2023年11月アーカイブ

エンドクラウンって、何?!

・エンドクラウンは、CAD/CAMのモノブロック加工技術の進歩とともに発展し、欧米を中心に認知が広がった。
2000年代からエンドクラウンに関する様々な基礎研究や臨床研究によって、その有効性が検討された。
2020年と2021年のメタアナリシスでは、臨床研究の予後を統計解析した結果、小臼歯と大臼歯の両方に適用できるというエビデンスが示された。
また、2021年にはヨーロッパ歯内療法学会のポジションステートメントにも選択肢として刑された。
エンドクラウンは、海外で広く認識され、多くの歯科医師によって実践されているが、2023年現在、国内では大学関係者や一部の臨床家に認識が限られている。
(参考文献)
European Society of Endodontology developed by Francesco Mannocci et al: European Society of Endodontology position statement : THe restoration of root filled teeth. Int Endod J, 54(11): 1974-1981, 2021.
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CAD/CAM冠は強度を考え、比較的厚みを十分に必要とされたので、その結果、脱離が比較的多いという問題がありました。
ところが、エンドクラウンの場合には、その保持力を髄腔に求めるので、脱離や破折の心配が少ないだけでなく、再根管治療の際の穿孔の危険性も少ないことが予測されます。
また、CAD/CAMのモノブロックを削り出すことを考えれば、クラウン部分のみよりクラウンと築造部分の合わせた部分をまとめて削り出すという意味では合理的であると考えられます。

2023年11月 5日

hori (08:10)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

垂直性歯根破折に有意に関連する要因

・垂直性歯根破折に有意に関連する要因として、
1. 6ミリ以上の歯周ポケット
2. J-shaped defect
3. 頬側皮質骨の欠損
が挙げられていたが、歯根には至らない歯冠部の亀裂に有意な関連していたとしている。
また、垂直性歯根破折が疑われる歯について、口腔内所見とCBCT所見から診断および要因分析を行った報告がある。
この報告も確定診断はマイクロスコープによる視認であった。
垂直性歯根破折の存在を疑う口腔内所見及び画像所見(全12要因)において、破折の有無に対して有意に影響のあった要因は、以下の4つであった。
・腫脹・膿瘍
・5ミリ以上の歯周ポケット
・CBCTでのJ-shaped defect
・CBCTでの根尖部の骨吸収像
また、すべての要因のうち2つないし3つの要因が重なっている歯は垂直性歯根破折の存在に対するオッズ比が2.56倍、4つ以上の場合は8.80倍であった。
患者個人の要因として、性別・年齢・パラファンクションが垂直性歯根破折の存在と有意に関連があった。
さらにこの報告において注目すべきは、垂直性歯根破折の見落とし(偽陰性)は少ないものの、過剰に垂直性歯根破折を疑う(偽陽性)可能性が高いということを示している。
結局は、怪しいと思われる所見が存在して、実際には破折線を確認しない限りは歯根破折だとは確定できない、ということになる。
(参考文献)
Quintero-Alvarez M, Bolanos-Alzate LM, Villa-Machado PA. Restrepo-Restrepo FA, Tobon-Arroyave SI. In vivo detection of vertical root fractures in endodontically treated teeth: Accuracy of cone-beam computed tomography and assessment of potential predictor variables. J Clin Exp Dent, 2021 Feb ; 1: 13 (2) : e119-e131.
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歯根破折に関しては、怪しいと思われる所見が存在して、実際には破折線を確認しない限りは歯根破折だとは確定できないことが明らかになりました。

2023年11月 1日

hori (08:42)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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