2019年1月アーカイブ

垂直歯根破折に関しては41%がポスト未装着歯。

・垂直歯根破折は、ポストに咬合力が加わり歯根破折を起こすこともよく経験しますが、垂直歯根破折に関しては41%がポスト未装着歯でした。

(デンタルハイジーン 2018年12月号 )

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垂直歯根破折といえば、メタルポストという印象がありましたが、ポストなしでも歯根破折は生じていることに驚かされました。

個人的にはメタルポストを保険の材料で入れようとした場合、どうしても太くて短いメタルポストになりやすいので、歯根破折が惹起されやすいのではなかろうかと推察しています。

歯周病治療で肝硬変の症状改善か?

先行研究では、肝硬変患者では腸内及び唾液中の微生物叢が変化しており、これが歯周炎を発症させ、肝硬変関連の合併症のリスクを高める恐れがあることが確認された。
さらに、いくつかの研究で、肝硬変患者では全身の炎症レベル上昇がみられ、これが肝性脳症に伴うものであることも示されている。
研究者らは、肝硬変および軽度?中等度の歯周炎を有する志願者の2群を調査した。
1群には歯周疾患治療を実施し、もう1群には治療を行わなった。
全志願者に対して、治療前後には認知機能を評価する標準検査を実施した。
歯周疾患治療後、参加者、特に肝性脳症を有する参加者では、唾液中の内毒素産生菌数が減少しただけでなく、炎症軽減につながると思われる有益な腸内細菌数の増加も認められた。
未治療群では、同時期に血液中の内毒素レベルの増加がみられた。
研究チームは、治療群にみられた改善は、口腔内炎症を軽減させて全身の炎症を抑えることに寄与し、あるいは飲み込まれる細菌数の減少につながり、結果として、腸内微生物叢に影響を与える可能性があると示唆した。
研究者らによると、治療群では認知機能も改善したことから、すでに疾患に対する標準治療を受けている患者では、体内の炎症レベル低下によって肝性脳症の症状のいくつかは最小限に抑えられる可能性が示された。
「肝硬変の蔓延は、現行の治療法によっても持続する炎症および微生物の変化によって悪化している。
このため、腸以外の起源を探る必要が生じ、その毛か、口腔内が重要ながら無視されてきた部位であることを見出した」と述べている。
(Dental Tribune Japan Edition 12/2018 )
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歯周病治療によって、腸内の細菌フローラが変化し、肝硬変関連の合併症における、状態の程度を下げる可能性があるそうです。

2019年1月20日

hori (10:07)

カテゴリ:歯周病の悩み

βカロテンのサプリメントで、肺がん発症が約1.3倍増加。

・喫煙者にβカロテンのサプリメントを服用させた大規模介入試験では、肺がん発症が約1.3倍増加することがわかり、研究は中断されました。
なお、食品からのβカロテン摂取は肺がんリスクとの関連は示されていません。
(参考文献)
Omenn GS, et al. Effects of a combination of beta carotene and vitamin A on lung cancer and cardiovascular disease. N Engl J Med 1996 ; 334(18) : 1150-1155.
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インプラント患者さんには喫煙者が少なくありません。
健康に良いと考えて行った行動が時に逆の結果を招くケースは時々見られるように感じます。
特にサプリメントの分野では、十分な情報収集が必要に思います。

2019年1月15日

hori (08:25)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

歯磨きとフロス、どちらを先にすべきか?

・25名の参加者に対して、先に歯ブラシで歯を磨き、次にデンタルフロスを使って歯間空隙を清掃するように依頼した(歯ブラシ?フロス)。
同じ試験群に対し、フロスを使った後にブラシで歯を磨くよう依頼した(フロス?歯ブラシ)。
研究者らは、全般的に歯間および口腔内の歯垢の量は、参加者がフロス-歯ブラシ法を行ったときに有意に減少したことを明らかにした。
研究者らは、フロッシングは歯間部の細菌と残屑を解きほぐすために、次にブラッシングを行うと、これらの粒子をさらに口内から取り除くことができると主張した。
(Dental Tribune Japan Edition 12/2018 )
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歯ブラシとフロスで口内清掃を行う場合に、フロスを先に使用した方が有意に口腔内の歯垢の量が少ないようです。
フロスを先に使用するようにしましょう。

リグロスで、がん増殖?!

・FGF-2は細胞増殖に有意に働くが、がん細胞においてはその増殖ならびに遊走性を促進させ、腫瘍形成能をもつ。
非腫瘍細胞のがん化作用は確認されていないが、現在では重要な潜在的リスクとして使用成績調査をさらに行っている。
(参考文献)
・Tsunoda S, Nakamura T, Sakurai H, Saiki I: Fibroblast growth factor-2-induced host stroma reaction during initial tumor growth promotes progression of mouse melanoma via vascular endothelial growth factor A-dependent neovascularization. Cancer Sci, 98: 541-548,2007.
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リグロス(FGF-2)は、がん細胞の増殖を促進するそうです。
治療に使用するのは、もう少し待つ方が無難に感じます。

2019年1月 5日

hori (08:00)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

上顎犬歯のフェネストレーションの発現頻度は、上顎犬歯で約29%。

・日本人は欧米人に比べてフェネストレーションを起こす頻度が高く、発現頻度は上顎犬歯で約29%、第一大臼歯で約16%、第一小臼歯で約14%に達すると報告されている。
特に上顎前歯部では下顎と比較して骨が脆弱なため、解剖学的にフェネストレーションが生じやすいとされている。
(参考文献)
安藤英一, 戸田忠夫. 歯内療法学(第2版). 東京 : 医歯薬出版, 2001.
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インプラント治療を希望される方の一つのパターンに、上顎骨の大きさが小さく、下顎骨の大きさが大きい方がいます。
今回の報告で、日本人にフェネストレーションが多いことが明らかになりました。
これにより、歯の大きさが人種によって変わらないのであれば、欧米人よりも上顎の顎骨が小さい可能性があります。
フェネストレーションがあると、根尖部に圧痛がありますが、それを確認するには通常のレントゲンでは存在を確認するのが困難です。
圧痛があるのは異常だと患者さんが考え、歯科医院で根管治療を受けるも、それが改善されなければ、転院する場合もあるでしょう。
フェネストレーションの存在により、不要な根管治療が繰り返される可能性があります。
また今回の報告で、フェネストレーションの割合が考えていたよりもはるかに多いことが分かりました。

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