2019年2月アーカイブ

矯正用インプラントの直径について

・直径1.6ミリでは282本中27本(9.57%)が、直径1.8ミリでは117本中37本(31.62%)が脱落した。
歯科用CTを活用することで、直径が小さいスクリューの脱落を低く出来る一方で、直径の大きいスクリューは狭小な歯槽中隔で隣接する歯根との接触や、歯槽骨のマイクロフラクチャーを惹起しやすく、脱落率が高くなると考察。
(アポロニア21 2019年1月号 )
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矯正用インプラントで、直径1.8ミリよりも直径1.6ミリの方が脱落率が低いというデータが得られました。
高々0.2ミリの差ですが、脱落率には大きな差が生じています。
歯科医学も日進月歩ですね。

2019年2月25日

hori (08:58)

カテゴリ:インプラントと歯列矯正

扁平上皮癌の転移メカニズムを解明

・扁平上皮癌の転移メカニズムを解明
北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室の研究グループは、TRIM29と呼ばれる分子が、皮膚や頭頸部領域に多くみられる扁平上皮癌の転移を抑制するメカニズムを解明した。
扁平上皮癌では、異常なDNAメチル化制御によりTRIM29の発現が抑制され、細胞骨格分子のケラチン細胞内の分布に変化が生じて、扁平上皮癌の転移が促進されるというもの。
同研究成果により、診断指標や新規治療標的としての進展に期待がかかる。
(アポロニア21 2019年1月号 )
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不治の病、がんの転移を抑制するメカニズムが解明されたようです。
医学の進歩も日進月歩ですね。

2019年2月20日

hori (08:48)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

喫煙や糖尿病よりも歯周病で歯を喪失する危険性が高いリスクファクターとは?

・一般的に喫煙をしていたり、糖尿病の患者さんであれば、歯周病のリスクは2倍ちょっと。
文献によるばらつきも大きいので2倍前後であるが、メンテナンスの中断は歯を喪失するリスクが4倍以上であるために、はるかに上回るリスクファクターである。
(参考文献)
Pretzl B et al. Tooth loss afetr active periodontal therapy.2 : tooth-related factors. J Clin Periodontol 2008; 35: 175-182.
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歯周病のリスクファクターには、喫煙や糖尿病が挙げられますが、そのリスクは2倍程度。
それよりもはるかに歯を失うリスクファクターとして挙げられるのが、実はメンテナンスの中断です。
インプラント周囲炎の程度が重篤にならないと自覚症状がないことも多いので、問題なく咬めていても、定期的なメンテナンスは必要であるといえます。

2019年2月15日

hori (09:00)

カテゴリ:インプラント周囲炎

自然口を直接観察できないことが多い。

・上顎洞への自然口は鼻腔内の深いヒダの奥深く(中鼻甲介の内側)に存在する小さな移行部であり、直径が5ミリを超すことはなく、通常は2ミリ以下である。
よって自然口の同定すらできないこともあるという。
したがって、内視鏡を用いても上顎洞全体を直接観察することは不可能であり、他の副鼻腔への自然口になるとさらに困難であることが推察される。
よって、耳鼻科医は副鼻腔自然口周囲の鼻腔側の所見やX線所見に基づいて、副鼻腔内の病変の有無や重症度を推察するわけである。
(インプラントジャーナル 2018年 76 )
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耳鼻科医は内視鏡を使用して、自然口を直接観察できるものと考えていましたが、そうではないことが分かりました。

2019年2月10日

hori (08:55)

カテゴリ:上顎臼歯部のインプラント

直径1ミリ以上の正中舌側管と側方舌側管の頻度

下顎正中の舌側には24.8%の頻度で直径1ミリ以上の正中舌側管が認められる。
下顎骨舌側の骨の高まりをSpinosumとすると、インプラント埋入に関わる可能性の高いSpinosumより上方では11.9%の頻度で舌側管が認められる。
(参考文献)
Wang YM, Ju YR, Pan WL, Chan CP. Evaluation of location and dimensions of mandibular lingual canals: a cone beam computed tomography study. Int J Oral Maxillofac Surg. 2015 ; 44 (9) : 1197-1203.
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下顎前歯部にインプラント治療を行う場合には、舌側管の存在に配慮しなくてはなりません。
下顎骨自体が硬いことが多いので、CT所見を読影すれば、細い舌側管でも比較的容易に、その位置を把握することができます。

2019年2月 5日

hori (15:07)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

歯周ポケットが深い複根歯では、外科の適応。

・歯肉縁下のSRPであるが、熟練した歯科衛生士でも確実に除去できる歯周ポケットの深さは3.73ミリと意外に浅い。
言い換えると、4ミリ以上の歯周ポケットになると取り残す可能性が高いといえる。
ただし、近年拡大鏡やマイクロスコープを用いることでSRPの正確性が高くなり、より深い歯周ポケットでも除去できる可能性はある。
また、Mellonigらは、フラップ手術とSRPの効果を歯周病専門医と一般開業医で比較し、歯周ポケットが深くなるほど、非外科的療法でのデブライドメントは不確実になると述べている。
さらにこの傾向は複根歯で顕著で、4-6ミリの歯周ポケットにSRPを行った場合、歯周病専門医でも完全に除去できたのは25%以下で、開業医のFOPの方が有効であったと報告している。
このように、非外科的歯周治療では歯周炎の原因であるバクテリアを確実に除去することが難しく、それゆえ治療後のSPTにおいても、再発のリスクが高くなる。
これらのことから、4ミリ以上で活動性(BOP(+))の深いポケットでは、歯周基本治療のみではプラークコントロールしにくい部位が残るため、歯周外科処置の適応と考えられる。
(参考文献)
Stambaugh RV, Dragoo M, Smith DM, Carasali L. The limits of subgingival scaling. Int J Periodontics Restorative Dent 1981 ; 1(5): 30-41.
Brayer WK, Mellonig JT, Dunlap RM, Marinak KW, Carson RE. Scaling and root planting effectiveness : the effect of root surface access and operator eperience. J Periodontol 1989 ; 60(1); 67-72.
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歯周ポケットが深くなるほど、非外科的療法でのデブライドメントは不確実になること。
さらにこの傾向は複根歯で顕著で、4-6ミリの歯周ポケットにSRPを行った場合、歯周病専門医でも完全に除去できたのは25%以下で、開業医のFOPの方が有効であったことが明らかになりました。

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