2022年1月アーカイブ

30代以上の高血糖で歯の喪失リスク上昇

30代以上では、HbA1c値や空腹時血糖値が高いほど歯の本数が少なく、高血糖と喫煙の条件が重なると歯の喪失リスクが高まる。
滋賀医大とサンスターの共同研究によるもの。
研究グループは、血糖コントロールレベルと歯の本数の関係を年代別に検証し、さらに高血糖と喫煙条件が単独、重複する場合のリスクを調べた。
結果、30代以上の各年代でHbA1c値や空腹時血糖値が高いほど歯の本数が少ないという連続的な関係性が示唆された。
さらに、中年期(40-59歳)では、高血糖と喫煙の条件はそれぞれ単独で、両条件とも該当しない群と比べて歯の本数が24未満になるリスクが高かった。
また、高血糖と喫煙の条件が重なる群では、よりリスクが高いことも分かった。
(アポロニア21 2021年12月号 )
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30代以上の各年代でHbA1c値や空腹時血糖値が高いほど歯の本数が少ないこと、中年期(40-59歳)では、高血糖と喫煙の条件はそれぞれ単独で、両条件とも該当しない群と比べて歯の本数が24未満になるリスクが高かいことが明らかになりました。

2022年1月20日

hori (08:17)

カテゴリ:インプラントと喫煙

コンポジットレジンの重合開始剤が、乳がんを悪化させるリスクがある。

・コンポジットレジンを作る際に使われている重合開始剤が、乳がんを悪化させる可能性があることが分かった。
岡山大学の研究チームは、2015年に重合開始剤の調査を行ったところ、乳がんを増殖させる可能性を示唆していたが、体内の環境を人工的に作り出した細胞実験であったため、生体内で同じ現象が起こるかは不明だった。
しかし、今回は細胞実験ではなくマウスを用いた動物実験を実施。
実際に、乳がんを細胞を埋め込まれたマウスに重合開始剤を曝露したところ、乳がん組織が徐々に増大することが見いだされ、一部の乳がん治療薬が増大効果を抑制することも確認された。
研究チームによると、体内に入った重合開始剤は乳がん組織に到達し、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの作用を乱している可能性があるという。
多くの化学物質に囲まれながら生活している現代社会。
しかし、化学物質中には女性ホルモン受容体と結合してホルモンバランスを乱す、内分泌攪乱化学物質と呼ばれるものもある。
今回の研究結果は、現在幅広く使用されている重合開始剤の安全性の再評価において重要な意味を持つに違いない。
(Dentalism NOVEMBER  2021 NO.48 )
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歯科でも頻繁に使用されるコンポジットレジンの重合開始剤に乳がんを悪化させる可能性があることが明らかになりました。

2022年1月15日

hori (08:34)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

抜歯は顎骨壊死のリスク因子ではない。

長崎大学の研究グループは、骨吸収抑制薬が投与されているがん患者を多施設共同研究により収集し、顎骨壊死発症リスク因子について検討。
361例の顎骨壊死発症率は1年目8.1%、2年目18.2%、3年目23.3%で、多変量解析では骨吸収抑制薬の長期の投与や歯周病などの局所感染が、顎骨壊死の発症と有意に関連していたことが分かった。
一方、抜歯そのものはリスク因子になっていなかった。
さらに抜歯例と非抜歯例の背景因子を傾向スコアマッチング解析により調整して検討したところ、本来抜歯が必要な歯を保存すると、逆に顎骨壊死発症率を有意に増加させることが判明した。
(アポロニア21 2021年12月号 )
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骨吸収抑制薬を投与されている患者は、近年増加傾向にありますが、抜歯そのものはリスク因子ではないことが明らかになりました。

2022年1月10日

hori (08:14)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

チタンは硬くて外せないのか?

チタン冠除去に関しては吉田らの報告を参照すればよいでしょう。
この報告では、チタンクラウンの除去に冠除去用カーバイトバーを用いて、切断に要する時間とバーの耐久性を検討しました。
新しいバーを使用し、同じ厚さのクラウンを切断する場合、チタンは金銀パラジウム合金に比較して約3-4倍の時間を要しましたが、その時間は1分弱と、それほど 時間を要するとはいえない結果でした。
(参考文献)
吉田展也, 服部雅之, 白井やよい, 他:チタンの切削に関する研究?チタン鋳造冠の除去についての検討. 補綴誌, 44:100-105, 2000.
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チタンの切断に関しては、金銀パラジウム合金の切断と比べて訳3-4倍の時間がかかることがわかりました。

ピル服用患者はドライソケットになりやすい。

下顎智歯の抜歯後にピルを服用している女性患者は、非服用者に比べて1.8倍、ドライソケットになりやすいことが報告されています。
ピル投与は、肥満、喫煙、高年齢、また手術による不動状態は血栓塞栓症のリスクを上昇させます。
ガイドラインでは、45分を超える手術では手術の4週間前から休薬し、術後、不動状態が解除されるまで服用再開を避けることが推奨されます。
ドライソケットは下顎埋伏智歯の抜歯後に多く発生し、リスク因子として、年齢、性別、喫煙、手術時間、含嗽、そしてピルなどがあげられます。
ピル服用者の少ない日本では、ピルとドライソケットの関連の報告はありませんが、欧米の12論文をまとめたメタアナリシスによると、「ピル服用群のドライソケットの発症は非服用群よりも有意に高かった」という結果です。
そのメカニズムとして、エストロゲンによる繊維素溶解作用の増強により、抜歯窩の血餅が溶解するためと考察されています。
(デンタルダイヤモンド 2021年12月号 )
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ピル服用者に下顎埋伏智歯を抜歯すると、ドライソケットという抜歯後の痛みが持続した状態になりやすいので注意が必要です。
非服用者と比べて服用者は1.8倍ドライソケットになりやすいようです。

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