2025年8月アーカイブ

上顎前歯部に埋入した単独インプラントの切縁レベル変化の長期評価(5-19年の追跡調査)

1995-2010年に埋入されたインプラント3094本を対象としたが、すべての適格基準を満たしたのは113本(3.65%)であった。
最終的にこれら113本のインプラントのうち56本が対象となり、追跡調査を行った。
すべての症例において、初診時の写真、最終補綴装置時の写真、術後5-20年間の追跡調査時の撮影された。
全てのインプラントはNovel Proceraで最終補綴装置はメタルセラミッククラウンで修復された。
 本件の対象患者は合計56名(56本のインプラント)、年齢幅:23-63歳、平均年齢:40.79±12.25歳、男性21名(37.05%)、女性は35名(62.5%)であった。
平均追跡調査期間は10.7±3.37年で、隣接歯とインプラントの切縁レベルの変化を認めたのは19.6%であった。
評価されたすべてのインプラントの残存率は100%であった。
インプラント上部構造と隣接歯との切縁レベルの変化は、11名の患者(19.64%)で観察され、そのうち2名は上部構造をやり替えることに興味を示したが、その他の患者においては評価期間を通して審美性の満足度は良好であった。
性別間の切縁レベルの変化については、男性(19%)と女性(20%)で統計学的に有意な差は認められなかった(P=0.238)。
年齢別の切縁レベルの変化の発生率は、20-30歳までの患者で41.7%、31-40歳までの患者で13.3%、41-50歳までの患者で23.7%、50歳以上のグループで6.3%であった。
異なる年齢グループ間には統計学的に有意な差は認められなかった(P=0.118)。
同様に、切縁レベルに変化が認められた症例とみられかった症例の各サブグループにおける臨床症例数を比較しても、統計学的有意な差は認められなかった(P=0.262)。
(参考文献)
Long-Term Assessment (5-19-Year Follow-up) of the Incisal-Level Changes in Single Implants Placed in the Anterior Maxilla : An Observational Clinical Study. Int J Oral Maxillofac Implants. 2025 Feb7 ; 40(1) : 33-40.
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上顎前歯単独インプラントで長期間維持された上部構造の切縁レベルの変化は、評価した成人患者症例の19.6%に認められたことが明らかになりました。

2025年8月30日

hori (07:49)

カテゴリ:上顎前歯部のインプラントの

日本人における垂直性歯根破折の有病率および関連因子

垂直性歯根破折(VRF)は、深さ5ミリ以上の歯周ポケットの原因となりうる8つの病態(垂直性歯根破折、歯肉縁下う蝕、水平または斜走破折、限局性歯周炎、穿孔、歯根吸収、歯髄壊死または根尖性歯周炎)の中で最も多かった(32%、73/228歯)。
垂直性歯根破折の確認は抜歯(3歯)、外科的探索(5歯)および非外科的探索(65歯)にて行われた。
VRFは40代(37%)および女性(68.5%)に多く、歯種では下顎第一大臼歯(31.5%)、上顎小臼歯(19.2%)の順に高頻度であった。
多くは隣接歯が存在(87.7%)し、深さ8ミリ以上の歯周ポケットを有する歯(50.7%)、また、頬舌側に限局した狭い歯周ポケットを有する歯(78.1%)、クラウン装着歯(82.2%)およびポストを有しない歯(57.5%)に多い結果であった。
未根管治療歯にはVRFを認めなかった。
9つの因子のうち既根管治療歯、歯周ポケット(深さ)、歯周ポケット(広さと位置)、歯種、修復物、ポストの有無の6つの因子においてVRFと有意な関連を認めた(p<0.05)。
(参考文献)
Lee K, Ahlowalla M, Alfayete RP, Patel S, Foschi F, Prevalence of and Factors Associated with Vertical Root Fracture in a Japanese Population : An Observational Study on Teeth With isolated Periodontal Probing Depth. J Endod. 2023 Des ; 49(12) : 1617-24.
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既根管治療歯、歯周ポケット(深さ)、歯周ポケット(広さと位置)、歯種、修復物、ポストの有無の6つの因子においてVRFと有意な関連があることが明らかになりました。

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