2021年10月アーカイブ

誤嚥性肺炎、80代が最多

誤嚥性肺炎は80代に最も多く、BMI値が低い入院時では、「CRP値が低い」「脳血管障害や認知症、神経疾患の依存が多い」「病院・介護施設に入院・入所している症例が多い」などの特徴があ
る。
東北大学医学研究科の香取教授らが行った大規模調査によるもの。
調査は、2019年に宮城県内の8つの基幹病院で入院治療を受けた肺炎患者1800人を対象に実施。
誤嚥性肺炎の割合は38.4%で、高齢者、特に80代に最も多く、08年時のピーク70代から高齢化の影響があったと分析している。
2週間以上入院した誤嚥性肺炎患者に対する嚥下機能を改善する治療の実施は51%、嚥下内視鏡検査は嚥下介入患者の20%、嚥下透視検査は5%にとどまっていた。
(アポロニア21 10月号 )
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誤嚥性肺炎は、80代の高齢者に多いことが明らかになりました。

2021年10月25日

hori (08:37)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

智歯抜去後の第二大臼歯遠心面に対する機械的デブライドメントの効果は?

このレビュー論文は、智歯抜去後の第二大臼歯遠心面に対する非外科的歯肉縁下デブライドメントの効果のエビデンスを評価することが目的とされています。
レビューの対象となった論文は、当該部位に対するスケーリング、またはルートプレーリングの効果を、プラセボまたは治療しなかった場合と比較した研究で、外科的処置を行った研究は対象としませんでした。
インターネットおよびマニュアル検索によりヒットした論文から、2人のレビュアーによりPRISMA声明に基づいて段階を踏み、論文を除外していきました。
また、割り振りの順番、割り振りの隠蔵機構、マスキング、不完全なアウトカム、選択的アウトカム報告、その他についてクオリティが評価され、
1. バイアスのリスクが低い。 2. バイアスのリスクが高い。 3. バイアスのリスクは不明の3つ分類されました。
結果、752編の論文から、基準を満たした4編の論文が選択されました。
全体的にサンプル数は少なく、15-30人ほどでした。
2編の論文では、スプリットマウスデザインが用いられていました。
3編の論文では、デブライドメントと未治療の場合の結果が比較され、1編では手用スケーラーと超音波スケーラーの効果が比較されていました。
また、論文によっては、歯周組織破壊の徴候がない部位が選択されている場合と、あることが選択基準に含まれている場合がありました。
論文のなかで、割り振り順番の作成、隠蔵機構、マスキング法について、バイアスのリスクが低いと考えられたのは、1編だけで、ほかの論文ではバイアスリスクは高いかまたは不明でした。
また、研究デザインがすべてが異なるため、メタアナリシスはできませんでした。
Leungら(2005)の研究では、超音波スケーラーによる治療の結果、治療しなかった場合と比較してプロービングポケットデプスの減少が有意に多く見られたと報告されましたが、歯肉退縮や臨床的アタッチメントレベル、BOPについては、差異がありませんでした。
Ferreiraら(1997)の研究では、治療2か月後、対照群と比較して、実験群でPPDやCALの改善が多く見られました。
最もクオリティが低いと評価されたOsborneら(1982)の研究では、治療した場合としなかった場合で差が見られませんでした。
これらの研究の結果、超音波スケーラーによるデブライドメントと3度の来院によるプラークコントロールプログラムが、PPDのレベルでみると効果的である可能性が示唆されましたが、研究の規模は小さく、まだそういえるだけの根拠はあまり強くないと考えられました。
(参考文献)
Valeria R, Patricio M, Rodrigo L: Effect of mechanical debridement on dital periodontal aspect of second molars after the extraction of third molars: A systematic review of periodontology. 83(5) : 595-601,2012.
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当該部位に基本治療を行ったうえで、反応が悪い場合には、外科処置を行うべでき出ると考えています。

「食後30分は歯を磨かない方がよい」は本当なのか?

この実験モデルにおいては、酸蝕後、ブラッシングを行う時間を最大4時間まで空けても、そのメリットは見られなかった。
現在のところ、「食後30分はブラッシングをしない」というコンセプトの根拠はなく、酸蝕症による実質欠損が明らかな患者に限って考えるべきであろう。
(参考文献)
Adrian L, Jonas L, Thiago S C, Barbara C: Toothbrushing after an erosive attack: Will waiting avoid tooth wear ? . European J of Oral Sciences, 122(5) : 353-359-2014.
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酸による侵襲を受けることで歯質はミネラルを喪失し、0.2-3.0μmほどの範囲が軟化するといわれています。
このことから、食後すぐに歯を磨くことにより、歯がダメージを受けるとの考えが生じました。
さらに、唾液によるエナメル質の酸蝕や摩耗に対する再石灰化能についての分析が行われ、酸蝕症を誘発するような食べ物や飲料水を摂取した後は30-60分は歯磨きをするのを待つべきという考えが生じました。
しかし、唾液中の露出を2時間行っても、エナメル質の耐酸蝕効果が見られなかったとの報告もあり、結論が出ていません。

コロナ禍で院内感染対策費が対前年度比で35%増加

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、歯科医療機関における院内感染対策費に大きな変化が起きているようだ。
日本歯科医師会が行った「院内感染対策費に関する調査」によると歯科材料費は1か月間約10万円増加しており、中でも衛生用品の増加が対前年比35 %増と目立っている。
特に、マスクやグローブ、消毒用エタノールなどの購入量の増加、および購入単価の上昇が影響したようだ。
また、令和2年度中に感染対策費として新規に購入した物品の平均額は約90万円。
パーテーションや空気清浄機、自動検温装置を購入したという歯科医院が多かった。
加えて、診療から次の診療の間の清掃等準備時間が約3分増加。
これは、1日20人の診療をした場合、コロナ禍前と比較して診療後の清掃等準備に約1時間も多く時間を要しているということだ。
目に見えないところでの経費労力も増えている。
(Dentalism JULY 2021 NO.46 ) 
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コロナ禍で院内感染対策費が対前年度比で35%増加したそうです。
歯科医院は意外とクラスターが発生していないことと関係がある可能性があります。

2021年10月10日

hori (08:17)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

唾液分泌量が少ないと虫歯リスクが増大する。

・日本の成人を対象とした研究では、虫歯経験歯率のオッズ比を刺激唾液の分泌量で比較した結果が示されています。
刺激唾液の分泌量が少なくなるにつれて、虫歯経験率のオッズ比が高くなる傾向がみられ、3.5mL/分超のオッズ比を1.0とすると、2.5mL/分以下の人のオッズ比は約1.8でした。
(参考文献)
Shimazaki Y, et al. Stimulated salivary flow rate and oral health status. J Oral Sci 2017 ; 59(1): 55-62.
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今回紹介した論文以外にも、刺激唾液の分泌量が1.0mL/分以上の比較して、0.6mL/分以下の人出は虫歯リスクが2.4倍あったとする米国における研究報告もあります。
唾液の中には細菌の増殖を抑える働きのある物質が存在するため、唾液が少ない人は虫歯、歯周病、インプラント周囲炎に罹りやすいといえます。
また、唾液が少ないと口臭発生原因の一因となります。

2021年10月 5日

hori (08:42)

カテゴリ:インプラントと口臭

義歯で体重低下リスクが減少

65歳以上の5万3000人を対象とした調査で、歯が19本以下でも、義歯やブリッジの使用によって体重低下のリスクが減少することが明らかになった。
歯が20本以上の人と比べて、19本以下で義歯・ブリッジを使っていない人は体重減少のリスクが1.41倍高く、義歯・ブリッジを使用すると1.26倍と、体重減少リスクが約37%減少した。
(アポロニア21 2021年9月号 )
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インプラント治療により、糖質中心の食生活からたんぱく質や野菜を中心とした食生活に変化する場合は少なくありません。
そのような場合、筋肉量が増大し体脂肪率が減少するだけでなく、見た目年齢が若返る方も多いです。
一方、今回の研究では、体重の比較のみなので、体脂肪率や見た目年齢の変化についてはわかりませんが、義歯・ブリッジの使用により、体重減少リスクが約37%減少したとのことです。
BMIは標準よりも少し高めである方が、人間は長生きするというデータを元にすれば、義歯・ブリッジの使用により人間の延命は可能であるといえるかもしれません。

2021年10月 1日

hori (08:00)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

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