2020年12月アーカイブ

口蓋側根面溝は、2.8%-18%の頻度で報告されている。

口蓋側根面溝は、2.8%-18%の頻度で報告されている。
確実な成因は不明であるが、口蓋側の溝は軽度の歯内歯であり、石灰化の前にエナメル基とヘルトビィッヒの上皮鞘が取り込まれた結果であるという考えや副根を形成した結果であるという考えがある。
長さと深さにより、それぞれ3つに分類されている。
う蝕がないのに根尖部に円形の透過像を認めたり、根管の幅が広く見えたり、根に沿って縦に破折線のような透過像が見えたりした場合は、口蓋側側根を考慮することが大切である。
そのような場合、ポケットの入り口は骨の欠損が狭い場合もあるので、プローブでは入っていかず、ブローチやファイルでの診査が必要な場合もある。
(参考文献)
Tan X, Zhang L, Zhou W, Li Y, Ning J, Chen X, Song D, Zhou X, Huang D : Palatal radicular groove morphology of the maxillary incisors : a case series report. Endod, 43 : 827-833, 2017.
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口蓋側根面溝には、ブローチやファイルでの診査も必要な場合があるとは、勉強になりました。

2020年12月25日

hori (08:36)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

矯正歯科治療で予防歯科!

矯正歯科治療により不正咬合が改善されると咀嚼効率が上昇し唾液分泌量が増加する可能性がある。
唾液分泌量の減少はう蝕の大きなリスクファクターであるが、加齢とともに全身疾患を有するようになると多くの服薬が必要となり、唾液分泌量が減少する報告も多く認めることから、唾液分泌量を可能な限り増加できれば矯正歯科治療は予防歯科においてより有効である。
(結果)
1. 矯正治療開始時の唾液分泌量:8ml
2. 矯正治療装置撤去時の唾液分泌量:9.7ml
3. 矯正治療終了時の唾液分泌量:9.8ml
1と2、1と3間で、P<0.01で有意差あり
(参考文献)
日本歯科医師会. 健康社会に寄与する歯科医療・口腔健康のエビデンス. 2015.
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矯正歯科治療を行うと、咀嚼効率が上昇するだけでなく、唾液分泌量も増大するようです。
唾液分泌量が増大し、唾液が歯牙全体にいきわたりやすくなる歯列となるので、虫歯や歯周病になりにくくなります。
また唾液分泌量が増大すると口臭予防にも寄与します。
普段から、酸っぱい味や苦い味を感じる方は、矯正歯科治療で口臭に対する不安が改善する可能性もあると思います。

2020年12月20日

hori (08:37)

カテゴリ:インプラントと歯列矯正

痛くなかった歯が根管治療後に痛む理由とは?!

フレアアップは抗生物質の術前投与では予防できないというのが現在の共通見解である。
(参考文献)
Pikenpaugh L, Reader A, Beck M, Meyers WJ, Peterson LJ. Effect of prophylactic amoxicillin on endodontic flare-up in asymtomatic , necrotic teeth. J Endod 2001 ; 27(1) : 53-56.
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痛くなかった歯が根管治療後に痛むというのが、今回紹介のフレアアップです。
フレアアップが生じないようするためには、ステップバック法よりもクラウンダウン法を用いて根管治療を行うべきであると考えています。
歯冠側の方が根尖側よりも細菌数が多いことが多いからです。
また、フレアアップの要因にも掲載していますが、根管治療時に入る酸素により通性嫌気性菌が増殖して、フレアアップが生じる場合もあるということは勉強になりました。
参考情報:フレアアップの要因
1. 不完全な根管治療による残存細菌、不完全な化学的・機械的根管清掃によって生じる。
2. 根管治療より押し出された細菌や病原因子による要因。
3. 根管開放や不完全な歯冠側封鎖により漏洩が生じ、微生物や病原因子が根管内に侵入し、根管外へ波及することで生じる。
4. 根管治療時に入る酸素により通性嫌気性菌が増殖して生じる。

2020年12月15日

hori (08:47)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

X線上でどのように樋状根を予測するのか。

・Haddadらは、デンタルX線撮影で以下のような特徴がみられた場合、樋状根の存在を予測できると報告している。
1.2つの歯根が癒合あるいは近接している。
2.近心根が細い。
3.遠心根管が太い。
4.2つの歯根の間に、第3の根管が認められる。
(参考文献)
Haddad GY, Nehme WB,Ounsi HF: Diagnosis, classification, and Lebanese population. J Endod, 25(4) : 268-271,199
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樋状根で歯根が癒合しているならば、根管も癒合している可能性があります。
根管が癒合している場合の方が、そうではない場合よりも、根管治療に要する時間が長いものと推測されます。
前もって、樋状根であるかどうかを確認ししたうえで、予約時間を設定する方がタイムマネジメントの面で有益であると考えられます。

2020年12月10日

hori (08:41)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

MB2の発見率は、歯科用ルーペ使用で55.3%、マイクロスコープ使用で57.4%

・Buhrleyらは、上顎大臼歯の近心頬側第2根管の発見率が、裸眼で18.2%、歯科用ルーペ使用で55.3%、マイクロスコープ使用で57.4%と報告している。
マイクロスコープが設置されていない歯科医院でも、歯科用ルーペを使用することで、根管の見落としによる根管治療の失敗をある程度回避できる。
(参考文献)
Buhrley LJ, Barrows MJ, Begole EA Wenchus CS: Effect of magnification on locating the MB2 canal in maixillary molars. J Endod, 28(4): 324-327,2002.
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歯科用ルーペとマイクロスコープのMB2発見率に大きな違いがないことに驚かされました。
メルセデスと費用が大して変わらないマイクロスコープもあるので、企業はマイクロスコープによる歯科治療が一番良いと強調することでしょう。
またマイクロスコープで精密な治療をしていると謳っている歯科医院の広告も見かけますが、歯科用ルーペも歯科治療には同様に有益であることが推察されます。

2020年12月 5日

hori (08:59)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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