常有歯顎者では、60歳代であっても20歳代の咬合力とほぼ同等であることから、加齢による咬合力の低下は見られず、咀嚼能力は衰えないことが分かる。
(参考文献)
近藤康史, 中村健太郎, 他. 男女別における咬合力の統計学的検討- 咬合力の標準値について‐ . 補綴誌2011 ; 3・120特別号 : 257.  
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感覚的に義歯を装着していない正常有歯顎者の咬合力は、加齢による影響を受けないのではなかろうかと考えていましたが、それを裏付ける文献を見つけました。
各年代を100名ずつ集めるのは容易ではない可能性もありますが、個人的には、同じ条件で、70代、80代の正常有歯顎者の場合や、インプラント補綴で咬合回復した場合の研究結果にも興味があります。
今後に期待したいですね。

2018年2月25日

hori (08:54)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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